ミス冒愛好会 (4)  アガサ・クリスティーのこと (普通部OB 菅原勲)

クリスティーのかの有名な、いや、悪名高き「アクロイド殺し」ですが、小生なんの事前の予備知識もなく最後まで読みました。しかし、最後の最後までクリスティーにまんまと騙くらかされたこと、冗談じゃねーよ、こんなことってあるかよと無性に腹が立ったこと、この両者がない交ぜになって、暫くクリスティーから遠ざかりました。この時の探偵が、エルキュール・ポワロです。

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズにしろ、エラリー・クイーンのドルーリー・レインにしろ、その中心となる探偵は、作家と同国人の場合が圧倒的に多いのはご存知の通りです。クリスティーの場合も、ポワロ以外では、ミス・ジェイン・マープル、トミーとタペンス夫妻、パーカー・パインなど、その全てが英国人です。ただし、以下の如き例外もあります。英国の作家、サックス・ローマーの中国人探偵、怪人フー・マンチュー博士、もう一人、忘れていましたが、米国の作家、エドガー・アラン・ポーの探偵はフランス人のオーギュスト・デュパンでした。

それでは、何故、クリステイーは、英国人ではなく、英国から見た外国、それも、フランス、ドイツ、イタリアなどの大国ではなく、小国のベルギー人を探偵にしたのでしょうか。アーサー・ヘイスティングスの知り合いだったと言うことになっていますが、その知り合いの中から、何故、ベルギー人でなければならなかったんでしょうか。逆に、どうしてクリスティーは、英国人を探偵にしなかったんでしょうか(全く関係ありませんが、英国には極めて魅力的な探偵、じゃない刑事フォイルがいたじゃないですか)。このことについて、クリスティーは、作品の中とか、或いは、自身で説明するとかしてるんでしょうか。クリスティーの失踪事件以上に、最大の謎ではないかと思っています。しかし、小生、クリスティーの全てを知っている専門家ではありません。従って、クリスティーが、男性の探偵を英国人ではなくベルギー人にした理由をご存知の方があったら、是非、ご教示ください。

蛇足ですが、小生、クリスティーは、極めて面白い探偵小説作家であると同時に、極めて優秀な風俗小説作家だとも思っています。ここの風俗は、風俗営業などのふしだらな意味ではなく、世相とか普通の風俗とかのことです。

(編集子)菅原君提起の最後のポイントについて。

クリスティの書いた,非推理小説はについてだが、ワイフがだいぶ前になるが、春にして君を離れ (Absent in the spring )を見つけていい本だ、と言っている。この本について、ふたりして一致したのは、翻訳タイトルの素晴らしさだった。なんでもかんでも XXの決闘 だとか YYYの最後 なんかにして涼しい顔をしているエーガ屋には見習ってもらいたいもんだ。

 

なお、この本の解説によると、クリスティはこの菅原定義による風俗小説を書くときはメアリ・ウエストマコットというペンネームを使っていたとのことで、全部で6作品、あるそうだ。以下、例によってググリングの結果・・・・

 

なお、スガチューが怒っている理由は推理小説かくあるべし、とヴァン・ダインなどが出した定義に沿っていない、という正統的推理小説ファンとして正しい態度。その定義を書いてしまうわけにはいかないのが残念だが(ネタが割れてしまうから)ただ編集子にとってはダイン説に関係なく、ミステリの面白さを教えてくれた本、として貴重な存在なのだがね。

コロナ情報についてー追加   (34 船曳孝彦)

先日、12報を発したばかりではありますが、自分でGo-To政策に乗ってしまった手前、批判し難くなったので消化不良の文となってしまいました。

隠れキリシタン五島列島の旅をGo-Toの関係なく計画したところ、旨くGo-Toにはまったものというエクスキューズはあり、これほどの急増が始まる前でしたが、新型コロナ感染防止対策としての‟自粛“に反したことに違いはありません。でも敢えてGo-To政策批判をしたいと思います。

この新型コロナウィルスの第3波感染急増に対抗策は何かと言えば、

  • 飛沫感染予防に3密を避け、マスク着用し、手洗い・消毒
  • エアロゾル感染を防止するため大声での会話を避けソーシャルディスタンスを保ち十分な換気をする(会食自粛)
  • 人の移動が感染拡大につながる(学問的にも証明済み)ので外出自粛
  • 感染した場合の受け皿として医療体制の確立

