オミクロンをみくびってはいけませんよ   (普通部OB 篠原幸人)

ついに東京都のコロナ患者は連日2万人を超すようになりました。皆さんは御無事でしょうか? 皆さんは大丈夫でも、ご家族や親しい方の間にもコロナ患者は増えてきていると思います。あるいは沢山の方がご自分では気づいていないなんてことも十分想像されます。

中国では毎日あれだけPCR検査が行われているのに、日本ではPCR検査が間に合わないから症状から推定する「みなしコロナ診断」なんて、世界の先進国を自負していたかっての日本はどこへいってしまったんでしょうね。これも1年も2年前からこのような状況を想定して手を打ってこなかった厚生労働省あるいは政治の大失敗であることは明らかです。私も患者さんからの電話だけで、風邪やインフルエンザ、花粉症とコロナを見分ける自信は全くありません。

一方で「安倍のマスク」の嫁入り先が引く手余多だとはしゃいでいた人は、それにかかる運送費がまた莫大にかかると聞いて、おとなしくなってしまいましたね。自分の失敗には目をつぶり、成果は120%強調するのが、優れた政治家だったんですね。

さて、政府は3回目のワクチン接種普及に大わらわです。これ自体は私も大賛成で、是非進めて欲しいと思います。しかし、3回目接種はまだ日本の人口の数%ですが、まだ3回接種したのにこのオミクロン株に感染した人の%は発表されていません。そんな数字を今、出すと3回目接種推進の障害になると考えている役人・政治家もいるのでしょうね。3回打ったって、コロナに罹ることはあり得ます。但し、程度が軽くあるいは無症状になる確率は高いというデーターがあるだけです。もう3回打ったか方、今まで通り、油断をしないことが肝要です。

確かに重症肺炎コロナ患者さんは減りました。しかし死亡例は可なり出ています。特に本稿の読者は高齢な方も多いので、「コロナはもう風邪みたいなものになった」とは絶対に考えないでください。むしろ自分で気づいていない感染者が、貴方の周りにウヨウヨ居て、感染の危険度が高まったと思ったほうが良いかもしれません。

考えても見てください。例えば家族などに感染が出て濃厚接触者と判定されても、7日過ぎて何の症状がなければ、通常活動に戻っていいことになりました。それ自体は経済をまわすためにも私も賛成です。確かに最近のオミクロンは7日以内に99%ぐらいに確率で感染が起こります。だから患者やその可能性のある人に接触しても、7日過ぎて症状がなければ心配ないという考えは理論的には正しいのです。しかし、実はもうとっくに感染し、症状がないままに7日を過ごして、自分はコロナ感染は避けられたと自信過剰になる、こんな人も多いと思います。しかしこの根拠はなにもないのです。だって今回のオミクロンは本人は症状が無いか軽いのに、他人に特に持病を持った方に感染させる可能性が高いのです。久しぶりにお孫さんに会えたからと、イチャイチャするのはもう少し控えてください。オミクロンは無症状感染者が非常に多く、本人は平気でも、その方から感染した高齢者や何らかの疾患を持っている方は、たとえ肺炎にならなくても重篤な症状を呈しあるいは亡くなることも十分考えられるのです。

前回オミクロンは「曲者である」と私が書いた真意はそこにあるのです。オミクロンを見くびってはいけません。彼らは更なる進化(変異)あるいは飛躍を虎視眈々と狙っているに違いないのです。