アルカトラズを舞台にした3本の映画のことについての話をしたい。 1本は純粋に娯楽アクション映画の「ザ・ロック」(The Rock)1996年公開。2本目と3本目は共に史実を基に重厚で見応えがあった。1本は脱獄を描いた「アルカトラズからの脱出」(Escape From Alcatraz) , 監督ドン・シーゲル、主演クリント・イーストウッドの1979年の作品。この映画は最近NHK BSで放映されたので久し振りに再び観た。もう1本は、アルカトラズは1934年からアメリカ合衆国連邦刑務所となり’63年に閉鎖されたが、閉鎖のキッカケになった事件を基に描いた重苦しいが迫力ある映画だった「告発」(Murder In The First)。
閉鎖されたアルカトラズは、10年後の1973年歴史的建造物として一般公開されて人気ある観光地となって今日に至っている。一度訪れたことがあるが、囚人収容規模は450人の監獄・独房がそのまま遺っていて、臨場感ある迫力はなかなかのもので実際使用されていた当時の模様を容易に想像させ, 可視化させてくれた。収容フルキャパの450人に対して実際に収監された囚人は250人を超えることはなかったという。アルカトラズは別名ザ・ロック(The Rock)と呼ばれるが、島のサイズは150m x 500mほどの大きさで、岩盤の小高い丘になっている。文字通り、The Rock (岩山)だ。湾のその辺りは潮流が速く、海水温も低く、脱獄に成功しても生きては外部の世界に辿り着けれないだろうと言われていた。サンフランシスコ市内北端から2.5km離れた湾の中ほどに在る。島の歴史は1850年にアメリカ陸軍がこの島に要塞/城塞を建設したことに始まった。軍が1933年に軍捕虜の収容所として使用するが、やがて連邦刑務所となった。下図、左の縦に走る線は「金門橋」。右(東)へ橋を渡るとオークランド市(Oakland)だ。
「勇気ある追跡」は、J.ウェインがアカデミー賞の主演男優賞を、唯一、獲得した西部劇だが、別にここでのウェインが、他の出演作品に較べて際立って良かったわけではない。話しは、父を殺された娘が、独眼竜政宗ならぬ左目にパッチを当てた連邦保安官ウェインを雇って仇討ちをする。しかし、これが、ドイツのロンメル将軍を描いた「砂漠の鬼将軍」(1951年。原題:The Desert Fox:The Story of Rommel)を監督した同じH.ハサウエイのものとは到底思えない、実に締まりのないエーガだった。
「小さな巨人」。これは一体何を描きたかったのだろう、と言う疑問を抱かざるを得ない。つまり、土着人(いわゆる、インデイアン)に媚びているのか、あっちについたり(インディアン)、こっちについたり(白人)、とまるでコウモリ、のようだと言ったら言い過ぎか。ダスティン・ホフマンのやっていることが、まるで滑稽にしか思えない。ネットを見ると、西部劇として画期的な作品とも称えられているようだが、お世辞にしてもほどがある。小生、インディアンを正当に評価するに吝かではない。しかし、今現在の観点から、つまり、罪の意識から、遡って崇め奉るのは歴史の改竄ではないか。そこまでやりたいのであれば、インディアンから略奪した土地をインディアンに返却したらどうだろう。さすれば、米国は消滅することになるのだが。このエーガの一番の見どころは、有名なカスター将軍とその騎兵隊全滅のインディアンとのリトル・ビッグホーンでの戦いだが、カスター将軍と言えば想い出すのが、「壮烈第七騎兵隊」(1941年。日本公開:1953年。原題:They Died with Their Boots On)でそのカスター将軍を演じたエロール・フリンだ。しかし、そのエーガの中味については全く覚えていない。そして、ここで、D.ホフマン、F.ダナウェイなどを抑えて、際立っていたのは、カスター将軍をやったリチャード・マリガンだ。
連邦捜査局(FBI)の初代長官である。1924年5月10日にアメリカ合衆国司法省内の捜査局(Bureau of Investigation:BOI)の第6代長官に任命され、組織がFBIに改称された後の1972年に死去するまで長官職にとどまった。就任当時の第30代カルビン・クーリッジから第37代リチャード・ニクソンまで、8代の大統領に仕え、これは現在に至るまで合衆国で、最も長く政府機関の長を務めた人物の記録となっている。なお、彼以降はFBI長官任期は、権力の集中や犯罪組織との癒着を防ぐため10年に制限されている。
このクイネルというのは実は知る人ぞ知る高名な作家のペンネームらしいのだが、その正体がわからない、言ってみれば覆面作家、ということになっていて、海兵隊からフランス外人部隊に投じ、いわゆる ”戦争の犬” と蔑視される傭兵の主人公の話だ。ほかにも数多くあるスーパーヒーローではなく、陰のある人物で、東南アジアでの汚い戦争を共に戦った旧友たち(彼らはすべて正業を持つ一般市民になっている)とが登場する。調べてみた範囲では10冊、書かれているらしいがその中の一つがこの本(和訳のタイトルは地獄からのメッセージ)で、面白いと思ったという会話は、国自慢のなかでフランス人がWhat has America given the world ,except John Wayne ?” とからかう。アメリカ人はほかの場所で、”The only things the French know are how to make Bearnaise sauce and reide a bycycle” とやりかえすのだ。僕が付き合った連中だけでの話だが、この二つは ”アメリカ人” という概念についての米欧人の相互理解というか抜きがたい感情として変わらないように思える。”アメリカ人” とは何か。
老熟期に出た リオ・ブラボー エルダー兄弟 エルドラド チザム など一連の作品は、いずれも一歩引いて若い連中の面倒を見ている、というような雰囲気と、軽いユーモアが感じられる見やすい作品だ。リオ・ブラボー の中でディーン・マーティンが歌った My Rifle My Pony and Me は僕の愛唱歌になった(追記したレッドリバーについての記事もご参照ありたい)。
長くなりすぎた。最後に一応、(俺の言うベスト・ウエイン)をあげておくことにすれば、やはり 赤い河 になるだろうか。僕が高校時代、おととし旅立ってしまった関根達郎からもらった、ふるいレコードを ”電蓄” にかけて覚えた、いわば俺のもひとつの愛称歌、が RED RIVER VALLEY なのとは無関係なのだが。