「マーヴェリック」で有名になり、アクション、コメディ両面で器用なところを見せてきたジェームス・ガーナー主演作。原名Skin Gameとは、詐欺、ペテン、インチキのことであり「マーヴェリック」同様に痛快で軽妙なる西部劇。今回は白と黒がコンビを組み荒らし回った痛快なペテン師の物語で、偏見問題も浮き彫りにしている。
1857年、未だ奴隷制廃止以前、白クインシー・ドルー(ジェームス・ガーナー)と黒ジェーソン・オルーク(ルイス・ゴセットJr )がコンビを組み、ミズーリ州各地で、白が奴隷を競売するふりをして高値で買ってもらい、その後黒が逃げ出し、競売代金を騙し取るという戦法を続けてきたのだった。或る日カンザスのある地で、奴隷商人プランケット(エドワード・アズナー)に遭い、にらまれることになるが、偶々奴隷制度廃止か否かの争いに巻き込まれ、殴り倒されたクインシーは、ジンジャー(スーザン・クラーク)という女性に助けられ、いい仲になる。ジェーソンの方も、黒人女性ナオミ(ブレンダ・サイクス)と仲良くなる。ジンジャーという女も食わせ者、カネや金時計を失敬する。コンビの活動が偶々その相手があのプランケット。それに加え、だまし取った男や保安官にも遭遇したりで、ジェーソンは奴隷収容所、クインシーは留置場へ。しかし、奥さんのフリをしたジンジャーが訪問、うまい具合にカギを手渡し、脱走。キャロウエイ(アンドリュー・ダカン)の牧場で働いているジェーソンを見つけ出す。途中痙攣性肺ペストが流行しているからこの血清が効くからと、500ドルで売り付けたり、ペテンは書けばキリがない。最後は再び奴隷商人プランケットが牧場にやってきて、賞金の出ているクインシーを捕え、杭に縛り付けられるが、牧場の雇われ人であり、ジェーソンと心を通わしたアフリカソンガイ族の4人の助けもあり、縛りを解き、銃でクインシーを狙ったプラケットを一瞬の差でジェーソンが撃ち殺す。プランケットの部下の馭者、クインシー、ジェーソン、4人のソンガイ族は、先に行っているジンジャーのいるメキシコへ、馬車を走らせる。無事ジンジャーと再会したクインシーは、メキシコでのコンビは解消、ジンジャーと共
にすることにしたが、話をしていて、全財産1万ドルの預金通帳が、ジンジャーものになっていることに気が付くのだった。愛していると言えば返してくれるのか、と言いながらジンジャーをクインシーが追いかけるところで終演。
主演者ジェームス・ガーナーの出演の「TVマーヴェリック」の第1作1957が29歳、「映画マーヴェリック1994」が66歳、この映画1971が43歳と脂が乗り切った時だけに、アクションとコメディの両面を奴隷問題を絡めながら、手慣れた役どころとは言え、好演している。ルイス・ゴセットjrも奴隷に成り下がりながらも、一般人としての権威も持ち合わせる人物を好演。10年後「愛と青春の旅だち」で鬼軍曹を演じ、アカデミー助演賞を受賞している。
(安田)1982年制作の「愛と青春の旅だち」(An Officer and a Gentleman)は40年前、僕が青年から壮年にさしかかる頃に観て、当時少なからず感動しました。今や忠犬ハチ公を描いた映画「Hachi約束の犬」(原題:Hachi: A Dog’s Tale) 2009年公開 で知られるリチャード・ギアが僕より3歳若い33歳の時に主演し(An Officerとして)、A Gentleman 役を演じたのが、「西部無法伝 Skin Game」にジェームス・ガーナーと共演したルイス・ゴセットJr。小泉さん仰る通り「愛と青春の旅だち」の鬼軍曹役でアカデミー助演男優賞を受賞。リチャード・ギアの相手役として出演したデブラ・ウィンガー共々忘れえない俳優陣でした。その軍曹役が11年後に偽奴隷役を演じたゴセットとは、小泉さんにご指摘されるまで気が付きませんでした。僕ら70歳を超える高齢者には如何なものかとは思いますが、面白い映画でした。
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