丹波の森国際音楽祭ガラ・コンサート (大学クラスメート  飯田武昭)

丹波の森国際音楽祭ガラ・コンサート≪シューベルティアーデ たんば2023≫(副題~ウイーンから愛のことづて~)を11月12日に聴きに行った。

この音楽会は派手さこそ無いが、今回第29回目で、毎年のようにウイーンからゲスト演奏者を迎え、約1カ月間に10回程度の各種コンサートが近隣各地で催され、ガラ・コンサートは兵庫県丹波市の「丹波の森公苑ホール」で開催されている。私の住む宝塚市からはJR福知山線の特急列車こうのとり号で約1時間にところの小さな駅(柏原駅)から徒歩20分程度にあるホールがガラ・コンサート会場になっている。一帯は里山、親水河川、芝生広場などの自然環境に恵まれた広大な地域で、略30年前からオーストリアのウイーンの森や南ドイツ・バイエルン地方の黒い森(シュヴァルツバルド(Schwartzwald))と提携関係を深め、丹波国際音楽祭をウイーンから演奏者を招聘してシューベルティアーデを毎年開催し、オオムラサキ(日本国蝶)の会が幼虫の羽化でウイーンのシェーンブルン動物園と提携して成功するなど、地道で且つ地域の住民の協力により徐々に大きなうねりになりつつある気のする兵庫県の一地域だ。私はオオムラキの会の会員として関心が高かったが、この度、ガラ・コンサートに参加して、その感を更に深くした。

世界の大都市以外での音楽会として有名なものは、アメリカでは私も1980年代のニューヨーク支店勤務時代に聴きに出かけたボストン郊外タングルウッド音楽祭があり、又は可って私の娘家族が住んでいたニューヨーク州北部の5つの湖フィンガーレイクの一つスキニアテレス(Skaneateles)湖畔で毎年開催される夏の音楽祭、ヨーロッパではオーストリアのウイーン郊外シェーンブルン宮殿庭園でのウイーンフィルの夏の夜のコンサートやドイツ・ベルリン郊外のワルトビューネ野外音楽堂でのベルリンフィルのコンサートがあるが、そこまで比較しないで考えると、丹波の森公苑での音楽祭は、それを鑑賞するには丸一日か二日の時間的余裕があるほうが楽しみは倍加されるという点では似ている気がする。

 

この地域は丹波栗や丹波の黒豆の産地であるが、宿泊施設が極めて少なく、JR列車で約30分離れた篠山口駅から徒歩10分のところにあるホテルを1泊2食付き予約して、翌日は丹波篠山市の篠山城跡とその武家屋敷群を観光した。駅からホテルまでの道は国道一本で徒歩約5分とのことだったが、この日、今シーズンで一番寒い日となった気温の低下もあり、実際には約10分が酷く長く感じた。ホテルの建物の前の広告塔にはホテル名以外に、丹波ひろし歌謡ホール、ヘアーサロンなど、如何にも昭和レトロ時代を彷彿される雑居ビルのネオン橙が淡く光っているのも気に入った。夕食はビル内の食事処で、これまたおでんの提灯が吊るされているカウンターもあるレストランで大きな四角いテーブルに2~3組がそれぞれ席を取り談笑も出来るユニークな場所だった。

シューベルティアーデ(Schubertiade)とはシューベルトが仲の良い友だちを呼んで自宅のサロンで開催したコンサートの意味。 丹波市ではテノール歌手で指揮者の畑儀文氏が中心となり、地元住民及び地元出身者主体の実行委員会が企画運営を行い、丹波地域の各地で大小様々なクラシックコンサートを行っている。

(追記)

ところで大都会以外での音楽会の一つ、長野県松本市で毎年開催されている小澤征爾主宰のサイトウキネン・オーケストラの今年の演奏会の録画を先日観たが、アメリカの映画音楽に足跡を残しつつある作曲家ジョン・ウイリアムズ特集で本人も来日して指揮したE.T.やスーパーマン、ハリーポッター、スターウオーズなどの曲であった。映画音楽も時代と共に変わってしまうのは仕方ないが、心に残るメロディアスな映画テーマ音楽と言えばやはり1950年代、60年代の映画音楽曲になると思う。口をついて出るのはやはり“真昼の決斗”のハイ・ヌーン、“第三の男”、“道”、“シェーン”、“荒野の決闘”のいとしのクレメンタイン、“旅情”、“慕情”など枚挙に暇がないこれらテーマ曲。これを脳が昭和回顧に侵された世代の感性と現代の人達は思うだろうが・・・実はこれらの曲を知らない人が言うだけで本当なんだと思う。