といったことが叫ばれる一方で、経済が回らなければ社会が成り立って行かないからとGo-Toトラベル、Go-Toイート政策が始まった。Go-Toにはどうしても警戒感の緩みが伴ってしまい、感染症対策にはブレーキがかかってしまうことが当初から指摘されていた。感染の波が収まったタイミングならともかく、「勝負の3週間」というのは単なる掛け声としか受け取られておらず、この12月に入ってからの感染者数増加している時期は、一時中止なり延期すべきというのが常識ではなかろうか。

テレビでは旭川市の日赤院長が「医療崩壊が迫っている」と必死に訴えており、次のニュースでは日本医師会の見直し要望もあり、なんと‶政府“の検討分科会自体までもが必死に中止を訴えているジャストこのタイミングで、ネット番組の取材に対して、首相が「ガースーです」とお道化て「見直しは全く考えていない」と明言したことは許しがたい。

旭川では基幹病院にクラスターが発生し、他の病院でカバーし合う体制がとられてはいるが、A病院の分娩をB病院に依頼し、C病院では手術予定が先送りが決まっている。コロナ患者を入院させようにも空きベッドが殆どなくなってきている。一般の癌患者、心臓病患者、外傷患者も入院できない。医師、看護師は大幅に不足し、過重な労働、危険を冒して頑張っている。これこそ医療崩壊そのものではなかろうか。

さらに報道されるのは、医療職員のボーナスが減額される、支給されないという事態。激務に耐え、違法とされる超過勤務をこなし、自分が感染してしまう危険を乗り越え、さらには危ない病院で働いているからと世間で嫌われ(家族までもが不当な差別を受け)、本来それに見合うようなボーナスが出て当然であろう。そうであるのに逆に収入が減ってしまうという理不尽は許されてよいのだろうか。常識的に狂っているとしか思えない。日本とはそういう国かと世界の人々はあきれるだろう。

医療施設は、院内発生などなくとも、手術を始め患者減とコロナ対策費用増で、大幅減収(私に聞こえてくる話では1割から5割)で、病・医院の規模によっては閉鎖が迫っており、確かにボーナスを払える財政ではない。 提案として、

①増額された合理的ボーナスを支給する(払いきれない分を公表する)

②当該施設で払える額との差額は国で補助する。

遅れて支給されるようになるのは仕方ないとしても、この理不尽を解消するのは国民全体の責任(すなわち国:税金)だと思う。医療施設に働く人たちは、Go-Toトラベルで温泉に行くこともできず、Go-Toイートでフレンチを食べることも出来ません。Go-To政策で一部の人たちに国費が使われているのに、コロナ対策の「キモ」となっているところへ使われないとは、なんと情けないことであろう。

もう一つ政府のコロナ対策での問題点は、PCR検査を『行政検査』として検査権、既得権益に拘ったことで、有症状者、濃厚接触者に限定しての検査に、私は早くから異議を唱えてきたが、ウィルス学・感染症学の専門家や臨床医の批判、果てはWHOやアメリカに避難されようとも、基本的に検査拡大に抵抗してきた。PCR検査は私が現役のころ、指導大学院生の研究で導入したほど古く(20年以上前)、既に一般的な検査であるにも拘らず、一般で行われれば精度の問題を信用できず、偽陽性・偽陰性患者が世に溢れ、医療機関が破綻するという子供だましの理由で、永く認められてこなかった。検査には偽陽性・偽陰性は付きものであり、たとえ偽陽性者が病院受診しても本来非感染者だったら再検査により早急に否定することが可能であり、偽陰性者(本当は感染していても陽性と出なかった軽症ないし無症状者)が制限なく町中を歩き回り危険であるというが、検査をしていなくても歩き回ることに変わりない。

検査のランニングコストはおそらく1000円以下に抑えられるので、国から補助してでも、1000円か2000円で、誰でも何回でも何処でも受けられる検査として、何千万人も検査すべきだと、私は早くから言ってきた。山梨大学が始め、やっと最近、東京駅近くに2000円でだれでも希望者が検査を受けられる施設が出来、那須塩原市では市民に1000円で検査するという。数か月前から検査を受けたい人の要望に沿う形で、一部で2万円以上で検査する施設も出てきた。国が指導して体制作りをすべきだったのに放置したことで、格差が出てしまった。また恐ろしい話だが、陽性者を届け出る義務が定められておらず、非医師が検査している施設があるという。いずれにせよPCR検査を広く行い、無症状感染者を洗い出すことが必要である。

