乱読報告ファイル  (26) ウインズロー ”犬の力”   (普通部OB 菅原勲)

ドン・ウィンズローの「犬の力」(原題:The Power of the Dog。2005年。翻訳:東江一紀、角川文庫)を読む。余計なことだが、東江は「あがりえ」と読むんだそうだ。原題は、ジェイン・キャンピオンが監督し、ベネディクト・カンバーバッチが出た映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(2021年)と全く同じだが、その原作ではない。小生にとって、ウィンズローは、初作「ストリート・キッズ」(A Cool Breeze on the Underground。1993年)以来だから30年振りと言うことになる。先に言ってしまえば、その作風は、所謂、探偵小説から全く様変わりしてしまった。

「犬の力」と言う言葉は聖書が出典で、それに馴染んでいる人にとっては知悉していることのようだが、日本人である小生には全くピンとこない、犬の糞なら良く分かるが。どうやら、邪悪の象徴と言うことを意味しているらしい。上巻が574頁、下巻が467頁、都合して1041頁もあって読みでがある。いささか手に余ったが、極めて平易な文章で歯切れよく、大変、読み易く、面白かった。

内容は、米国人の麻薬捜査官とメキシコ人の麻薬王兄弟の争いを軸にしたもので、数多の脇役がからむ。そのことによって1000頁にもなんなんとする長尺となってしまった。

兎に角、「清く、正しく、美しく」ってな人は一人も出てこず、過激で理不尽な暴力と殺戮に満ち溢れ、セックスの描写がふんだんにあるなど、誠に凄まじく、犬の力シリーズは、このあと「ザ・カルテル」、「ザ・ボーダー」と三部作になっているようだが、一度読んだらもう結構と言う類いのノワール(暗黒小説、或いは、犯罪小説)だ。まー、万人にお勧めする本じゃない。一方、こう言う類いの本が滅法好きな奇人もいるようで、宝島社の「このミステリーがすごい!」では、2010年の海外編1位となっている。ただし、これをミステリーと断ずることには大きな違和感がある。

リドリー・スコット監督、米人の麻薬捜査官をレオナルド・ディカプリオで映画化(「ザ・カルテル」)ってな話しもあったようだが、立ち消えになったのか、ネットを見ても、いずれの作品一覧にも載っていない。或いは、現在、まだ製作中なのか。

エーガ愛好会 (161)  11人のカウボーイ   (34 小泉幾多郎)

主演のジョン・ウエイン1907年生だから、制作1971年ということは64歳。冒頭から、まだまだ溌溂としており、暴れ馬の調教中。其処へ雇人達5人が戻って来て、近くに金鉱が出たことから、辛い牛追いより金鉱探しの方へ出て行ってしまう。650キロ離れた町まで、1500頭の牛を運ぶ予定の牧場主ウエイン(ウイル・アンダーソン)は致し方なく、旧友のスリム・ピケンズ(アンス)の助言から、少年たち11人を雇い、特訓しながら、牛の大群を運ぶことになる。これぞ本当のカウボーイ?頑固一徹な老カウボーイとキャトルドライブに雇われた少年たちとの交流を描いた作品となった。

この過程で、牛の暴走、砂嵐、牛泥棒との戦闘等が、あのジョン・ウイリアムスの勇ましく軽快な音楽に乗って展開されて行く。途中、少年が演奏するヴィヴァルディのギター協奏曲もあるし、黒人コックのロスコ―・リー・ブラウン(ジェベダイア・ナイトリンガー)との交流等から、少年たちは試練を乗り越え立派に成長して行くというのだが、どうにも気に入らないのは、途中で、あの伝説ともなるべき、西部劇の不滅のヒーローであるジョン・ウエインを卑劣なる牛泥棒ブルース・ダン(ワッツ)に呆気なく殺させてしまうのだ。それも空身での格闘の後、銃を持たない丸腰のウエインを背後からの数発で、地面に這いつくばらせるという考えられない死に方で。指導者たるウエインを失った少年達は復讐を成し遂げ、盗まれた牛を取り返すことにより、立派な大人に成長したということで、めでたしということだろうが、何となくスッキリしない。復讐するための死を賜る俳優がウエインである必要があったのか。まだまだいたいけな少年たちが数人もの牛泥棒達を惨殺に近い形で殺す必要まであったのか。どうにもめでたしめでたしという感覚にはならない作品だった。

