”とりこにい抄” 12 ケープコッドの印象

会社時代米国主張先は事業所があったカリフォルニア、オレゴン、アイダホがほとんどだったが、何回かはそれでも東部にいくこともあった。ボストンにあったメディカル事業のオフィスを訪れたとき、週末を使ってピューリタン上陸の歴史ゆかりの地とかケネディ一家の別荘の所在地ハイアニスポートあたりをドライブしたことがある。そのとき足を延ばして明るい海岸線を走りケープコッドへ行った。およそ ”旅愁” などとは無縁のつもりだったがどういうものか 寂しさ を感じたときの感傷である。

 

ケープコッド

 

”ひどい風だね“ 乾いた東部訛りでその男は言った

”地球が丸い、ということを信じるかね?“ と俺は答えた

少し話をしたいと思うような相手だったが

”信じるね。丸いさ” といった男は

少女の肩に手を置き枯草の上を辿っていってしまった

マサチューセッツの夕陽が二人の影を引きずり

重いエンジンの音が俺だけを置きざりにする

振り向いた世界にはなんの色もなかったが

目の前にひろがる大西洋にはそれがあった

むらさき色の、その輝かしい絶望のなかへ

俺は心を投げる

ひとりぼっちの忘年登山  (39 堀川義夫)

今年最後のワンデリングに急に思い立って、一人ぼっちの忘年登山に天気も良いので出かけてみました。伊勢原から日向薬師までバス行き、7:50から歩き始め大山山頂を目指しました。

私の年齢では経験のない、コロナウィルスと言うモンスターに翻弄され続けた1年間でした。振り返ると予定された(予定していた)ワンデリングをどれだけ中止・変更したことでしょう。海外旅行は2月から3月にかけてぎりぎりの思いで行ったフランスのスキーだけで9月と10月に準備していたアラスカ旅行とアメリカ西海岸のツアーは全て中止にしました。両ツアー共に1年後即ち来年2021年の9月、10月に延期にしましたが、昨今の状況では実施できるだろうか懸念されます。でも、その中、反発したわけではありませんが、間隙を縫って回数にしてこの「一人ぼっちの忘年登山」で今年19回目のワンデリングとなります(日帰り10回、スキー2回内1回は海外、冬山を含む1泊以上の登山7回)。特に夏から秋にかけてはコロナに対して、自分でもこれでいいのかなと思いつつも泊りがけのワンデリングを楽しみました。

 最近の私は、思いついたらなんでも消化することに専念しています。何時どうなるかわからない社会の様々な現象、また、明日には自分自身が動けなくなるかもしれない年齢になっていることを鑑み多少の批判を受けようとも、やりたいことを悔いなく満喫したいと思っている、今日この頃です。

予定していたコースタイムで大山山頂に来てやっと富士山を望めました。下山は阿夫利神社(下社)を通らずに蓑毛に下山してバスで秦野へ。天気は最高で暖かく気持ちのいいワンでリングでした。予定より早く完歩できたので電車で一つ戻って渋沢のいろは食堂で女将としばし歓談。ご機嫌で帰宅の途につきました。

今回のパンデミック(コロナ禍)で社会格差は解消するか?  (HPOB 菅井康二)

ご存知かもしれませんがスタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授は(1993年ウィーン大学古代史Ph.D)その著書 The Great Leveler: Violence and the History of Inequality from the Stone Age to the Twenty-First Century(邦題:暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病、平等は破壊の後にやってくる)で歴史を省みると平和な時代に拡大した社会的な格差(不平等)は邦題にあるようなカタストロフィーによってリセットされるという説を唱えています。

シャイデル教授は大東亜戦争(私は「右」ではないと自認していますが連合国側の「太平洋戦争」という呼称には違和感があるので)敗戦によって我が国が経験した大きなリセットが戦争による格差解消の一例として取り上げているのですが、これは富が富裕層から低所得者層に移転したものではなく、富裕層が抱えていた国富が消失したことが原因といえます。要するに国民がほぼ等しく貧乏になったという格差解消だと理解しています。