実は昨日、ここまで書き上げて夕食の時、首相が突如『12月28日から1月11日までGo-Toトラベル全国一斉停止』なる発言をしたとテレビで報じられた。前の「全く考えていない」発言から3日しか経っておらず、この停止期間も意味不明である。27日までなら行けると旅行に出かけ、会食(忘年会シーズンでもあり、クリスマスでもあり)しようという反応は当然起こるであろう。このところの3000人に及ぶ新患者増加で決断したと述べているが、本気でコロナ対策を考えているとは思えない。内閣支持率が落ちて不支持率に逆転された(毎日新聞12日世論調査)ことで慌てて考えたものであろう。

家ごもり月いち 第二編 (1)   (46 猪俣恭子)

各地からの皆様のメールを拝読していて私もお便りしたくなりました。
閉塞感一杯のこの一年でしたが、私自身は昨年からの闘病閉じ籠り生活に慣れそれほどの困難でもありませんでした。

おかげさまで身体も快復しつつあり気持ちは上向きです。勿論、コロナ感染は怖くできるだけ距離取っています。
-今までの世界の常識、価値観の大きな変動に目を見張っています。私たちシルバー世代はある程度安定していますが若い人達はこれからの社会との対応が大変だなと思います。私の三人の子供達もそれぞれの立場で混乱と闘うサンプルのようです。

長男一家  四人の子供を抱え極小住宅から引っ越しを目論見、大奮闘中。

長女一家  二人だけの生活で夫君はテレワーク、娘も月数度の出社。    ゴーツーを多いに利用し各地へ旅したのは良かったのですがついに旅先で怪我。

次女    単身ハワイ在住ですが帰国もままならず仕事も休職中。トランプさんから支援金受給しなんとか凌いでます。朝に夕にサーフィンで運動不足解消。

冬に入りそろそろ雪が気になります。白銀が呼んでいるような気がします。もう二年も遠ざかっています。スキー行かれる方は是非お声かけ下さい。読んで頂き有難うございます。良い年になりますように祈ります。

(編集子)”スキーのない冬” にやっと慣れたばかりです。呼んでなんかいねえって! 寝た子を起こすようなことを言わんといて! もっとも、起きてももう動けないけどね。

”ミス冒愛好会” (3)  そしてハードボイルド

さて、”ミス冒“ 三題噺のトリはハードボイルド。小生が一番はまっているゲビートである。

Hard-boiled (ハイフンがあったかどうか不安)とは要は固ゆでの卵のはずだが、転じて、頑固、意地っ張り、独立独歩、時に応じて暴力を辞さない、古いものにこだわらない、軍隊で言えば融通の利かない古参軍曹のイメージ、などなど入り混じった感情のこもった文体で書く作品、としておこう。

ミステリの歴史で言うと、前々回に述べた、1920-30年代に勃興し発達した推理小説が、ただトリックの妙だけを追求する流れになり、現実の犯罪行為や社会現象から遊離してしまっている、という反省から、名探偵が灰色の脳細胞で犯人を言い当てる、というパターンから、ごく普通の警官や私立探偵(日本だと浮気調査くらいしかないようだ)が自分の足と地道な調査と人間観察力とで、犯人を探し出す、という組み立ての作品が出てきた。このような意識というかスタイルで書かれたものをハードボイルドミステリ、と呼ぶようになった。

その過程において、本人はあくまで自分の価値観と、これが重要なのだが、ある信念を持ち、自分の信条によって行動し、必要であれば周囲の社会の慣行を無視し、暴力も辞さない。この ”信念と信条”が大事で、そのために彼は 卑しき街を一人行く正義、などと表現される。もう一つ、その文体は同時に伝統的推理小説のもつビクトリア朝的慣習とか持って回った大げさな表現とかを無視した、簡潔で乾いた表現を用いる。プロに言わせればその文体の源泉はヘミングウェイにある、という。ありていに告白すると小生、ヘミングウエイは6冊くらい読んでいるが、もちろん、翻訳では翻訳者の解釈とボキャブラリに依存してしまうので原書も数冊読んでみたが専門家の言う類似性、というものをはっきり意識することはできなかった。ま、素人としては当然だろうが。