(菅原)小生も見ました。ただし、全部ではありません。ブルース・ダーンがジョン・ウェインに挑むちょっと前あたりからです。
小生の印象は、ウェインも老けたな。それに対し、ダーンは、いくら足掻いても、所詮は、ただのチンピラ。両者の間には、月とスッポンほどの違いあり。だから、ウェインが油断したんで、何でもありのダーンが、卑怯にも背後から射殺したんじゃないでしょうか(昨日の奈良を思い出します)。

従って、子供たちが、ダーンを頭とする牛泥棒を皆殺しにしたのも頷けます。ウェインがやられちゃったら、全面報復しか残されていないでしょう。

安倍元首相暗殺事件:欧州での反応  (在パリ:平井愛子)

日本の参議院選挙中に安倍元首相は殺害されるという信じられない出来事に言葉がないくらいショックを受けました。こんなことが日本で起こるのだと。蛮行に及んだ男の母親は統一教会だそうです。韓国で集団結婚式をあげる変なカルト教団という事しか知りませんが、何とも短絡的な犯人の発想です。安倍さんは度々この教団でスピ-チしていたそうで、これも首をかしげるものです。

フランスの友人達からお悔やみを言われました。フランスでは日本の首相の中では人気があるのです。でもこの暴力の裏に何かありそうです。今後ちゃんと解明できれば良いのですが。
イギリス人の友人に、ボーリス・ジョンソンが辞職したことを私が思わず“当然の流れよね”と言ったら、これでイギリス中がホッとしているところだ、と返事が返ってきました。

世界の平和への道のりはあまりにも遠いように思います。
安倍元首相の冥福をお祈りいたします。

(斎藤)情報ありがとうございます。

おかしなことに、日本では、特定の宗教団体という言い方で、宗教団体名は一切明らかにされていないんです。ツイッターなどでは統一教会だと断定する投稿が多いですが、これが日本のマスコミの状況だと思います。安倍元総理がその団体で講演を重ねていたという情報も、一部のマスコミを除いて、ほとんどふせられています。事件当日は、政治に対する攻撃という触れ込みで発言する政治関係の方が殆どで、マスコミもそれを訂正する報道は見かけませんでした。
昨日の参議院選挙では、自民党が大勝で参議院で単独過半数を超えました。この事件が投票行動に影響をしたという分析もあり、またこの後3年間、日本では、国政選挙と言われる大規模な選挙は無いということです。自民党はじっくり国造りを進められるのではないでしょうか。

(安田)参議院選挙の自民党大勝に、古代中国三国志の故事「死せる諸葛孔明、生ける司馬仲達を走らす」が思い起こされた(優れた人物は死んでも生前の威風を備えていて、生きている者を恐れさせるというたとえで、既に亡き人物が生きている人物に大きな影響を与えることの喩えとして用いられる)。安倍晋三が優れた人物かどうかは甲論乙駁あろうが、彼の非業の死が判官贔屓の日本人の琴線に触れて選挙結果に影響を及ぼしたのは間違いないだろう。死が最大の選挙応援効果を産んだとは、こんな皮肉なことはない。