現在進行中のコロナ禍によってこの現象(格差の是正)が起こるかどうか?。先にご紹介した「コロナ禍でパラダイム・シフトは起きるか?」という識者達によるディスカッションによれば14世紀に起こったヨーロッパでのペスト禍や大航海時代に新大陸にスペインによって持ち込まれた感染症などのように社会的に巨大なインパクトを与えるほどの極端な人口減が伴わない限りそれは起こらないという見解でした。

事実100年前に我が国も経験した「スペイン・インフルエンザ」は全世界で5,000万人の死者(日本本土で45万人(人口の0.8%)外地(朝鮮、台湾)を含めると74万人、当時の日本統治下では人口の0.96%の死者に相当)がでましたが、一昨年に亡くなられた歴史人口学の泰斗であった速水融名誉教授の力作「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争 にも関東大震災の五倍近い人的被害を出しながら近代史のどの本にも出てこないと書かれています。第一次世界大戦という大事件の影に隠れてしまったという嫌いはありますが、このパンデミック終息後には世界は何も変わらず元に復したということです。

話はマクロからいきなりミクロの世界になりますが、今月初めに塾高時代からの同級生2人といつも美味いものを出してくれる銀座のカウンターとテーブル1つという小さな和食屋(昔流にいえば小料理屋)でささやかな「忘年会」もどきをやりました。こんなご時世でなければ予約の客で一杯なはずなのに結局最後まで我々以外には訪れる客はありませんでした。女将は嘗ては新橋でお座敷に出ていた美形で常連の顧客には所謂富裕層(金持ち)が多いようです。

銀座でも飲食関係の店は厳しい状況で営業を諦めて閉店した店が結構あるそうです。ただ、女将の話では「お金持ちにはブランド品などの高級品はよく売れている」とのこと。特に何年も経っても価値の変わらなモノ(例えば都心のマンションが買えるような超高級腕時計など)が売れているそうです。「これだけ世界中にお金がばら撒かれているので数年後に起こるかもしれないインフレ対策では?」というのが女将の見立てでした。

これが全てではありませんし、現在のコロナ禍がどのように進行しどのように終息(収束)するかは分からないのですが、ワクチンが効果を発揮し今後このレヴェルで推移するようであるならば格差は縮小するよりも寧ろ逆に拡大するような気がしています

”ミス冒”愛好会 (9) Ryo is back !

海の向こうではバイデン次期大統領が America is back ! とわめいておられるようだが、本文の Ryo とは小生のお気に入り、原尞 のことである。

昨日、散歩の途次、3日ぶりに駅前の本屋でへ立ち読みに入った。いつもは通過してしまうのだが、ハヤカワポケットミステリの棚を眺めたら、なんと原のデビュー作、”そして夜は甦る” が入っているのに気が付いた。高校時代、初めてのミステリを読んだのがこのポケミスで、以来数十冊に及んでご厄介になってきたが、日本人の作品が入っているのは初めて見た。この本の解説にもあるが、日本人の作品としてポケミスに選ばれたのは4人目(ほかの3人は戦前の大家たちで、小生、名前は知っているが作品を読んだことはない)だそうである。

原はフリージャズのピアニストとして玄人筋には知られた人らしいが、その時代のことは知らない。本人の言っていることではチャンドラーにあこがれ、特に ”さらば愛しき女よ に1ミリでも近づきたい、と思って” ハードボイルド作家の世界に飛び込んだのだという。今までに長編を5冊出しているが、この処女作から最近作の ”それまでの明日” まで、実に30年の間隔がある、いわくつきの寡作家なのだ。僕はこの本に出合ったのがいつだったか、記憶にない。しかしとにかく次の作品が出るまで、イライラしてきたことは間違いない。それをポケミスの中に見つけたときは、まさに Ryo is back ! と思ったものだ。初めに買った本は手元に見つからないし、世界に名高い文庫に収納された、その記念にと2冊目を買ってしまった。改めて読んでみると、初めのほうで関係者の大富豪の家を訪ねるくだりは さらば. の前に書かれた 大いなる眠り のイントロを彷彿させるし、そこかしこの描写文にもチャンドラーの香りがするようだ。

