気が付いてみたら昔ばなしばかりする年代になってしまった。普通部から高校にかけての一番のんきで楽しかった時代、つまり ”戦後” が終わろうとしていた時代の僕らを支配していたのはやはり ”戦争を知っている親たち” の価値観やらライフスタイルが変わろうとしていた時代でもあったのだろうが、今考えてみるとこの時代の ”青春” の在り方も変わりつつあったころだったとも思う。
そのことをなんとなく感じさせたのが ジェイムズ・ディーン という俳優だったような気がしてならない。高校3年の時に エルヴィス・プレスリー が登場したとき親たちの年代のほうは敏感に時代の変化、を感じたようだったが、僕には音楽シーンの変化ぐらいにしか感じられなかった。
”エデンの東” は高校同級の悪童たちと東劇へ見に行った。そのうちの一人、広田順一がこともあろうにラブシーンの最中に持っていたアルミの弁当箱を取り落とし、大きな音を立てて周りからにらみつけられるという事件があった。そんな思い出でもある。
(44 安田)旧約聖書のアダムとイヴの双子の息子兄弟「カインとアベル」の物
も舞台となっている。ここは80年代半ばクリント・イーストウッドが市長を務めた高級人士住む観光地カーメルに隣り合う、サンフランシスコに人たちには言ってみれば東京と鎌倉みたいな関係にあるところである。第一次世界大戦前後の北加州の農村を舞台に展開される青春ドラマ
聖書ではエデンの東は、エデンの園を追放された、
双子の弟アベルを殺した、 アダムとイヴの息子カインがたどり着いた土地として知られている 。映画では兄役のアーロンは弟(ジェームス・ディーン)を殺しはしないが、弟との確執の結果、 世界大戦の戦場ヨーロッパへ出兵するところで終わる。 旧約聖書では、弟を殺した兄の向かうエデンの東は、 流刑地のニュアンスがある。 人類の祖先であるカインが放浪者として移り住むエデンの東・・・ ・聖書では、これが人類の旅の始まりとして描かれている。 ヨーロッパ戦線に向かった兄の運命は映画では明らかにされていな いが、 旧約聖書が描く流刑地の悲惨さを示唆しているのであろうか? そして厳しい人生の旅が始まったのであろうか?映画では、ディーン演じる主人公は、 品行方正な兄を何かにつけて可愛がる厳格な父が気に入らず、 反抗的な態度をとり続ける。反抗は愛に飢えている証ではあるが、 その辺の孤独感と反動として反抗する感情を、 ディーンは伏し目がちな視線や憂いを帯びた態度で繊細に” 悩める青春像”を演じきって世の女性たちを虜にした。映画の撮影終了後間もなく24歳の人生に終わりを告げる自動車事故の悲劇も、 一躍世界のスターになったジェームス・ ディーンを絶対的なアイコンとして昇華させたようである。 印象的な場面は、観覧車の中の兄の恋人とのキスシーン、大豆の芽が大地から出てきて大地に寝そべり喜ぶシーン、 兄の恋人とディーンとの長い会話を経て二人の気持ちが通いあるシ ーン、 兄が自暴自棄に陥り恋人から離れヨーロッパの戦争に赴く駅の列車 出発シーン、 意識不明の床に伏した父がディーンの耳元の言葉に頷き涙を流した 時、天井から光がさして二人を照らすシーン。 ディーンが父親に理解してもらったと感じるエンディング場面はこ の映画のハイライト。弟の人生の旅もこれからまた始まるのだと映画は示唆しているよう であった。
兄の恋人役ジュリー・ハリスは、「波止場」「北北西に進路を取れ
」「栄光への脱出」のエヴァ・マリー・セイントの清楚であるが秘 めた信念と情熱の炎は熱い感じに似通っていると思った。 彼女は波止場でオスカー助演女優賞獲得。ジュリー・ハリスは「 波止場」でもメガホンを執ったエリア・カザンのお眼鏡に適った女 優だったのだろう。またジュリー・ ハリスはオスカー助演女優賞に充分値する適役の演技だった。 厳格な父親役のレイモンド・マッセイ、
オスカー助演女優賞の母親役のジョー・ヴァン・フリートの演技も 素晴らしい。先日、話題となった「大いなる西部」で注目された助 演男優賞獲得のバール・アイヴスも出演していて懐かしく観た 。 NYの俳優養成学校「アクターズ・スタジオ」創設者の一人である
エリア・カザンは「波止場」でオスカー監督賞を獲得しており、 その波止場で主演男優賞を獲得したマーロン・ブランドとは「欲望 という名の電車」でも一緒。「エデンの東」の主役はマーロン・ ブランドと決めていたが、当時吹き荒れていたマッカーシー旋風( 共産主義者取り締まり、いわゆる赤狩り)の際のエリア・ カザンの仲間を売った裏切り行為(といわれている) が許せなくて、ブランドが辞退。アクタース・ スタジオ出身の新人ジェームス・ ディーンが結果として抜擢された。他に主役候補にはモンゴメリー ・クリフト、ポール・ニューマンも挙がっていたという。1950年代はアメリカ映画の全盛期で名画が目白押しですが、 テーマ音楽の素晴らしさも相まって、 不朽の名作に値する映画であった。
