(船津)ヒッチコックはさすが見せ方が巧み。
時間も正味1時間40分ほどなので緊張感が最後まで持続して見て
いられる。ヒッチコック光と影のこけおどしは控えて、
黒の聖職者の「キャソック姿」が印象的に使われている。ヒッチコックが1951年に
「見知らぬ乗客」1953年に
「私は告白する」1954年に「
ダイヤルMを廻せ」1954年「裏窓」1955年「成金泥棒」1955年「ハリーの災難」1955年「知りすぎた男」1956年「間違えられた男」そして
「めまい」等ヒット作を連発した時代の作品で一番と言えるのではでは。それは何と言っても「
神父は告白を人に漏らすことはできないのだ!」
モンゴメリークリフトがあまりにも美しい。
彼はずっとキャソック姿なのだけどこれまた身長高いし美しい。
モンゴメリークリフトは1951年「陽の当たる場所」1953年「私は告白する」1953年「終着駅」「地上より永遠に」など油に乗りきったときの映画で何とも適役で在り、彼が居たからこそこの映画が作られたという感じがした。
モンティは子役として13歳でブロードウェイで初舞台を踏み、以後10年間は舞台で経験を積み、多くの作品で主演を務めて高い評価を得た。ハリウッドからの誘いを断り続けていた彼だが、1948年、ジョン・ウェイン主演の『赤い河』で映画デビュー。同年の『山河遥かなり』でナチスによって母親と離ればなれにされた事によって、恐怖のあまり人間不信に陥り失語症となった少年を保護した心優しい米兵を演じアカデミー賞にノミネート。その後『陽のあたる場所』、『地上より永遠に』でもノミネートされ、二枚目俳優として活躍する。
映画スタジオとの長期契約を結ばず、大作や話題作への出演も断ることが多かった。『波止場』、『エデンの東』、『サンセット大通り』、『真昼の決闘』などは彼が断った作品の一部である。
1950年頃からアレルギーと大腸炎に悩まされるようになり、その結果、アルコールとドラッグの問題を抱えるようになる。更に1956年に交通事故に遭い顔面を負傷、整形手術をするも顔の筋肉の一部が動かなくなってしまい、以後更に健康上の問題を抱えるようになる。1959年にはテネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化『去年の夏 突然に』、1961年にはマリリン・モンロー、クラーク・ゲーブル主演の『荒馬と女』に出演。1961年の『ニュールンベルグ裁判』ではアカデミー助演男優賞にノミネートされ、その後の活躍も期待されたが、1966年に心臓発作で死去した。
あらすじはカナダ・ケベック市の敬虔な神父マイケル・ローガンは、ある夜、教会で働くオットー・ケラーから強盗殺人を犯したとの告解を聞く。事件を担当するラルー警視は犯行時に犯人が僧衣をまとっていたことを突き止め、マイケルに疑いがかかる。だが、マイケルはケラーの告白を他言することができない。そのうえ、犯行のあった夜にマイケルが国会議員の妻ルースと逢っていたことがわかり、警察からの容疑が深まってしまう。
ルースはマイケルの無実を証明するために良人、検事、警視、マイケルらの前で、マイケルが聖職を志す以前の過去の恋を打ちあける。そして、事件の被害者であるヴィレット弁護士が、この過去の恋を材料にして2人を脅喝し続けていた事実も判明する。ヴィレット弁護士が殺害された晩は、その対策を相談するために逢っていたのである。
マイケルは起訴されたが、確証がないため無罪の判決を受けた。だが民衆は承知せず、マイケルに罵声をあびせかけた。事件の真実を知るケラーの妻が真相を話そうとしたが、ケラーに拳銃で撃たれ殺されてしまう。ケラーはホテルへ逃げ込み、ラルー警視はマイケルらとともにケラーを追った。マイケルはケラーを説得しようとしたが、逆上したケラーは自らの罪をラルー警視の前で暴露し、マイケルに拳銃を撃ってきた。ケラーはラルー警視の命令によって包囲する警官の銃弾に倒れた。告解という言葉ではなく告白とするなら、したのはケラー、ルース、ケラー夫人。ローガンができるのはそれらを評価せず受け入れることのみ。ルースが最後までその場に留まらず、晴々とした顔で夫とともに帰っていくところがちょっとおもしろかった。彼女はあそこで、彼はもう本当に神父そのものであるとわかって未練が断ち切れたのかも。
マイケル・ローガン演- モンゴメリー・クリフト ケベック市のカトリック神父。 ルース・グランドフォート- アン・バクスター国会議員の妻。今も元恋人のローガンを愛している。アン・バクスターもなかなかの好演で告白は泣かせる。
(保屋野)
ヒチコックの「私は告白する」初めて観ました。彼の多くの作品の中で、上位に入る作品だと思います。
「モンゴメリー・クリフト」演ずる神父が、殺人犯から告白を受けるが、次第に神父自身が容疑者となっていく展開も斬新で、サスペンス感も中々でした。ただ、被告になった神父が裁判で無罪となり、更に真犯人(告白者)が分り、あっけなく死んでしまう、という結末は少々単純すぎるのではないか?
そして何といっても、この映画はM・クリフトの存在ですね。私は「赤い河」ですっかりファンになって、彼の映画はまだ2本目ですが、あの「憂いに満ちた風貌」は、他に追随を許さない、不思議な魅力を持った俳優ですね。また、今回の相手役、「アン・バクスター」も、建築家「ライト」の孫だそうですが、少々地味ながら、魅力的な女優だと思います。
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