ストーリーを解説するわけにはいかないが、主人公の沢崎のオフィスが新宿にあることから、サラリーマン時代のピーク(その後には予想もしない深い谷に飛び込んでしまったのだが)を過ごした、今様に言えば胸キュン、というのか、西新宿あたりの光景が出てくるし、おんぼろブルーバードで走り回る地名もよく知っているあたりが多い。だが、なんといっても文体が素晴らしい。硬くて、突き放すようで、しかしヒューマンな、というのは実に陳腐が表現だが、そういうものを感じる。”ハードボイルド” の定義では文体が重要な要素になっているが、僕の程度の読み方では、専門家がその手本としてあげるヘミングウェイ(翻訳された形でしか比較できないのは当然だが)よりも心に残る、応える、そういう文体なのだ。

ミステリというだけで敬遠する人もいるし、ハードボイルド、となるとさらに遠ざかってしまう人たちがたくさんおられるのはもちろん承知しているのだが、コロナ騒ぎで行動が束縛される日がまだ続きそうだし、テレビばかりでなく、ま、”ミス冒” への偏見(?)を払拭していただくためにも、初めは暇つぶしでも結構、ぜひ、一読をお勧めしたいし、読後感の交換なんかができれば誠にうれしい。

今晩は久しぶりに沢崎に会おうか。まことにキザで書くのもきがひけるけど、沢崎にはバーボンが合うように思うんだが、彼は事情があってアルコールを断っているから、やはり独り酒かな。それにしても俺も結構酒飲みになったもんだ。これもコロナのせいなんだが。

エーガ愛好会(36)久しぶりの西部劇  (34 小泉幾多郎)

12月25日BSP放映「七人の無頼漢SevenMenFromNow 1956」のことよ!

ジョン・ウエイン設立バトジャックプロ製作で、製作者に、弟ロバート・E・モリソンとアンドリュー・V・マクラグレン、監督はバッド・ベティカー脚本バート・ケネディといった顔触れ、しかも共演があの離婚騒ぎまで起こしたゲイル・ラッセルではすべてがジョン・ウエイン好みのスタッフ、キャストだったのだが、残念なことにジョン・フォードの「捜索者」とかち合ってしまい、ランドルフ・スコットに。彼とゲイル・ラッセル共演という魅力的な取り合わせなのに、映画館で観ていないのだ(未だに実際に公開されたのか信じられない)

ゲイル・ラッセルの映画は「密輸空路1945」「拳銃無宿1947」「怒涛の果て1948」「熱風の町1949」等々観たが、その後アルコール依存症から5年ばかり出演作がなく、久方ぶりの登場だったが、この映画の5年後37歳の若さで亡くなっている。ブルネットにブルーアイズで明眸皓歯の美女で、その大きな瞳に見つめられると当時の若者は彼女の虜になってしまうと言われたぐらい心ときめいた女優だった。

妻を殺された元保安官ランドルフ・スコットが犯人の七人の無頼漢を追うスト
リー。冒頭、雨の夜、岩場に休みコーヒーを飲む二人の男のところにずぶ濡れで現われるプロローグ、語り合う間もなく銃声、次には男が2頭の馬を手綱をとっているシーンから始まる。七人のうちの二人ということが分かる。次に幌馬車で歩を進める夫妻(妻がゲイル・ラッセル)と一緒に旅することになり、その後保安官時代に二度ほど逮捕したことのあるならず者2名(うち1名が若きリー・マービン)とも一緒になる。結果的には、夫妻が運んでいたのが、盗まれた金塊で、夫の方は裏切られた無頼漢に殺されてしまう。スコットとマービンとで残りの五人の無頼漢を殺し、最後は金塊を狙うマービンとスコットが決闘になり、めでたしとなる。

あらすじを書いても何ら面白味はないが、大自然を背景に旅する幌馬車に、先住民との戦いもあり、単なる無頼漢七人との戦いに終わらず、実直な夫ウオルター・リードや曲者リー・マービンが加わったことで、ストーリーが複雑化し、ラッセルとスコットの淡いロマンスも良い。やはり本来の西部劇は単純とは言え気分よく楽しんだ。

(編集子)たしか小泉さんが一番気に入っている、女優がこのゲイル・ラッセルだったはずだ。”あの大きな瞳に見つめられて” 震えていたのは高校時代?