(34 小泉) ジェームス・ディーンのこと、よくよく思えば1931年生まれで
(43 保屋野)やっと、ビデオで10年ぶりに「エデンの東」を観ました。チビ太師匠の感想通り、私も「不朽の名作」だと思います。
ちょっと余談ですが、見終わって、NHKのBS1を見たら、丁度「穂高・ジャンダルム」が再放送されていました。実は、卒業2年目のガニマタ合宿を岳沢BCで行い、14,5名で、天狗のコル→ジャンダルム→奥穂高→前穂高→岳沢と歩いたことがありました。確か、マリちゃん、克ちゃんもいて、厳しい岩場の画面を見ながら「良く歩けたもんだ」と感心しました。・・・若さ(無鉄砲?)って凄いですね。
さて、映画の方ですが、ストーリーは親子兄弟の葛藤を描いた、ありふれた題材ですが、やはり、ジェームス・ディーンの存在感は「半端ない」ですね。この映画は、チビ太の云う通り、スタインベック原作の後半1/3ぐらいの話で、前半の部分は、22年前にテレビドラマで放映されています。
母親(ケート)が主人公で、(よく覚えてはいませんが)、ケートの強烈なキャラが印象的なドラマでした。このドラマは映画よりも高い評価をする人も多いそうです。「理由なき反抗」や「ジャイアンツ」もまた観たいものです。・・・彼は意外と小柄(173cm)だったのですね。
(41 久米)「エデンの東」そして主演のジェームス・ディーンについては映画愛好会の中の年齢差で感想も大分変ってくると思います。私の記憶に間違いがなければ「エデンの東」が日本公開の際には主役のジェームスディーンは既にこの世の人ではなくその悲劇性も重なり大変な前評判で映画を見たような気がしています。
主人公が列車の上でセーターを首に巻くシーンは忘れられません。この時以来セーターを首に巻くことが若者の間ではやったように思います。ジェームスデx-ンが世の中に反抗する姿勢は次の作品の「理由なき反抗」で顕著に表れていますがまだ12歳の私には当時は良く理解できなかったように思います。その点、「エデンの東」のロマンス部分の方が解り易かったように思います。後年、見直して理解したように思います。
「ジャイアンツ」のディーンは演技にあざとさが目立ってロックハドソンやエリザベステーラーの方に分があったように思います。でもディーンの出現以後、男は少なからず彼の演技を模倣しているように思えますしハリウッドもディーンの面影のある俳優を探しているように思います。アラン・ドロンやブラッド・ピットなどデx-ンの面影をチラッと見かける時があります。1955年はエルヴィス・プレスリーが華々しく出現した年でもあります。
(ウイキペディアから転載)ロサンゼルスの退役軍人病院に勤める歯科技工士の父ウィントン・ディーンと母ミルドレッド・ウィルソンのもとにインディアナ州マリオンで生まれる。しかし、父母は行きずりの恋から始まった婚前妊娠だったことから、父のウィントンは息子のジェームズの誕生を喜ばなかったという。反対に、父親に無視される事となったジェームズにミルドレッドは深い愛情を注いだという。ジェームズが9歳の時ミルドレッドが卵巣がんで亡くなると、ウィントンはフェアマウントで農場を営む姉夫婦に彼を預け、そこで育てられた。
高校時代から演劇に興味をもち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の演劇科で学んだ。舞台やコマーシャルなどに出ていたが、更に俳優としてのキャリアを追い求めるために中退、ニューヨークに移った。そこで1950年代の『Kraft Television Theater』、『Danger』や『General Electric Theater』のようなテレビ番組の何編かに出演した。この頃よりジェームズはアンドレ・ジッドの『背徳者』に心酔してハリウッドへ行き、映画スターとなることを夢見るようになる。
『底抜け艦隊』等の映画の端役をいくつかこなした後、1955年に『エデンの東』のキャル・トラスク役で初めて主役を演じて認められた。彼はこの役でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた。この後、続けざまにその年の『理由なき反抗』で主役を、『ジャイアンツ』で準主役を演じ、またもやアカデミー賞にノミネートされることになる。