日本でHBの嚆矢、と言われたのが僕らが高校生のころはやった大藪晴彦で、デビュー作 野獣死すべし は当時の僕ら高校生には全く経験のないものだったし、同じころ翻訳のでたミッキー・スピレーンの 裁くのは俺だ なども同じ興奮をもたらしたものだ。このあたりから ハードボイルド(以下HB)、という用語が定着したが、多くの作品は暴力描写の面だけを取り上げてHBと称していたから、”酒と銃と裸の女がでてくればハードボイルド”、なんていう俗説もあったくらいだ。研究家の本を読むと、30年代の終わりごろ、サンフランシスコにたむろしていた作家たちがたちあげたブラックマスクという雑誌にHBの原型ともいうべき作品が乗り始めた、という。その同人たちのあいだで一番有名なのがダシール・ハメットであり、レイモンド・チャンドラーだったというわけだ。前記した野獣死すべし、の主人公伊達邦彦は強奪した金でアメリカへ留学し、ハメットーチャンドラーーマクドナルドの文学を専攻することになっている(ただし、この後、大藪の作品はただ暴力の描写と著者の銃に関するぺダントリを披露するだけに終始していて見るべきものはない、と小生は思っている)。

そんなことから、HBを志向した人がまず読むべきとされるのが ハメットの マルタの鷹、チャンドラーの 長いお別れ というのが定説になった。この二人の後継者とされるのがロス・マクドナルド、代表作は 動く標的 があげられる。これらの作品は確かに謎を解くことが中心の糸になっているのは当然だが、チャンドラーの作品にはうまく言えないのだが雰囲気がある。特に 長いお別れ がまさにそれで、ほかにももうひとつの代表作 大いなる眠り、さらば愛しき女よ なんかもいい。ただ小生が入れ込んだのはチャンドラーの後継者であると専門家がいうロス・マクドナルドだ。チャンドラーの背景が第二次大戦前後のいわばよきアメリカ社会であるのに対して、マクドナルドの中期以後の多くの作品は、家庭崩壊とか麻薬問題とか、まさに現代アメリカの宿痾が背景になっている。ウイチャリー家の女 とか さむけ などは重厚であり読みごたえがある代表作といえるだろう。翻訳のことを言ったが、長いお別れ は小生が知っているだけで3人の翻訳があり、最近では村上春樹がチャンドラーの全長編を翻訳した。個人の好みだが、長いお別れ に関してだけは清水俊二の訳がしっとりとしていて実にいいと思っている(マクドナルドのことだが、ジョン・D・マクドナルドという人も同時代にいるので注意されたい)。

日本でもいろいろな作品があり、今売れっ子の北方謙三も純文学から転向してHBを志した歴史があり、弔鐘はるかなり とか、友よ静かに眠れ などは雰囲気のある作品だと思う。ほかにもいろいろあるが、小生が日本第一のHB作品だと信じているのは原寮という、もとジャズピアニストとして知られた人の諸作品である。残念なことに寡作な人なので次が待ち遠しいが、さらば長き眠り 愚か者死すべし それまでの明日 そして夜は甦る はシリーズものであるがどれもストーリもいいが落ち着いた、品格のある文体がなんともいえず心に響く。主人公沢崎の事務所が新宿にあるという設定で、会社時代の一時期を過ごしたあたりが登場するのも嬉しいのである。

なお、ハードボイルド、という表題で、本ブログ開始間もなくのころ、少し書いた。ご興味があれば、画面右側にでるアーカイブの欄で2017年9月をクリックしていただくともう少し詳しい情報がある。ご参考まで。HBなるものをお読みになっていない諸兄が多いと思うが、まず、長いお別れ(村上訳は ロング・グッドバイ というタイトルになっている)当たりを読んでみることをおすすめする。コロナさんとやらに、ぜひ近いうちに Long Goodbye と言いたいものだ。

コロナ患者の増加が衰えません  (34 船曳孝彦)

前回から1か月が経ちました。この間、コロナ患者数は増加傾向が衰えません。死亡者も増えておりますし、高齢感染者も増えております。医療崩壊の危険性が叫ばれ、実際我々医療関係者側から見れば、旭川市の現状は目を覆いたくなる惨状と言えます。コロナだけでなく癌や心臓病などの一般医療がすでに崩れかけています。分科会自身や日本医師会などは、かなり強くGo-Toトラベル中止を提言しておりますが、経済と生命を天秤にかけて、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる政府も東京都も煮え切らない態度を続けています。

新聞の投書川柳に 『 赤信号 みんなでGo-To 怖くない 』というのが載っていました。Go-To政策が人の往来を増やし、緊張感・警戒感を薄らげ、感染拡大を助長していることは確かです。スコットランドのデータで、新しい型のビールスが旅行者によって持ち込まれたことが明らかになりました。正直申しますと、実は私自身がGo-To絡みの旅行をしてしまったので批判できなくなってしまいましたが、暮・正月を迎えるこの時期、早急なGo-To中止、ないし延期が必要です。私は断腸の思いで幾許かのキャンセル料を払って暮れ正月の北海道スキー(札幌・旭川ではない)を断念しました。今シーズンのスキー全面中止となることを怖れています。もしそうなると高齢の故、次シーズンは滑れるか、自信がなくなりますので、何とか切れ目なく続けたいのです。