素人目にもテレビに映る警備の貧弱さと脇の甘さには驚いた。平和ボケした安全な国神話の無意識な驕りと危険を想像・予知する能力の欠如は明らか。案の定、アメリカの専門家から日本当局の稚拙さと無防備さが厳しく指摘された。「覆水盆に返らず」、事が起こってから猛省するのでは遅すぎる。覇気・緊張感・規律のややもすると欠け気味な日本社会の縮図の一つではなかったかと思わせる。
一方、知る人ぞ知る安倍晋三と統一教会の癒着について、一番関心があるのは、なぜ新聞・テレビ・マスコミが「統一教会」の名前を発表しないのかの点に尽きる。愛子さんご指摘の「統一教会」の大会にビデオメッセージを送っていた事実なども伏せられている。統一教会の創始者・文鮮明と安部の祖父・岸信介元首相の親密度を示したのが左に示す写真。
統一教会は闇に潜む「鵺」(ぬえ)のような存在であろうか?マスコミが公に発表しない(出来ない)理由とは何なのか?明らかにすることを良しとしない政府権力の圧力であろうか?安倍晋三と統一教会の関係とは何だったのか?報道の自由を保証する自由民主主義国家・日本において権力に屈することなく、真実を詳らかにする使命を負うマスコミの鼎の軽重が問われている
銃を自作するほど暗殺に執着した犯人の安倍晋三に対する殺意の本質は一体何だったのか?母親が統一教会信者で、息子(犯人)もかつて信者だったが、分派サンクチュアリーに移籍し、激しく対立したと伝えられている。オーム真理教の悪夢が蘇る。息子にすれば、母親を取られ家庭崩壊を招いた恨みの矛先を安倍晋三に向けたのであろうか。だとすれば、我々一般市民が知り得ない、安倍晋三の教会に於ける隠然たる影響力が恨みの原因だったのであろうか?それほどまでに彼は関与していたのであろうか?
(船津)今回のメディアの報道については何か不思議な感じがしますね。皆各社警察発表の通り「統一教会」の名前を伏せて報道した。安倍さんを狙撃した山上容疑者の供述、多くのメディアは、安倍さんと宗教団体が関係していると「一方的に思いこんで」凶行に及んだ、と報じている。事実なのか?警察取材としても、この表現は適切なのか?あまりに腰が引けている。真実は???
(編集子)単なる素人の推測にすぎないが、統一教会と北朝鮮体制の密着が公然の秘密である以上、これをあらためて公にすれば平壌は得たりとばかりに(日本人はその失敗を我々のせいだとするのか)とあらがうのは目に見えている。このことが長い間の問題の解決を更に遠ざける、という事への危惧があるのではないか? この場合にも 死せる孔明 のたとえはあたはまるのだろうか?

エーガ愛好会  (160 プラスワン) プレスリーだってば! (34 小泉幾多郎)

今年に入って、初めての映画館での映画鑑賞は「エルヴィスElvis 2022 」。

エルヴィスと言えば、Mrs.KOBUKI がエルヴィスと呼び、絶対にプレスリーと呼ぶことは厳禁と声高に叫んでいたことが思い出されます。当然この映画はご覧になってる筈ですから、感想を聞きたいものです。今回初めて気が付いたのですが、生年が1935年とは 私と 同じということでビックリ。西部劇の「やさしく愛して1956」や「監獄ロック1957」「ラスベガス万才1964」等は観ましたが、それ程の関心はなく、逆に今回この映画を観て、その魅力に魅かれた感じ。

「ムーラン・ルージュ2001」「華麗なるギャツビー2013」のバズ・ラーマン監督が同じ時代を生きてきた光と影の伝説を華麗なるミュージカル映像で蘇らせてくれた。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーが素晴らしい。殆んどエルヴィスになり切っているが、ボーカルトレーニングなど役作りに2年を費やしたとのこと。このオースティン・バトラーにとって幸運だったことは、「ボヘミアン・ラプソディ2018」で主役ラミ・マレッタにフレディ・マーキュリーを完全にコピーさせたポリー・ベネットが、エルビスのムーブメント・コーチとして動きの振り付けを担当してくれたこと。お蔭で動きが自然と自分の一部になったと述懐している。監督はバトラーの歌とエルビスの原曲の両方を使用し、若き頃はオースティン、晩年はエルヴィス自身の声と両方を巧みに使用した。また強欲なマネージャーをトム・ハンクスがあくどい語り部として物語を進行させて行く。前半腰を振りながらの熱唱で女性ファンを熱狂させるシーンも素晴らしいが、後半マネージャーが企画するクリスマスソングを放棄し、暴力への否定のメッセージ明日への願いIf I can dreamを歌い、ラストでは、ラスヴェガスでの圧巻のステージ、薬によって膨らんだ顔からは汗が噴き出し、孤独に震えるUnchained Melodyを歌う姿はエルヴィスの姿に重なり胸を締め付ける。

(パリから:平井)私も見ました。オースティンはエルヴィスの役を演じきって、撮影が終了した後動けなくなって1週間入院したそうです。そしてトム・ハンクスはこの役の為に真剣に肥ったそうです。壮絶な映画でした。エルヴィスは天才、でもエルヴィスの人生は大悲劇でしたね。3時間もあっという間でした。でも私とドリスはトイレに行きたくなり、終わった途端に混むことを予想して席を立ったのです。ガードマンに後どの位で終わるのかと聞くと、後10分だ というのです。戻ろうかとも思いましたが、天才故に薬漬けにされて死んで行くところを見るには、忍びなく心が苦しくなるようでしたので、私たちは映画館を後にしました。ラストはラスベガスの圧巻のステ-ジだったのですね。小泉さんのおかげでフィルムの最後がわかりました。これで安心しました。ありがとうございます。

