エーガ愛好会 (53) 遥か群衆を離れて

(安田)「ドクトル・ジバゴ」のジュリー・クリスティ主演映画ということで「遥か群衆を離れて」(Far From the Madding Crowd)は随分昔に観ました。冒頭の牧羊犬が羊の群れを絶壁断崖から海に追い落とすシーンには度肝を抜かれたのを覚えています。イギリスの緑豊かな農園風景と19世紀の農家の暮らしは興味深い。クリスティは優柔不断な女農場主役で、「・・ジバゴ」のララ役程のきらめきは見られませんでした。3人の男の一人ピーター・フィンチに注目して観ました。オードリー・ヘップバーンと共演の「尼僧物語」1959年のアフリカ・ベルギー領コンゴでの外科医役、アカデミー主演男優賞獲得の「ネットワーク」1976年のニュースキャスター役が印象に強く残っていたので。ローレンス・オリヴィエと結婚中のヴィヴィアン・リーとの不倫関係でも知られた存在でした。アカデミー賞授賞式直前に急性心不全で急逝。アカデミー賞史上初の死後受賞となりました。

(久米)録画しておいた1967年のイギリス映画。「遥か群衆を離れて」を観ました。これが何と23:45からの放映でしかも休憩が入る約3時間の長い作品でした。イギリスの作家トーマス・ハーディの作品でヴィクトリア女王の時代のイギリスの農園を舞台に女主人公の恋愛映画でした。2015年にもリメイクされているようです。この時代には珍しく女主人公が農園主になり、3人の男との恋愛が描かれています。男を見る目が無い主人公でイライラさせられますがイギリスの田園が美しく農園の日常も詳しく描かれていて時間を忘れてみました。何か拾い物をしたような気分でした。時々変則的な映画放映があるのですね。

あっという間に春です。桜が咲く頃にはコロナ騒ぎなんとか沈静しますでしょうか。そうなりますように祈ります。

(保屋野)「遙か群衆を離れて」・・題名が名作っぽいので観たのですが・・・結構長編でしたね。

さて、映画は「イギリスの女農場主を巡る⒊人の男」といった恋愛映画で、ドクトル・ジバゴでララ役を好演した、ジュリー・クリスティーに期待して観たのですが・・・彼女は演技派女優としては魅力的かもしれませんが、とても、大勢の男性を夢中にさせるような「キュートな美貌」の持ち主ではないですよね。更に性格も高慢で(もちろん、映画の話ですが)このヒロインに関してはミスキャストと云わざるを得ないのではないでしょうか。私が監督なら、(若い頃の)シャーリー・マクレーンを起用したい?話題の、ヴィヴィアン・リーやエリザベス・テーラーはどうか?ただ、ストーリーは中々面白く、イギリスの美しい農場風景と併せて、観る価値はあった「惜しい名作」でした。

僕の山靴  (39 堀川義夫)

年末に燕岳に行くための準備をしていたところ、冬山用の靴に不具合を見つけた。アッパーとソールの結合部分に隙間があるので、接着剤で補修しようと周りを押してみたら・・・あっけなくソール全体がパッカリと外れてしまった!! ショック!!

左の写真の左の青い靴は2007年に購入したものでご覧のようにソールが見事に外れてしまいました。私の雪山行に何時も頑張ってくれた靴です。アッパーは何でもないのですが、インナーは結構ボロボロでしたので、経年劣化やむなしと右の黄色い靴に買い換えました。アイゼンを付けた場合、非常に危険と思い新調しました。接着剤で補修しようとしましたが、愛着があるだけに非常にもったいない気分です。

ついでのことに、山靴を一堂に並べてみました。結構の量感ですね。最前列左から冬山用、長期の縦走残雪期用、夏の縦走用。中段左から低山歩き(ローカット。もうすぐダメになる)、ハイキング用(還暦記念に赤いので購入。何時ダメになってもおかしくない)ハイキング用(最近一番履く靴)最後列左からタウン兼用のウォーキング用、沢登り用、ハイキング(ローカット.新調)。最近、中敷きを買ってみた。税込みで約22000円。金額に見合った効果があれば良いと思っているが・・・??である。確かに歩いていてバランスが多少改善されている感と疲労も少し軽減されるような気がしないわけではない。ゴルフなどにも良いそうだが、利用を薦める物ではありません。ご参考まで!!

古き良き時代のエーガ (1) ”探偵物語”   (普通部OB 船津於菟彦)

日本公開は1953年2月となっているのので普通部2年の時の映画鑑賞会で多分日比谷映画に見に行ったと思う。中学生がこの映画を「鑑賞会」として観に行ったという事で、引率の先生は糾弾されたとか言う話があるが、何処吹く風で、その後も東劇とか有楽座のロドショーの映画をよく見に行きました。さてさてさて。何が問題だったんでしょか。余り筋も覚えて居ませんが、エーガ鑑賞会が父兄会で問題になったという事だけ良く記憶しています。
ストリーはニューヨーク21分署の刑事たちの一日を描いたシドニー・キングスレーの舞台劇の映画化。違法な堕胎を行う悪徳医師の摘発に躍起になる鬼刑事とその妻の秘められた過去、会社の金を横領した青年、初犯の万引女性、二人組の強盗等の話に刑事同士の葛藤を織り混ぜた人間ドラマの秀作。ほとんどの舞台を刑事部屋だけに限定し、巧みな脚本と名監督W・ワイラーの緊張感ある演出ですこぶる上質な会話劇を作り上げていて、見応えがあった。
問題は鬼刑事-カーク・ダグラス-の新妻メアリー-エリノア・パーカー-(凄い魅力的だった)が鬼刑事が追及していたシュナイダー医師によって堕胎の手術を受けていた事実を知ることとなる。