皆様もいろいろ活動したく、悩まれておられることでしょうし、集まって会食したいものですね。でも感染の危険が最も高いのは、大勢の会食場で、大声でしゃべる騒がしい環境だといわれます。食堂側ではテーブルを消毒し、プラスティックシールドを立てていますが、長く空中に浮遊するエアロゾル感染には効果が期待できません。もし外食されるなら、出来るだけ屋外での食事(冬季はなかなか難しいのですが)、換気の良い食堂をお勧めします。天井の高い、広い食堂をお選びください。

 

エーガ愛好会 (36)  エーガ愛好会の半年 (42 保谷野伸)

映画音痴の私が、ヒョンなことから、今年,6月に「エーガ愛好会」なるものに参加して,丁度半年が経ちました。この間、皆様のご指導のお陰で、映画をより深く楽しめるようになり,、大いに感謝しております。

さて、NHK放映の映画は、コロナのヒマつぶしで時折観ていましたが、皆さんご推奨の「心の旅路」を皮切りに、実に120本も観てしまいました。ただ、これだけ観ても私の映画精通度はまだまだ幕下でクラスで、皆さんの域に達するのは「100年早い」と自覚しております。

僭越ですが、この120本の中で(私の)「名作ベスト10~順不同」をご紹介したいと思います。(ただ、雨に唄えば等ミュージカルは全て好きなので、対象外とします。)基準は、高峰秀子さんが、ある著書で「名作とは、心に残る(沁みる)シーンが一つでもあること」とあったので、金藤さんのリストを元に、思い出しながら選びました。

①   カサブランカ   バーグマンが黒人ピアニストに「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」を依頼して、それを聞いたボガードがバーグマンと再会するシーン。

②   慕情       ジェニファー・ジョーンズとウイリアム・ホールデンが浜辺で、水着姿で語り合うシーン

③   ライムライト   チャプリンが死に行く中で、、クレア・ブルーム演ずるヒロインがテーマ曲でバレエを踊るラストシーン

④   大いなる西部    テーマ曲が流れる中、グレゴリー・ペックとジーン・シモンズが馬に乗って、大平原を下るラストシーン

⑤            ジュリエッタ・マシーナ演ずるジェルソミーナが、修道院で、トランペット(テーマ曲)を吹くシーン

⑥   アラビアのロレンス オマー・シャリフが砂漠をラクダで疾走して来るシーン。序曲も素晴らしい。

⑦   戦場のピアニスト  エイドリアン・ブロデイ演ずる主人公が、ドイツ将校に命じられて、瓦礫の建物でショパンを弾くシーン。

⑧   愛情物語      タイロン・パワー演ずる主人公が、戦場で現地の子供と連弾するシーン。

⑨   ドクトル・ジバゴ  間奏曲(ララのテーマ)が流れるインターミッションで、雪原を走る列車等主要な名場面が映し出されるシーン、

⑩   鉄道員       冒頭のテーマ曲が終わり、可愛い子供が父親に会うため、道を急ぎ歩くシーン

結局、全て「超名作」になってしまいました。そして、テーマ曲等音楽がらみの作品ばかりですね。私は、映画より音楽の方が好きなのかもしれません。今後ともご指導のほどを。

 

 

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“玉手箱” 論争について    (44 安田耕太郎)

1.         山は頂上が高ければ高いほど、基本的には裾野も大きく広がる。スーパーコンピューターに代表される最先端技術の先頭争いが、今後の国の命運を決めかねない時代になってきている。

デジタル分野、AI, ナノ分野、脱炭素化技術、ロボット工学、バイオテクノロジー・生物工学分野、遺伝子工学、量子物理学分野、エネルギー創出分野、宇宙工学分野、キャッシュレス技術・・・など枚挙に暇がない。オール日本の知能を結集し、そのレベルを向上させることは不可欠だ。その観点から、スーパーコンピューター「富岳」、「ハヤブサ2」などの快挙は諸手を挙げて歓迎すべき慶事である。未来志向の先端技術の成功例は全体を牽引する象徴的且つ実践的な役割を果たすはずだ。