(編集子)ドクター小泉の原稿には上記太字で示した部分が偶然か故意か抜けていたので最適解と思われる文字を追加しました。ミセス久米の滔々たるエルヴィス賛歌を聞きたいもので。パリジェンヌはどっちなのかなあ。

糖分制御の現実 (7月7日付本稿補足 ー 齋藤博)

(編集子)齊藤リポートに従って、ここのところ ”大岡越前を見ながら紀文のちくわを肴にジントニックをすする” という典雅かつ知性的な日課を則、中止した。これで(糖分制御に)効果があるんでしょうな、サイト―さん!

(斎藤)紀文のちくわ竹笛は、1包装あたり4本入っていて、原材料は、
魚肉(たら(アメリカ)、いとより)、卵白、でん粉、砂糖、発酵調味液、食塩、ぶどう糖、植物油/調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、貝Ca、(一部に卵・大豆を含む)です。

明確に炭水化物に分類されるのは、でん粉、砂糖、ブドウ糖、加工でん粉ですね。発酵調味液や調味料てのは、謎の物質ですね。何でしょうかね?

さて、1包装あたりの成分は、
エネルギー 134kcal
たんぱく質 14.6g
脂質 0.5g
炭水化物  17.7g
食塩相当量  3.1g
です。ちくわ1本あたりの炭水化物量は、おおよそ4.5gと考えます。炭水化物量の中には、糖質の他に食物繊維も含まれていますが、ここは、炭水化物量=糖質量と考えてしまったほうが、身の安全につながります。(データは、紀文の商品ページより(https://www.kibun.co.jp/products/all_166890a/index.html

次に、ジントニックですが、サントリーのレシピサイトでは、ジンが45ml、トニックウォーター適量って書いてありますね(https://cocktailrecipe.suntory.co.jp/wnb/cocktail/recipe/gin_tonic/)。男の隠れ家デジタル版では、ジン30ml、トニックウォーター120mlと書かれています。ジン1に対して、トニックウォーター4だそうです(https://otokonokakurega.com/learn/ippin/56448/)。

ご自分でつくられる場合は人により千差万別でしょうが、今回はこのレシピをもとに考えます。トニックウォーターは100mlあたり9gが糖質ですから、一杯120mlだとすると、糖質量10.8gと計算できますね。

どうでしょう大岡越前を見ながら、少なくとも15g程度の糖質を摂取していることになりますね。こうやって計算してみると具体的にわかるんですが、1日の砂糖摂取量は、きっとWHOのガイドラインを大きく超えてしまっていると想像できますね、ジャイさん!

(編集子)ふーん。ってわけだそうですぜ、オガワさん!

エーガ愛好会 (160) エルヴィス    (HPOG 小田篤子)

関心のある方はあまりいないかもしれませんが…。

監督はBSで放映されたばかりの「華麗なるギャツビー」のバズ·ラーマン。封切の1日は隣で夫に少し寝てしまわれました…(前日に4回目モデルナを打った事も影響していたのかもしれませんが…。)
菅井さんのメールにもありました❬IMAX❭で2回目を観てきました。立川、立飛のシネマは9:20からのみの上映なので、少し早起きをして行ってきました。
サーカスや地方巡業のショウなどの興行師で、あまり音楽のことは知らないトム·パーカー(トム·ハンクス)に目をつけられ、マネージャー契約を結びます。

段々、エルヴィスは目指す音楽とはズレが生じ、母親は精神を病み早くに亡くなり、社会的に叩かれたり、入隊、離婚、海外公演が出来ない、望まない映画に出る、薬漬け、破産…と孤独になっていき、42歳で亡くなります。

トム·ハンクスはやはり大物、いつもより太めの体で悪そうな表情を上手く演じています。エルヴィス役のオースティン·バトラーは、少し細面でお化粧がちょっと濃いのですが、段々似てきて、私の知るフィルムや写真の中のエルヴィスと、声、動きや表情がそっくりでとてもキュートでした。
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         エルヴィス・プレスリーの有名曲は?