リー・マービンの若さにはびっくりする。いろんな場面での悪役ぶりを見てきたが、一番凄味があったのは リバティ・バランスを射った男 だった。それにしてもこの映画の決闘シーン、スコットの抜き打ちは早かった。シェーン のアラン・ラッド vs  ジャック・パランス対決より早かったんじゃないかなあ。

ミス冒愛好会 (8)俺のベストミステリ  (普通部OB 菅原勲)

「らせん階段」(1933年)を読んだ。これを書いたのは、A.ヒッチコックが監督した「バルカン超特急」の原作者、女流作家、エセル・リナ・ホワイトだ。久し振りの「ハヤカワ・ポケッット・ミステリー」(1749番)だったが、その惹句に、このミステリーは「ゴシック・サスペンス」とあった。しかし、話しは、極めて淡々と進み、最後も淡々と終わり(不幸にして、小生、途中で誰が犯人か分かった)、何が「ゴシック・サスペンス」なのかさっぱり分からずに終わってしまった。一言で言えば、ツマラナカッタ。従って、「バルカン超特急」も、図書館から借りる予定だったが止めた。

そこで、ジャイが、ドーダ、スゲーダロウってのを以下に記す。年末年始、紅白も見ず(でも、坂本冬美は、見て聴きたいなー)、箱根駅伝も見ず(小生、駅伝は大っ嫌い)、読み耽っても全部は読めそうもない。ジャイはハードボイルドにアウフヘーベン(ヘーゲルのこの言葉、一度、使いたかったなー。でも間違ってるかな)しちゃったけれで、小生は、本格探偵小説に留年し続けている。

1.「秘中の秘」(1903年):W.ル・キュー

2.「悪魔博士フー・マンチュー」(1916年):S.ローマー

3.「古本屋サロウビイの事件簿」(短編集:1899年―1923年):J.B.ハリス・バーランド

4.「血文字の警告」(1945年):S.ロジャース

5.「冷血の死」(1956年):L.ブルース

以上は市販されておらず、全て私家版だ。つまり、こんな本を、私家版であるにせよ、出版するのは、小生の到底及ばぬ探偵小説バカがいると言うことだ。それも超が付くバカだ(頭が悪いと言う意味ではない)。

なーんて格好良いことを言ったが、紅白を最初から最後まで、箱根駅伝は2/3日と見ちゃうんじゃないかな。ま、そんなことは絶対ありません。

(編集子)目下認知症予防にとほそぼそとドイツ語を勉強してる立場から言えば、Aufheben の使い方は正しいと思う。ただオレのことのために使ってもらっちゃ申し訳ない。ところで、確かに凄いリストだ。脱帽。きいたことがあるのは フーマンチューくらいなもんだな。

ミス冒愛好会 (7)なぜ エルキュール・ポワロはベルギー人か (44 Yumi Ono-Dubois)

何故Hercule Poirot (エルキュール・ポアロ)がBelge(ベルギー人)なのでしょう?

英国人が嫌うFrench(フランス人)では無理。 Flamands (フラマン人、国の北部に住みオランダ語に近いフラマン語を話す)とWallons (ワロン人、南部に住みフランス語を話す) を抱えるベルギーなら中立であるし、フランス料理もたしなみ、Hastings以来の英国紳士(11世紀、フランスのノルマンディ公 -  後のウイリアム1世 – が英国南東部のHastingsヘイスティングスで英国軍を破りグレートブリテン島全体を支配。俗にNorman Conquestという。現在に続く英国の始まりとされる。)とは対照的に愉快な人柄でもあり、アールデコ(Art Deco)時代のデコ(装飾)も車や、そして英国のブルジョア、貴族社会のモナーク(Monarch君主)を中心とした伝統的な確執システムの中の外人探偵(ベルギー人)であれば英国人とは対照的に、3D(three dimensions3次元)の色彩豊かな人物像が描けることでしょう。

(同期 安田耕太郎鋳)

S44卒の同期に Yumi Ono-Dubois (旧姓:小野夕美)さんがいます。日本航空パリ支店勤務を経てフランス人と結婚、フランス在住40年以上、現在もパリに近いヴェルサイユ近郊にお住まいです。その彼女に「ポアロはなぜベルギー人か」を問いかけたところ、フランスの香りのする返答が以下の通りありました。カッコ内は安田が補記しました。12月18日付の掲題の弊投稿記事を併せお読みください。なお、マダム・ドゥボア女史からは今後折を見てフランスから投稿したい旨の嬉しい発言がありました。

