コロナの去った後  (34 船曳孝彦)

新型コロナは定点把握となり、正確な発生数は闇の中(本当はもっと多数であろうと思われます)ですが、最新の新患者数は1調査施設当たり2.86人で前週比0.88倍と連続して低下しております。感染症分類5類となり、5月の定点把握方式に転換してから、徐々に増加してきていましたが、8,9月をピークに減少してきました。後に述べますが、インフルエンザ並みから、逆にインフルエンザに越されてしまいました。しかし今なお私を含め親族やごく身近にコロナ感染者が多いのが実感です。そして重症者は多くありません。

COVID19が発生し2020年1月に日本に上陸して以来、政府はPCR検査を制限し、診療も帰国者外来などに限定した結果、一般医療機関はコロナ診療を拒否するという流れが出てきて国民皆保険の土台が崩れ、第6波の大流行時に医療機関がパンクすると、自己検査という国民皆保険とは全く相容れない体制に移行しました。早期治療の遅れ、防疫面でのとんでもない大ダメージがもたらされました。自宅待機者の重症化死亡が出た時点で、あるいは感染者数全数把握を放棄した時点で、政府は国民を見捨てたと見ても良いように思えます。厚労省、日本医師会は、パンデミック感染症という事態に正面から向き合わずその場しのぎでやってきました。患者数や変異株の変遷、ワクチン接種、治療薬の評価など、全国的にきちんとしたマクロデータを後世に残すべき責任がありました。

コロナの注目度が下がり、医療支援はどんどん縮小されていますが、コロナの場合Brain-Fogと呼ばれる後遺症(科学的分析が始まっています)が問題ですので、もし罹ったらコロナ新薬でしっかり治療して下さい。

変わって猛威と言ってもよい位の勢いがインフルエンザです。前回も書きましたが、通常11,12月から流行し始めるものが8月に始まったのは異例のことで、学級閉鎖も頻発(最新3751施設)しており、まだ増え続けております。1定点での陽性率がコロナを上回り、16.41人(前週比1.48倍、愛媛県では39.9人と地域差は大です)と、コロナの5.7倍です。コロナの期間中の2年間、インフルエンザは下火でした。コロナ感染対策がインフルにも有効だったとも考えられ、コロナ対策が緩んだ途端に、インフルに対する免疫が低下していた国民に広がっていったと見られています。新たな外来種ウィルスかもしれません。アメリカではさらにRSウィルスとのトリプルデミックが心配されています。インフルエンザに罹らぬようマスクなどの対策とともに、コロナワクチンに加えてインフルワクチンも接種して下さい。私も実は昨日打ってもらいました。