ラヴ・ミー・テンダー (全米1位)                                  ハートブレイク・ホテル (全米1位/全英1位)                 ブルー・スエード・シューズ                       アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラヴ・ユー (全米1位)   ハウンド・ドッグ (全米1位)                        冷たくしないで (全米1位)                        恋にしびれて (全米1位/全英1位)                      テディ・ベア (全米1位)

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(保屋野)エルヴィスと云えば、今日意外な発見がありました。

ここ3日間、NHKBSでハワイの特集(ハワイアン音楽やフラ)を放映しているのですが、今日、ビデオで2回目を観たらエルヴィスの代表曲「ブルーハワイ」が、1930年代の「ビング・クロスビー」のカバー曲だと始めて知りました。

エルヴィスファンの方ならご存じだと思いますが・・・ただ、大ヒットとなったのは、やはりエルヴィスの映画のおかげでしょう

ウンチの話です    (普通部OB 篠原幸人)

毎日うだるような暑さが続いています。皆さん、当然ですが体調には十分気をつけていますよね。コロナ第7波の足音が大きくなってきました。大きな波になりそうですね。コロナにしろ、他の病気にしろ、自分の身体は自分で守る、自分でしか守れませんよ。これは忘れないでください。

前回は血液や尿から「がん」が分かる話をしましたが、思ったより皆さんの反応は少なかったですね。高価で、夢物語と思ったかな? でも近い将来、必ずこの時代は来ますよ。読み直してくださいね。 今日はもっと現実的な、皆さんが自分の大便や尿にどんな注意を払ったらよいかという話をします。

大便や尿は、入院でもしていない限り、皆さん自身以外には誰の目にも触れません。排便・排尿後、自分の身体から出たものを見る権利を持っているのは世界広しといえども、貴方だけなのです。臭いとか汚いとか言わないでください。たった数秒前までは貴方自身の体の中にあったものです。

まず「ウンチ」の形・色を、毎回ジックリ入念に観察する癖をつけてください。お尻を拭いた紙は静かに横の方に落とす習慣をつけてください。理想的な「ウンチ」は、黄色か茶色バナナのような色と形です。まっ黒じゃないか、表面に血は付いていないか、下痢していないか、食べたものがそのままの形で出てきていないか、コロコロして固すぎないかなど、時間をかけて小学生の理科の宿題の時のようによ~く観察してください。自分のお子さんやお孫さんの尿やウンチだと手についても平気なのに、自分の身体から出たものが臭いとか汚いと考えるのは自分の便に対して失礼でしょう。でも、まあ臭いものは臭いやね。

他人の便まで仕事上、観察しなければならない病院の看護師さんたちの気持ちにもなってください。貴方の便の回数や形や色を、特に定期的に外来を受診している方は、訊かれたら、いや訊かれなくてもおかしい時は、医師に報告してください。

 排便は出来れば毎日(週2-3回でも問題ありませんが)同じ時間帯に欲しいですね。しかし、規則正しく毎日決まった時間に起き、食事をとり、仕事に出かけていたころはともかく、引退してだらしのないふしだらな生活に入ると、排便も不規則になることが多いと思います。中には最近、いつ排便したか忘れている人もいます。特に、高齢になると、腸の動きも衰えてくるので便秘がちの人も増えてきます。朝食が終わったら、便が出なくてもトイレに座る習慣をもつのも良いでしょう。無論、寝る前でも結構ですが。

便秘の治療には以前は漢方薬やマグネシューム薬が定番でしたが、今は全く作用機序の違う,クセになりにくい新しい薬も出てきています。便秘がひどい方は念のためかかりつけの医師に一度は相談すべきです。恥ずかしいと、市販の薬だけに頼ってはダメですよ。慢性の便秘から腸閉塞になる人もいるんです。薬以外の便秘の治療には昔から、運動(一日30分または週3回60分以上の歩行)、良質な睡眠、水分や乳酸菌を十分とる事、食物線維を多くとるのが良いと言われています。でも食物繊維を多く含む食事が本当に良いかどうかははっきりした証明はなされていないようです。軽い便秘なら牛乳一杯や夕食時のニンニク2粒で良くなることもありますが。

年をとると大腸のカハール細胞というものが減少します。それが大腸の動きを悪くしている原因の一つですが、以前にお話ししたフレイル・サルコペニア・骨粗鬆症の方も便秘を合併することが多いですね。便がそれほど固くなくても、便を出す力が年と共に低下するのです。下痢や便秘でなくても、便がイカ墨も食べていないのに真っ黒、あるいは真っ白、または血が混じっていることがある方は当然すぐにかかりつけ医に相談してください。但し、貧血のため、鉄剤を常用していると真っ黒な便になることもありますよ。