コロナの現状と我々の行動    (34 船曳孝彦)

第3波はますます勢いが増してきてしまいました。この1週間、毎日その曜日の発生件数が新記録を出し続けています。 会食後の感染者が増え、旅行者の感染も増え、Go-To政策が響いたことは明らかですが、事態は深刻になってきました。

昨日、日本医師会、東京都医師会、日本病院協会、日本看護協会などから、医療崩壊に突入しつつあり、早急な対策を求める声明が出されました。前回は旭川の危機を訴える記事を発信しましたが、今は東京、大阪などで、コロナ用ベッドが満床に近づき、非コロナ救急患者の診療も含めて、いよいよ医療崩壊に陥り始めていると、悲痛な声明なのですが、政府の耳には届いていそうもない。政府も都も何の回答も出していない。危機意識はあるのだろうか。

本当に危ない。本気にならなければいけない。私の読者の皆さん。本気で考え、新感染者を出さないよう協力してください。そうでないと日本の医療は崩壊し、一旦始まれば取り返しが効かなくなります。私はコロナよりもガン、心疾患、膠原病などの重篤成人病や、外傷などの救急医療、糖尿病、高血圧などの慢性成人病などへの影響が大きいと憂えています。

会食はもうしばらく我慢しましょう。旅行も控え、デパートスーパーなどの買い出しも最小限にしましょう。 ヒト=ヒト感染ですから当然ながら、人出の人数と新感染者数は明らかに相関します。首長が熱心な都市では新感染者は減り、大阪ではやや下向き傾向が出ていますが、東京などでは感染者のカーブは上を向いています。一般にトップが本気で取り組まないと社会は動きませんよね。

看護師の離職も増えています。感染関連病院では21の病院で、全体でも15の病院で、離職者が出ています。国や都は潜在看護師(働いていない看護師)を動員せよなどといっていますが、この危険な、しかもボーナスさえ満足に出ない可能性のある時期に、それは無理でしょう。 医師や看護師には、暮れ正月返上で働けと言っていながら、この国家存亡(冗談でなく)の危機に、国会は1月18日までお休みと。どう思います?

イギリスをはじめ、ヨーロッパ各地でVirusの変異が見つかり出しました。前から言っていた第2波(第3波)がいよいよ始まったのです。現在の変異は感染力だけは強そうですが、悪性度の増す様な変異ではなさそうということですし、ワクチンが無効になるような変異でもなさそうということで、助かりますが、感染力は数倍~十数倍というので大変です。日本の今はやっているVirusは、欧米型ですが、変異はVirus特有の性質で、2週間位でどんどん変異してゆきますので日本でも油断はできません。海外のVirus(変異した)を日本に持ち込ませないよう水際作戦が重要です。

足立ポイントー先輩の思い出    (41 久米行子)

10数年前になりますが、確かKWV三田会の夏合宿の前だったと思います。

港北ニュータウンには素晴らしい遊歩道が巡らされていて、今年もモミジが今を最後と美しい紅葉を見せております。

その遊歩道にトレーニングには丁度よい、登りがちょっときついコースがあって、一番上にトイレがあります。その日も夫婦二人で朝早くこのきつ目のコースを歩いてその脇を通り過ぎようとするとそこから出てきた男性が「オイッ!」と言うのです。こんな所でホームレスのおじさんに云いがかりをつけられてもいやだと二人して急ぎ足で通り過ぎようとすると、もっと大声で「オーイッ」と確かに我々に向かって怒鳴っていると思われるので知らんぷりをして歩き続けますと、今度は「くめっー」とはっきりと名前を呼ぶではありませんか。仕方なく後ろを振り向いて見ますとなんと34年卒の足立さんでした。よくよくお尋ねすると「今度の合宿に備えてトレーニングをしているんだよ」とのこと、我々も「誰に声をかけられているのか全く気づきませんでした。誠にすみませんでした。と平謝り。まさかホームレスと間違えましたなどとはお首にも出しませんでした。

