「ウインチェスター銃’78」のアンソニー・マン監督、ヘンリー・フォンダ、アンソニー・パーキンス主演の西部劇となれば、観る価値ありとなるのは当然か。しかも脚本がこの映画でアカデミー脚本賞にノミネートされ、「駅馬車」「果てなき航路」等ジョン・フォードの映画等の脚本家ダドリ―・ニコルス、音楽が「荒野の七人」等のエルマー・バーンスタイン、撮影がこれまた「シェーン」でアカデミー賞のロイヤル・グリッグスと輝かしいスタッフが揃った。しかしヴィスタヴィジョンの大画面でありながらモノクロ。「ウインチェスター銃’73」もモノクロだったが、gisan 曰く「銃一本にこだわる執念を強調すべくモノクロ」という理屈は判るが、この映画をモノクロにした真意は判らずじまい。
冒頭、いかにも人生に陰のありそうな賞金稼ぎの男(ヘンリー・フォンダ)が、馬に死体を乗せ、若い保安官(アンソニー・パーキンス)のところへやってくる。賞金が拠出されるまでの時間、街に滞在することになるが、街は冷たく宿泊場所も見つからないが、偶々子供(マイケル・レイ)と知り合い、インディアンの夫を失った母親(ベッツイ・パーマー)の家に泊めてもらうことになる。未熟な保安官パーキンスとの親交を深めながら、フォンダが過去保安官だったこと、当時妻と子供を失ったことを述懐しながら、若き保安官の成長を見守り、その彼の手で町の秩序の回復を果たさせるまでを描く。当初胡散臭い賞金稼ぎのフォンダが,パーキンスに対し、ピストルを抜く瞬間に撃鉄を起こす指導やら、逆に撃ち方よりも人間を観察する大切さを強調することから、考え方を貫く洞察力ある男であり、立っているだけでその物腰や人物の逞しさや人生の年輪を感じさせるのだった。
脇役陣も好演で、保安官パーキンスの恋人メアリー・ウエブスターは父親が元保安官ながら殺された過去があり、パーキングが保安官であることの悩む姿を好演。悪役たちも、保安官の座を狙う人種差別者ネヴィル・ブランド、駅馬車の襲撃犯で、街の人格者で人望の厚い医師役ジョン・マッキンタイヤーを殺害してしまうリー・ヴァン・クリーフとその弟ピーター・ボールドウイン等夫々が好演している。最後パーキンスがフォンダと共に捕えたその兄弟二人が、ネヴィル・ブランドに、そそのかされた町民にリンチされそうになるもパーキンスが散弾銃でブランドと対決、無事終結する。フォンダと母子は一緒に街を去り、パーキンスと恋人メアリーは揃って見送る。
(菅原) 何気なくテレビを見ていたら、H.フォンダが出ていたので、爆睡せずに最後まで観ました。従って、全部を観たわけではありません。観ているうちに、医者がJ.ヴァン・クリーフ兄弟に殺され、誕生日を祝って合唱している街に帰って来る場面を観た途端、日本公開当時(1957年)に観たことを思い出しました。それぐらいしか印象に残っていない映画。
一言で言えば、全体にシマリガなくて面白くなかった。特に、フォンダも「荒野の決闘」と比べると、月とスッポンほどの違いあって、これがあのフォンダかと言うほど気合が入っていなかった。
(編集子)セーブ劇の根底には勧善懲悪、正義の追求、というテーマがあるから、必ず善玉と悪玉が存在しなければならない。作品にもよるが、まず、こいつがクレジットされれば悪いやつ、という悪玉専門がいて、それなりに親近感を覚える。その代表はまず、ブライアン・ドンレヴィだろう。数本主演を務めた(つまり善玉を演じた)作品もあるが、なんといってもクーパーとはりあった ボージェスト の軍曹の悪玉ぶりがまず思い浮かぶ。西部劇では例えば 大平原 に 落日の決闘 (いずれも対する善玉はジョエル・マクリー), 西部魂 (ランドルフ・スコット)なんかも良かった。胸に輝く星 にに出てくるネヴィル・ブランド、これもその御面相から言っても悪役専門。小生が見た範囲では トラトラトラ で日本海軍の特殊潜航艇の攻撃をいち早く察知して上官に報告するがこの無能な将校に無視されてしまう下士官の役くらいしか善玉役ではお目にかかっていない。そのほか何度も見ているが、覚えている範囲では 勇者のみ ガンファイター がある。ヴァン・クリーフは 真昼の決闘 で悪玉陣の端役でデビュー、リバティバランスを撃った男 ではウエインに一撃で酒場の窓にたたきつけられる役でこの時は多少なりともセリフがあったし、OK牧場の決闘 でも憎たらしい役を好演。その後マカロニウエスタンで善玉とは言えないが言ってみれば非悪玉の大佐役で登場した。悪役、といえばよく出てきたのがヴィクター・ジョリイ、アーネスト・ボーグナイン、それと主演級では アンソニー・クインなどがいたっけ。日活エーガで言えばお定まりの阿部徹、といった感じだった。スターもいいが悪役にもファンがあっていいようだが。
(菅原)2月12日の貴ブロッグから可なり時間が経ったが、西部劇の悪役として、今朝、その名前をやっと思い出した。ジャジャーン、ヘンリー・シルヴァ。正にあの顔は忘れ難い。どうでも良いことだが、思い出しただけで良しとするか。
(編集子)流石先輩、感謝。そうそう、いた、いた!グーグルで写真探したが出てこない。ほかにも大物をわすれてた。シェーンの敵役、かのジャック・パランス。まさに衝撃的なデビューだったな。
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