◉ アルコール飲料の糖質
醸造酒(ビール、日本酒、紹興酒、マッコリなど)には、基本的に糖質が含まれています。辛口ワイン(赤、白)は、糖質含有量がごく少量であり、血糖値をほとんど上昇させません。赤が一番低いです。ロゼもシャンパンも、白の倍近い糖質量です。ワインも、シャンパンも大量に飲むのは避けたほうが良さそうです。
焼酎、泡盛、ウィスキー、ブランデー、バーボン、ラム、テキーラ、ジン、ウォッカなどには、糖質は含まれていません。しかしながら、カクテルにすると、糖質たっぷりのアルコール飲料になってしまう可能性が高いので、ご注意です。カクテルのベースになる、カンパリ、キュラソーは、糖質たっぷりです。
カクテルの副資材には、たくさんの種類がありますね。ジュース(果汁や野菜)、牛乳、炭酸飲料(炭酸水、トニックウォーター)、シロップや砂糖。これらはやはり糖質たっぷりになってしまいます。ただし、無糖の炭酸で作るハイボールは、糖質が入っていません。糖質ゼロ発泡酒や糖質ゼロ日本酒も販売されてます。糖質ゼロのビールも発売されましたね。糖質ゼロワインなんてのもどこかで見たような。
糖質ゼロ表示の意味は、栄養表示基準(東京都の栄養成分表示ハンドブック P29 栄養強調表示が見やすい)に基づくと、「無、ゼロ、ノン、レス」等の含まない旨の表示の基準値は、栄養成分の量が、食品 100g(100ml) 当たり、「糖類0.5g」であることと書かれています。糖類と書かれているのですが、糖質と読み替えても良いということで、「100ml中、糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示できる」ということになっています。ということは、350ml缶なら、1.75g未満の糖質が含まれている可能性はあります。
◉ アルコールの代謝
アルコールそのものは、1gが約7kcalの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取するとその約70%が利用されます。エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。アルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がなく、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。つまりビール腹というのは、アルコールが犯人ではなく、ビールに含まれている糖質が真犯人です。
ただし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、分解が終わるまでの間、肝臓の糖新生(糖を作る作用)がブロックされてしまいます。従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓が糖を作ることを抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。と言うよりも、糖尿病などの疾患を持っている人や、肝臓が糖を作る機能を使う薬、例えば、プレドニゾロンなどのステロイド(副腎皮質ホルモン)を使っている人は、危険な場合があります。私は、造影剤にアレルギーを持っています。造影剤を使う検査がある場合は、プレドニゾロンを服用しますので、その間はアルコールは飲むことが出来ません。
(注)糖新生については、別の機会に説明しますが、人間がもともと持っている機能で、この機能がないと、生きて行けません。外部から糖を摂取すればいいという話ではありません。
◉ アルコールの体への影響
血液の肝機能検査の中でγ-GTPは、通常お酒を飲むと上昇すると言うことは良く知られています。ビールなど糖質を含む酒をやめて、ウィスキーや焼酎など蒸留酒に切り替えると同じ量のアルコールなら、γ-GTPが改善することがあります。一見意外なこの現象も 酒飲みの糖質制限食実践者で、結構よく経験しましたと医師は書いています。もっとも、量的に飲み過ぎの人は、γ-GTPも高値のままのことがありますので、ご用心下さいとも言っています。
◉ アルコール飲料の一日摂取量
米国糖尿病学会は、アルコール24g(30ml)/日を、食事と共に摂る程度なら適量としています。それは
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
しかしながら、アルコール乱用または依存症の既往歴がある人、妊娠中の女性、並びに肝疾患、膵炎、高度の神経障害、或いは重度の高トリグリセリド血症のような症状の人は、飲酒を自制するよう指導されるべきであるとしています。余計なことですが、日本糖尿病学会ではアルコールの摂取は禁止です。
アルコールは肝臓での脂肪の合成を非常に促進するので、血中中性脂肪濃度が高値となりやすいのです。10時間以上絶食して、朝に中性脂肪値を測定しても、高値の場合はアルコールの影響の可能性があるので注意が必要です。
酒が不味くなったと、お叱りなきよう。