尿も毎回、色や出方をよく見てください。回数が少なく、色が濃くなっているようなら脱水の兆しかもしれません。水分補給が必要です。肝臓が悪いこともあります。排尿痛は無論のこと、排尿中に尿が何回も途絶える、あるいは尿線は細くなる場合も要注意です。

年をとってからの頻尿にはお悩みの方も多いでしょう。特に夜間、排尿の為に2・3回以上起きる方は、まず両足ふくらはぎに寝る前にシップ薬を貼ってみる、あるいは寝る前に両足に弾性ストッキングを履いてみることから始め、効果がなければ泌尿器科の先生に相談してください。市販の漢方薬がよく効いたという人も中にはいるようですが。無論、濁ったあるいは赤い尿が出ることは、膀胱炎・腎結石や「がん」などの危険信号です。

すみません、今度は中性脂肪の話です  (会社時代友人 齋藤博)

病院で血液検査をすると中性脂肪という検査項目があります。基準値は、空腹時30~149mg/dlとされている場合が多いと思います。基準値内と言えども安心はできないと言うショックな情報を見てしまったので、中性脂肪のことを書きます。その記事とは、空腹時中性脂肪の値が80程度の基準値内であっても、2型糖尿病を発症するリスクがあるというNIH(アメリカ国立衛生研究所)の文献です。2085人を対象として追跡した研究で解析した結果です(人種差はあるのかなと、かなり気になります)。

随分前の話ですが、友人が健康検査で、中性脂肪が高いので、脂質摂取に気をつけるようにと指摘されたと聞き、それはひどい医者だな、その医者に診てもらうのやめたほうが良いよと言ったのを覚えています。項目名が中性脂肪だから、脂質の摂取増で数値が上がると考えているんだと、単純に思ったからです。
大正製薬のエパデールTという薬のサイトにも、書いてありますが、”中性脂肪が高いというのは血液中の中性脂肪の量が増えすぎている状態のことを指します。炭水化物を摂ることでも中性脂肪は増加します”と書かれています。
https://brand.taisho.co.jp/epadel-t/column/010/
随分と曖昧な言い方で書かれていますが、それに続く後ろの文章を読めば、炭水化物の摂取が増大したから、その結果、生理的なメカニズムとして、中性脂肪値は上がると指摘しています。

炭水化物とは、糖質と食物繊維のことで、過去にトニックウォーターも糖質を含んでいるとお話しましたが、
ご飯、パン、パスタ、ピザ、そば、うどんなどの主食、
イモ類(菊芋は除く)、
バナナやイチゴなどの果実、ジュース類
ビール、日本酒などの非蒸留酒
は、多くの糖質を含んでいます。

食品を手にとって栄養成分表の糖質量(炭水化物量でも構わない)を確認する癖が大事ですね。糖質量とは別なのですが、「果糖ブドウ糖液糖」などと原料部分に書かれていたら、可愛い孫にせがまれても、そんなお菓子や飲み物は買わないという選択をしたほうが得策です。糖質を少なくしたら、子供が切れなくなったと言う話も聞きます。最近ではペットボトル症候群という言葉さえあります。アルツハイマー型認知症は3型糖尿病とも言われるようになっています(脳の神経細胞が糖化反応により不可逆な変性を起こしている)。摂取していけないわけではありませんが、程々に。

なお、とっても緩いのですが、WHOは2015年に、「成人及び児童の糖類摂取量」というガイドラインを発表しました。その中で、糖類摂取量摂取量を1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えるようにとしています。糖類とは、皆さんが普通に使うお砂糖の事と考えて良いですね。正確には、単糖類(ブドウ糖・果糖等)及び二糖類(しょ糖・食卓砂糖等)のことです。

(編集子)齊藤リポートに従って、ここのところ ”大岡越前を見ながら紀文のちくわを肴にジントニックをすする” という典雅かつ知性的な日課を則、中止した。同好の士である名古屋の小川先輩も同調されたよし。これで効果があるんでしょうな、サイト―さん!