2.       山の頂上の中核を担う“知”、“脳” となる人材の育成が鍵を握るだろう。それを可能にする財政的・経済的な予算措置を講じるのは必須だ。果たして総花的に分厚い中間層を育成することを最優先させているかに見える現在の学校教育が、未来のより高い“頂上”を構成する人材の確保に質的にも量的にも対応できるのか否かについては大いなる論議があろう。改善・改革の余地は大いにあると思っている。第二次産業の成長・拡大とそれに伴う製造技術の優秀さが、戦後の日本の経済成長を支えたのは疑いない。そんな労働集約大量生産型仕事に必要とされたマンパワーは定型的作業に適した平準化された大量の労働力であった。日本の教育もまさにその優秀な人材を供給するようにデザインされていたのである。そんな謂わばハードの時代は過去のものとなり、今後は第三次産業が中核となるいわゆる先端技術と情報の優劣が帰趨を決めかねないソフトの時代へと移ってきている。必要とされるマンパワーの質と量も、前時代とは明らかに異なってきている。その意味からいっても、「ハヤブサ2」や「富岳」の快挙は成功の実例として、後に続く人材に対するする動機付け、勇気づけの役割は大変大きく重要である。

3.     国民から集めた税金を原資とする必要不可欠なプロジェクトに対する投資は近視眼的な費用対効果の数値で測ってはいけない。限りがある原資の使途配分については、担当する当局の知恵、先見性、未来を読む慧眼が求められる。翻って見れば、コロナ禍のマスク供給に費やした400億円にちかい税金の無駄使いなどはやめてもらいたい。役人の鼎の軽重が問われたのである。

4.       次には、世界との交流はあらゆる分野で益々重要になっていく。日本の外に打って出る人材の育成と確保もmustだ。この点、内向き志向、上昇志向の欠如、目標・野心或いは夢の乏しさなど消極的にみえる若者たちの思考と態度は大変危惧される。国連と諸々の下部機関、世界銀行、世界保健機関(WHO), 国際通貨基金(IMF)、国際労働機関(ILO), 国際原子力機関(IAEA)など100を超える機関が世界には存在している。それらの組織の重要ポストをも日本人が占めることも重要な外交となり得る。謂わば国のソフトパワー戦略の一環になり得る。上記に述べた#1 と#2の視点とも呼応しつつ共通する重要な課題であろう。

5.      オリンピックに関しては、今の段階で “延期” 或いは “中止” を決定することも発表する必要もない。飽くまで実施するを前提で知恵を絞って計画を進めるべきだと思う。ただし、決定権はIOCが有しているので、彼らの専権事項である。必要な準備期間を考慮すれば来年の2月が3月が決定の最終期限であろう。僕個人的には実施は無理だと思っている。

ついでに言えば、オリンピック開催時期に関する最大の問題は、財政面でアメリカの大手テレビ局に頼らざるを得ないIOCは、アメリカ国内の人気スポーツの最盛期である秋を、優先させるそれらテレビ局の影響力に屈して真夏の不適当な時期に開催せざるを得ないのが現実である。これほど「選手と観客First」を無視した暴挙があろうか! オリンピックが金銭的な影響力に蹂躙されていると云っても決して過言ではない。北半球のオリンピックは昔、すべて秋開催であった。1964年10月10日、快晴の国立競技場の開催初日を鮮明に記憶している。

 

 

 

 

 

 

 

 

京都トレイルへ行ってきました  (39 堀川義夫)

 

昨年に引き続き、2020年11月25日から京都トレイルの旅に出かけました。

京都と言うと神社仏閣と言うイメージが強くありますが、豊かな自然に恵まれた山や里山が素晴らしいところです。

京都一周トレイル®は、京都の東南、伏見桃山から、比叡山、大原、鞍馬を経て、高雄、嵐山、苔寺に至る全長約83.3キロのコースと、豊かな森林や清流、田園風景に恵まれた京北地域をめぐる全長約48.7キロのコースからなります。(左下図参照)私は昨年初めて行きました。そして、これは何としても完全踏破をしようと、思い立ち今年も紅葉の最盛期に訪れました。昨年は、様子がよくわからないので知った地名をと言うか馴染みなある場所を考慮して、初日は栂尾の高山寺から神護寺⇒清滝⇒嵐山。2日目はケーブルを使って比叡山⇒大原三千院。3日目は大原⇒鞍馬山⇒貴船と歩いてみました。初日と3日目は高槻に住むKWV後輩の奥本耕三君が同行してくれて、素晴らしいワンデリングをすることが出来ました。

そこで、今年は、昨年中途半端に残してしまった阪急上桂駅嵐山⇒西芳寺(苔寺)⇒松尾山⇒嵐山を到着日の午後に、そして、2日目は東山トレイルと言われる伏見稲荷⇒大文字山⇒銀閣寺。3日前は銀閣寺⇒比叡山。4日目は時間が午前中しかないので伏見桃山⇒伏見稲荷の伏見・深草ルートを歩き、2年で京都一周トレイルの貴船口から高山寺を残して全部縦走路が繋がりました。来年は、この残りと京北トレイルの約50kmを踏破したいと思っています。

 

(編集子)ステイホームも京都の罹患増加もものともせず、ワンダラーには前進あるのみ。だいぶ話が古いが、アジア大会、というのが現役時代にあって、その標語が EVER ONWARD !  だった。まだホリが入部前のころかな?

