新年早々のトピックー”上を向いて歩こう” とべ―トーヴエン

(中司)読売新聞元日号の特集 歌といつまでも に加山雄三のことが出ていました。彼のことは先にブログった通り、小生なんぞはおよびもつかない才能の持ち主であることは承知していますが、この記事にそれでも理解できないことがあるので、その道に詳しいというかうるさい各位にご解説をお願いしたく一筆啓上します。

彼は自分の作曲に触れて、”君といつまでも” はジャズの代表曲 On the sunny side of the street  を下敷きにした、と書いていて、さらにかの ”上を向いて歩こう” は ”ベートヴェンのピアノコンチェルト 皇帝 だからさ” と言っています。この”だからさ” というのが何を指すのか明示していませんが、彼が Sunnyside  を下敷きにしたということと同じことでしょう。
およそクラシック音痴の小生ではありますが、それでも ”皇帝” はサラリーマンなり立ての夏、大枚を払って(当時、LPレコードは高額商品の代名詞だったのですぜ)買った2番目のレコード(1枚目はやはりB氏の手になる交響曲第七番でした)だったし、エベレストのトレッキングでは山頂を眺めながら聞くつもりでカセット(当時はこれしかなかった)までもっていったくらいの愛着があります。しかしそれでもかの曲と九ちゃんとがつながっている、というに至っては全く理解できません。
(菅原)加山雄三の全くの勘違いじゃないの。もしかしたら、ハイリゲンシュタットの森を散策しながら、ベートーヴェンが「上を向いて歩こう」を歌ってた、なんてことはないか。飯田さん、どうですか。

(金藤)クラシックの曲の題名には疎い人間ですが・・・添付YouTube  1:20頃のことではないでしょうか? お聞きください。

https://youtu.be/BSMeKeZ4SJw

★ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」
ゼルキン / バーンスタイン Beethoven : Piano Concert No.5 Es-Dur

今、すぐに思いつきませんが、似たようなフレーズが他の曲の中に出てくることは時々あります。

(菅原)ベートーヴェンのピアノ協奏曲・第五番「皇帝」、改めて2/3回聴きました。確かに、同じような旋律が出て来ているような気もします。でも、はっきり言えることは、仮にそうだったとしても、「君といつまでも」もそうだし、「上を向いて歩こう」も、独立した一個の立派な作品であることは、論をまたないでしょう。

(保屋野)明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。読売新聞、読みました。さて掲題、さすがチビ太さん(編集子注:金藤の間違いではないか?。別名人間グーグルの回答は未着)確かに1分20秒のところが「上を向いて」のメロディーに似てますね。

皇帝は何回も聴いていますが、気が付きませんでした。ネットでも「パクリ」とか「オリジナル」とか話題になってましたが、私は、二つの曲は全くの別物で、「中村八大のオリジナル曲」というコメントに賛成します。

*パクリとは、前にも書きましたが、早春賦→知床旅情やロッホ・ローモンド→五番街のマリーのような曲です。

(菅井)「皇帝」の第1楽章はいきなりピアノ独奏で始まりますが、短いピアノ序奏が終わってからオケの主題の提示部のオーボエかクラリネットの旋律が似ている?と言われているのではないでしょうか?ネット検索してみたところ、オーケストラ・アンサンブル金沢のファンページの解説では、筆者は「このメロディは,坂本九の大ヒット曲「上を向いて歩こう」の元ネタとなったメロディです。」と言い切っていますね。

エーガ愛好会 (298)アウトロー    (34 小泉幾多郎)

12月29日(日)BS12の18時から「アウトロー」「ジャック・リーチャー ネバ―ゴーバック」の放映があった。「アウトロー」と言うから、クリント・イーストウッド監督主演の西部劇とばかり思ったが、トム・クルーズ主演のアクション・スリラー映画だった。

英国の作家リー・チャイルドのハードボイルド小説25作の9作目 One Shot を「ユージュアル・サスペクト1995」でアカデミー脚本賞受賞のクリストファー・マッカリーが監督した。原作は、元アメリカ陸軍少佐の捜査官ジャック・リーチャーが退官後、一匹狼として難事件解決に挑む姿を描いたアクションサスペンスものだ。この「アウトロー2012」では白昼5人の無差別殺人の犯人から呼び出されたジャック・リーチャー(トム・クルーズ)が女性弁護士ヘレン・ロディン(ロザムンド・パイク)と射撃場のオーナーマーティン・キャッシュ(ロバート・デュバル)と協力しながら、巨悪な犯人を追い詰めていく。

ジャック・リーチャー  ネヴァーゴーバック2016」は、原作18作目で、「ラストサムライ」のエドワード・ズウイックが監督。ジャック・リーチャーはトム・クルーズ。冒頭から喧嘩に巻き込まれたジャックは、元同僚スーザン・ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)がスパイ容疑で逮捕されたことを知るが、この騒動は誰かに仕込まれたものと悟り、不審な動きを見せる軍の内部を調べ始める。また彼と交流のあった女性が娘サマンサ(ダニカ・ヤロシュ)をジャックの実子と申請していることを知る。利発だがジャックに不道徳をあらわにするサマンサと有能で気丈なスーザンがロードムービーを始める。結果的には、軍の組織的な武器横流しと大量の大麻を発見し幕切れとなる。

トム・クルーズはこれまで、ミッション・インポシブル や トップガンといったシリーズもので、最近に至るまで年齢を感じさせない活躍を見せてきており、このジャック・リーチャーもアクション・スリラー満載のシリーズとして期待されたが、残念ながら、この2作で終了してしまうらしい。そもそも原作の主人公は、身長2メートル近く、体重100キロ以上と言われており、どうやら、この2作で主役交代の可能性が高いと言われている。原作を読んでいないからか、別に身長170センチのトム・クルーズでも違和感はなかったが。

(編集子)退職後に新しいチャレンジと思って始めたポケットブック読破プランの第一号はジャック・ヒギンズの “鷲は舞い降りた” だったが、リー・チャイルドという作家のことを知って読んでみたら非常に読みやすい文体で歯切れのいいストーリなので、半年ほどチャイルド一本鎗で読んだものだ。小泉さんご指摘の原作、One Shot が実はその読み始め第一号なので、大喜びで見た。

トム・クルーズに不満はないが、原作ではリーチャーには一種の諦観みたいというか、人生を投げてしまっている男のような雰囲気も感じられるので、クルーズではちょっと明るすぎる印象がした。僕の好みではチャールズ・ブロンソンとかリー・ヴァン・クリーフなんかが当てはまるんだが、ドクター小泉はいかがお考えだろうか。いずれにせよ2作で打ち切りとは知らなかった。残念のきわみ。