エーガ愛好会(159) 7月4日に生まれ   (普通部OB 船津於菟彦)

オリバーストーン監督の駄作ですね。何となくあれこれ取り混ぜていますが。著名な映画評論家のジョナサン・ローゼンバウムは本作品に対する批評において、「B級映画につきものの陳腐な結末、至る所にちりばめられたわざとらしい盛り上げシーン、障害者となり人生に絶望したベトナム帰還兵のトラウマが自伝を著し有名人になっただけで克服できるという嘘くさいメッセージ」について指摘している全くそんな映画で楽しめるという要素が少ないのが残念。終盤の展開にイマイチ感を感じてしまった。映画としてみるのには、すこし残念なところがあった。ややガッカリ。

1946年7月4日、アメリカの独立記念日に生をうけたロン・コーヴィックは、ロングアイランド州マサピークアでその少年時代を送っていた。ケネディ大統領の、自由の存続と繁栄についての演説の中、7歳のロン(ブライアン・ラーキン)は、野球に夢中になる一方、戦争ごっこにその愛国心を芽生えさせていた。すっかりスポーツマンに成長した高校時代のロン(トム・クルーズ)は、ある日学校にやってきた海兵隊の特務曹長(トム・ベレンジャー)の言葉に感銘をうけ、プロムの夜、憧れていたドナ(キーラ・セジウィック)とのダンスの思い出を胸に、64年9月、子供の頃からの夢であった海兵隊に入隊した。そして13週間の訓練を経て、ロンはヴェトナムの戦場に身を投じるのだった。67年10月、軍曹になったロンは、激しい銃撃戦の後、部下を率いて偵察に出かけ、誤まってヴェトナムの農民を惨殺してしまったことを発見し、ショックをうける。そしてこの混乱に乗じて襲いかかかってきたヴェトコンの姿にパニック状態に陥ったロンは、部下のウィルソン伍長(マイクル・コンポターロ)を射殺してしまう。罪の意識にさいなまされるロンに、上官は口外を禁じるのだった。そして68年1月、激しい攻防のさ中、ロンはヴェトコンの銃弾の前に倒れ、下半身不随の重傷を負ってしまう。ブロンクス海兵病院に運び込まれたロンは、怪我をしても人間らしい扱いをしてもらえないここでの苛酷な現実に、ただ絶望感を募らせるだけだった。69年、故郷のマサピークアに戻って来たロンは家族に温かく迎えられるが、ヴェトナム戦争を批判し、反戦デモを繰り広げている世間の様相に大きなショックをうけるのだった。この年の独立記念日に、在郷軍人会主催の集会の壇上に立ったロンは、戦場のトラウマが蘇りスピーチを続けることができなかった。シュラキース大学にロンはドナを訪ねるが、彼女も反戦運動に加わっていた。世間の冷たい風当たりに、ロンは次第に酒に溺れ、両親(レイモンド・J・バリー)(キャロライン・カヴァ)の前でも乱れ続けるのだった。苦しみから逃れるように、70年にメキシコに渡ったロンは酒と女で孤独を紛らわせる。しかしここで知りあったチャーリー(ウィレム・デフォー)の厳しい言葉に目が覚めたロンは、自堕落な生活と訣別し、ウィルソンの両親を訪ね罪を詫びるが、返ってきたのは優しい慰めの言葉だった。72年、苦しみの中で人生の意味を誰よりも強く知ったロンは、反戦運動の先頭に立ち、マイアミのニクソンを支持する共和党大会に乗り込み、戦争の悲惨さを訴えた。そして76年、自らの戦争体験を綴った『7月4日に生まれて』という本を出版し、大反響を呼び、その年の民主党大会で彼は演説をするため、その壇上に立つのだった。

トムクルーズは一応熱演しているが、やや台本が良くないですね。
それにしてもアメリカと言う國は「西部劇」のように東から西へと「原住民」を駆逐して「銃の力」國作りをして、そして戦争による世界最大の戦死者と言われる南北戦争。そして第一次世界大戦。そして太平洋戦争。よせば良かったのにマッカーシーの続きで共産党嫌いが「ヴェトナム戦争」のドロ沼に突入していく。
その裏には大統領選挙が総てつきまとう。民主主義つてなんだと言いながら突き進んでいく!大統領選挙の度に「民意」とやらに引き回され国民は巻き込まれていく!不思議な國ですね。

(菅原)一言で言えば、オリヴァー・ストーンって奴は、甚だ胡散臭い輩。