 

“玉手箱”騒動について

”はやぶさ2” が持ち帰った ”玉手箱” が話題になっているが、親しいふたりの友人から、

”必要以上に騒ぎすぎやしないか?宇宙の果てがどうこういうより、することがあるんじゃなかろうか。ほかの国ではもっと現実に即した、役に立つことに資源を集中しているのにこれでいいのか?ひょっとしてオリンピックを強行したいがためのめくらましなんてこたあねえだろうな?

というメールをもらった。共感する部分もあるのだが、自分の意見を返信した。紙上討論会にでもなれば面白いかと思い立ち、小生の返信を転載する。

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メール拝見、小生には異論あり。
1.このプロジェクト自体が昨今の非常時に計画されたものなら別ですが、何年も以前に計画され、たまたまその成果がこの時期に現れた、といういわば偶然の一致であることを第一に考慮すべきです。
2.米国やそのほかの国々はもっと役に立つことをやっているのに日本は、という論議には大いに異論があります。彼らがやっていること、特に軍備についてはもちろん反対であります。しかし舞台が宇宙にまで広がっている、ということははるか以前から、彼らが宇宙を対象とした多くの実験やプロジェクトを繰り返し、その成果をもとにたとえばミサイルであり、”スターウオーズ” とよばれている現在の軍拡競争に至ってしまっていることを忘れるべきではないと思います。欧米はいいが日本はダメだ、という議論はもうやめませんか。日本のやっていることが役に立たない、ということは確かにたくさんあるでしょう。しかし今回のプロジェクトは議論だけで成功したのではなく、日本の中小企業の持つ底力があって初めてできたのだと理解しています。0.001ミリの精度を要求された機械部品の製造などは日本以外ではまだできないはずです。たまたま今度のプロジェクトで日の目を見た日本の力が今後、全世界の役に立つ日がやがてくるのではありませんか。
3.今回の研究成果が人類の役に立つのか?という疑問には別の観点からの異論があります。たしかに地球の誕生やらなんだらがわかったから何だ、と言われればその通りです。しかしそれならば、たとえば1200年前にどんな和歌が詠まれていたのか、シェイクスピアがどうしたのか、古代の生物の化石がみつかったがどうか、などなど、もし現実に役に立たないものは意味がない、とすれば、今の人類が類人猿からどうやってここまで来たのか、その秘密が人類だけがもつ好奇心とか事物の改良とか発見発明だとか、その原動力になった文化というものの持つ意味をすべて否定することになりませんか。万葉集の研究と宇宙科学を比較してどっちが人類のためになるか、だれにもこたえのない不毛の議論だと思います。学術会議のメンバーに誰を選ぶか、がこんなに問題になるのは、やはり人々が学術とか文化というものを大切にしたい、そのための研究の自由が脅かされてはならない、と思っているからではないでしょうか。
4.民主党政権の時、スーパーコンピュータ開発予算の議論で世界一の技術を満たしたい、という研究者の意見になぜナンバーワンでなきゃいけないんですか、ツーではだめですか、というバカな議論をした女優もどきがいましたね。
今、富岳 はそのナンバーワンを実現して、リアルタイムのシミュレーションなどで力を発揮し、コロナの問題解決に貴重な資料を提供しています。之もあの時の議論でナンバーワンが実現していなければできなかった話です。そのときの ツーではだめですか議論はまさにそんなものは研究者の自己満足だから、というものだったと思います。
5.オリンピック云々の話については小生も賛成します。どういう背景があるのかわかりませんが、この時期に世界から人間が集まるということの持つことから言っても、延期すべきだと思っているので。ただそのために今回の成果でめくらましをしているというのは飛躍していませんか。
6.僕の考えはもっと素直に、世界水準以上の成果が出たことを単純に慶賀すればいいのではないか、と思うのですが。マスコミのフィーバーぶりには確かに苦笑しますが、コロナコロナに明け暮れている日本人の間に何か明るいニュースがあれば、という風に受け取れませんかね。

 