しかし、別れた後、思わず、二人で顔を合わせて大笑いしたことを覚えております。それ以来そのトイレ付近を「足立ポイント」と名付けております。

足立さんとは住いが近いということもあって、我が家にお招きしたり、お宅にお邪魔して奥様のフラダンスを拝見したりして親しくお付き合いをさせて頂いておりましたし、時には駅前の居酒屋で待ち合わせてお酒を飲んだりしたものです。大変お酒がお好きで(特に日本酒)「酒場放浪記」の居酒屋を全国、訪ねて歩きたいなどと仰っていました。

(編集子)34年卒 足立政彦さん 2019年12月ご逝去

ミス冒愛好会 (6) アガサ・クリスティーのこと 承前 (HPOB 菅井康二)

菅原先輩のご質問に関して投稿します。私それほど熱心はミステリー小説のファンではありませんが、中学生時代に偶然手にとって読んだクリスティーの「ABC殺人事件」で謎解きの面白さとともに(アメリカは毎週TVで放映されたホームドラマでなんとなく分かった気になっていましたが)当時殆ど馴染みのない英国の風俗描写に魅了されたことを記憶しています。以降塾高に進学以降もクリスティーの小説を片っ端から読んでいました。

それでは、何故、クリステイーは、英国人ではなく、英国から見た外国、それも、フランス、ドイツ、イタリアなどの大国ではなく、小国のベルギー人を探偵にしたのでしょうか。アーサー・ヘイスティングスの知り合いだったと言うことになっていますが、その知り合いの中から、何故、ベルギー人でなければならなかったんでしょうか。逆に、どうしてクリスティーは、英国人を探偵にしなかったんでしょうか(全く関係ありませんが、英国には極めて魅力的な探偵、じゃない刑事フォイルがいたじゃないですか)。このことについて、クリスティーは、作品の中とか、或いは、自身で説明するとかしてるんでしょうか。クリスティーの失踪事件以上に、最大の謎ではないかと思っています。しかし、小生、クリスティーの全てを知っている専門家ではありません。従って、クリスティーが、男性の探偵を英国人ではなくベルギー人にした理由をご存知の方があったら、是非、ご教示ください。

残念ながら今手元にはないので貧弱な記憶が頼りなのですが、確かクリスティーが亡くなってから1年後に出版された『自伝』にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズと被るキャラクターは避けたかった、第一世界大戦中に英国に亡命してきたベルギー人に接して同情していたというような事が書かれていたと思います。この自伝を読んでみて感じたことはクリスティー本人はミス・マープルなどよりも遥かに活動的な女性だったということです。

人づてに聞いた話ですが、ベルギーは「大陸のアイルランド」と呼ばれることがあるそうです。これはU.K.(イングランド?に対するアイルランドの関係をフランスに対するベルギーの関係に模しているのだとか。個人的にその場面に接したことはないのですが、フランスは中華思想のようなところがあり周辺国の特にフランス語を使っている国(民族)を所謂「上から目線で見下す」ところがある(あった?)そうです。

(菅原)態々の電子郵便、誠に有り難うございます。良く分かりました。クリスティーの成功の一端は、ベルギー人を探偵にしたことのようですね。勿論、クリスティーの筆力がなまじっかなものでないのは言うまでもありません。実は、小生、海外勤務で、フランスはパリに2年ほど住んでおりました(1990/91年)。その際、オランダをpays basと呼んでおりました。日本語にすると、「低い国」、要するに海面より沈んでいる国です。菅井さんが仰る、正に上から目線の典型的な例だと思います。勿論、例外はありますが、フランス人は、大変、身勝手な国民でした。

(菅井)早速ご返信を頂戴し恐縮です。私の場合性格ゆえか読書に関してはかなり偏りがありジャンルというよりは気に入った作家を読むという傾向があります。クリスティーでイギリス風俗の下地が形成されたためか展開の緩い退屈との評判のジェイン・オースティンの小説も難なく読むことが出来ました。

バブルより遥かに前ですが友人の姉がパリのエルメスに買い物に行った際は場所柄もわきまえず日本人が来たというかなり失礼な扱いを受けたそうですが、
その後知り合いのパリ駐在日本大使館の一等書記官に同行してもらった時はVIP待遇だったという話を聞いたことがあります。
私にもフランス滞在経験がある知人が何人かおりますが、アメリカと違ってニュートラルな方は少ないようで好き嫌いがはっきり分かれるようですね。
U.K.もそんな感じがします。旧世界と新世界の違いでしょうか?