エーガ愛好会 (351)動く標的   (大学クラスメート 飯田武昭)

2023/1/27付け本稿の記事で、

  “ハードボイルド” とは何か、については今更論じることはしないが、HBと定義される作品は文体とともに作品の主人公が 非情に徹する という行動原理に生き、片方では自分の存在はわすれても友情とか義理とかに忠実であるというストイックな感覚を持っていることが欠かせない”

という部分は正にハードボイルドの本質を表していると思いました。貴兄がハードボイルドの代表的映画として「動く標的」を挙げているので、改めて、この映画を再見しました.。

映画「動く標的」(原題Harper)1966年製作

監督ジャック・シュミット

出演 ポール・ニューマン(私立探偵ルー・ハーパー)           ローレン・バコール(失踪した大富豪サンプソンの夫人)          ロバート・ワグナー(元パイロットでミランダの恋人、アラン)       パメラ・ティフィン(大富豪サンプソンの娘、ミランダ)          ジャネット・リー(ハーパーの妻、スーザン)               シェリー・ウインタース(元人気女優)                  ジュリー・ハリス(バーの歌手、ベティ)                 アーサー・ヒル(ハーパーの友人・弁護士)

原作 from the novel “The Moving Target“ by Ross Macoonald

多数の登場人物が相互に関係がある人物構図が、それぞれの個性的な演技力で容易に理解できる点が、先ず映画としての面白さを満たしている。またクールさアクション、バイオレンスが程よく演出されている。特に主役のポール・ニューマンの演技は「ハスラー」や「スティング」などと並んで彼の代表作の一つと思う。

(編集子)この映画では、HBがその背後に持っているもう一つの意味、すなわち行動した後に襲ってくるであろう孤独感というかやりきれなさ、みたいなものが本というか文字、にあらわされていることよりも、よく漂わせていることを感じた。それがほかの映画化作品、たとえば ”三つ数えろ” なんかにはなかったように思えたものだった。一つ文句をいえば、なぜ主人公の名前を変えたのか(マクドナルドのシリーズキャラクタはリュー・アーチャーでなければならないのだ)、がわからないし、もちろん気に入らないということかな。