プレスリー(確か、名前はエルヴィス)につながる話

(きっかけ)

小田篤子です。ミニヴァー夫人もグリーンブックも好きなのですが、一時ジョナサン.リース=マイヤーズのファンの時がありました。”べッカムに恋して”…(アメリカに住むインド人の女の子がベッカムを大好きになり、両親に内緒でサッカーを始め、コーチのリース=マイヤーズに恋してしまう。)を観てからです。

(編集子: 前後関係不明なれど話のきっかけとしてはじゅうぶん)。

次には”奇跡のシンフォニー”(絶対音感をもった施設に入っている少年がギタリストの母とロック歌手の父に音楽祭でめぐり会う話)を観に行きましたら、偶然、リース=マイヤーズがいきなり画面いっぱいに写りビックリしました。父親で、ロック歌手の役です。

私はElvisのファン(亡くなってから)でメンフィスのグレースランドや、ラスベガスでのシルク ド ソレイユによる “VIVA  ELVIS” も観に行ったりしましたが、リース=マイヤーズは偶然”ELVIS”という作品でELVISを演じ、ゴールデン グローブ賞を受けていることも分かりました!

そして、この “パリより愛をこめて”は、これ又偶然に娘が映画館でみかけ、パンフレットを買ってきてくれた作品ですが、未だスパイ物なので観ておりません。やっと本日観ようと思います! (編集子注:なるほど。本日観た結果知りたい)

(久米)ここでElvisファンに遭遇するとは思いもかけませんでした。
凄く嬉しく思います。日本人はいまだに彼をプレスリーと呼ぶのが
許せないでおります。私は中学2年生以来熱烈ファンです。彼が亡くなった時は
思わず「私の青春が終わった」と感じたものでした。当時30私は30歳だった
かと思います。
ここの会でもその内Elvisの話題を投稿しようかと考えておりました。成長してから暫しElvis君から離れておりましたが60歳くらいから又熱が蘇り没後30周年のElvis Weekにはメンフィスに出かけハートブレイクホテルに宿泊致しました。その2年後にはバースデーウイークに再びメンフィスを訪れました。
Elvisに関する書物やらDVD、CD本当に良く収集したものだと感心しております。最近、少々いっときの熱も冷めたのか最近彼の音楽から離れております。
リース=マイヤーズが”ELVIS”という作品でELVISを演じ、ゴールデン グローブ賞を受けていること全く知りませんでした。貴重な情報ありがとうございました。

(中司)コブキよ、気安くエルヴィスなんて呼ぶな! おめえ、ゲイリーだとかグレゴリーなんて呼ぶのか?

(久米)先輩に盾ついて申し訳ありませんがElvisはElvisです。我等Elvisファンは誰しも、そう呼びます。決してプレスリーとは呼びません。

(小田)Giさん、ファンは皆エルビスといいます。湯川れい子さんが会場で発音練習を以前して下さいました! お昼に脂濃い物を食べ過ぎ胃が痛かったのですが、久米様のメールで治りましたq(^-^q)

(田中)俺を、新弥と呼んでも良いよ☺️あはは。

(菅原)エルヴィス・プレスリーは、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラかく語りき」と共に登場、ってのは良く覚えています。
本日は、その話しではなくエーガの話しです(以下、詳細はWikipediaによる。65年以上前のことなんか覚えていません)。それは、1955年の「暴力教室」(Blackboard Jungle)。米国の高校の凄まじさ、そのワルの代表が、後にテレビ「コンバット」で鬼軍曹をやったヴィック・モロー(残念ながら、事故で早逝しちゃいましたが)。グレン・フォードとかアン・フランシスが出てたってあるけど、完全に忘れた。でも、それ以上に衝撃的だったのは、ビル・ヘイリー(白人だったとは知らなかった)の「ロック・アラウンド・ザ・クロック」です。これは、今でもその一部が口をついて出て来ます、下手なりに。確か、出だしがこの音楽(ロックン・ロール)で始まったんじゃなかったかな。でも、ビル・ヘイリーってのは、プレスリーほど、女の子がキャーキャー言うほどの良い男じゃなかったなー(失礼!)。

(中司)スガチュー、暴力教室のテーマがロックアラウンドザクロックだったのは正解。ま、何はともあれ、俺たちの高校時代、振り返ってみておやじや兄貴たちの戦後がおわって、”戦争を知らない子供たち” なんてフォークソングが出て(もう少し後だったが)、大げさに言えば若者の世界がコペルニクス的転換をした、あの頃のシーンだったよな。プレスリー、永遠なれ、か。