Eleanor Parker, ca. late 1940s

カーク・ダグラス演じる鬼刑事はカーク・ダグラス心優しく、美しい妻を許したいと思いつつも、生来の厳格な性格から、心から許すことができないマクラウドは苦悩する。色々な葛藤の末鬼刑事は強盗犯に近づき腹に三発の銃弾を受ける。救急車を呼ぼうとするが、鬼刑事は死を覚悟し牧師を呼べと言う。死を目前にして鬼刑事は、メアリーの名を呼び、神に救いを祈りながら息を引き取る。
問題は「堕胎」と「姦通」では無いか。今だったら問題にもならないと思うが、矢張り当時はね。

しかし、舞台劇を映画にしただけ在りウィリアム・ワイィラー監督は上手かった。エリノア・パカー大人の魅力良かったなぁ。

“週いち 一人高尾” 3回目

目が覚めて手元の時計を見たら6時半過ぎだった。急に決心して(日曜だから混んでいるだろうなあ)と思いつつ、つつじが丘駅発7時47分という急行に乗った。高尾山口での下車はまだそれほど多くない。先回の1台後、9時ちょうどのケーブルに乗り、今回は真面目に薬王院裏の階段を上って山頂。先回休日の時の保屋野君情報もあって、混雑は覚悟していたがまだ早いせいか、それほどでもなかった。4号路から1号路。高橋屋でそばを食べようと思ったらなんと満員、順番待ちの人がさすがに店内ではあるがびっしりと並んでいる状況。あきらめて他を探したが今度は休業が多く、あきらめて汁粉を食べた。前にも一度、月一の仲間と来たことがある店だが、今度は客は小生のみ。客席横に並べられていた人形を見て改めてめぐる季節を感じた。高尾山口発の準特急がなんと11時47分、2駅間にすぎた時間はちょうど4時間。

読んでみませんか?

明けておとといの朝、開いた新聞の広告に載っていた新刊がなんとなく面白そうで、ちょうど出かける(不要不急かどうか判断が難しかったが)必要があり、電車の中で時間をつぶそうかと買ってみた。あまり期待していなかったが、実に面白い本だった。

著者は船舶技術者で、その方面でのご業績は存じ上げないが、この本はあくまで 一技術者から見た歴史の解析、繰り返されていて 歴史のIF に挑戦した本ではない。日本史上のいくつかのトピックのうち、蒙古来襲、”麒麟”で記憶に新しいが本能寺の変の後を引き取る形になった秀吉のいわゆる 中国大返し、それと太平洋戦争の間に就役した戦艦大和の話である。ただ正直、最後の大和の話は著者が船舶設計のプロであることから関心を持たれたのは理解できるが、タイトルー戦艦大和は無用の長物だったのか?-から想像した内容ではなかった。

しかし後の二つについての話は実に面白い。コロナ鬱対策としてぜひ読まれることをお勧めしたいので、詳細には触れないが、蒙古軍が九州まではるばるやってきて一晩で撤収に追い込まれたのはなぜか(我々が教え込まれてきた神風、現実には台風が原因とする論拠に真っ向から反駁)、通説では戦場から京都まで220キロの行程を8日間で2万人の軍勢が踏破することは物理的に可能だったのか、エンジニアの立場に徹して、だれもが疑うことができない事実というか、物理的条件から説き起こす話は下手な小説よりも面白い。

例えば、歴史にいう蒙古軍の軍勢を運ぶ船を作るのに、どれだけの木材が必要だったか、といえば、著者の控えめな議論でも、東京ドーム150個分に相当する面積を占めるだけのマツがなければならなかったが、これが当時の高麗で手当てできたのか?とか、今まで言われてきた蒙古軍の武器が鎌倉武士のそれよりもすぐれていたというのは本当か?といった議論はしっかりした数字を挙げて論破されているし、中国大返しを言われている通り実行したとすれば、1日40万個のおにぎりが必要なはずだし、もっと面白かったのは、それだけの人間が毎日排泄する糞尿はいったいどうして処理できたのか? 光秀の対戦になった山崎で、実際に名前が残っている大名はすべて近畿近郊のものだけで、いったい秀吉直属の軍はどれだけいたのか? などなど、とにかく面白く、歴史学者の説が古文書のように疑えばその真偽まで問われるものと違い、物理的な法則や数字によっている強みがある。

“麒麟” の余韻がまだ残っている中でこの本に出合ったのはある意味では面白い偶然かもしれない。講談社ブルーブックス、1000円は高くない。一読をお勧めする次第。

 

如月随想     (普通部OB 船津於菟彦)

如月と言う言葉は何となく音で言うとウキウキしてくるような感じが致します。新型コロナウィルス蔓延旋風で正月も冬も何もかにも無いような感じで時のみ過ぎ去っていきます。それでもコブシは綻び梅は満開・そして緋寒桜も早くも満開で時は過ぎ去っていきます。

高齢の年金生活者は確定申告をしなければならないので、e-Taxでとお上は言いますが、意外と面倒なので年に一度のことなので、personal computerで作り、プリントして届けに参りました!そして受付印を貰うと何か「春が近づいた」感じが致します。
そんな折りに渋谷・Bunkamuraで「写真家・ドアノー/音楽/パリ展が開催されていて拝見に参りました。ローライフレックスでパリの雰囲気をとらえています。

間もなく御命日を迎える、写真の我が師の金井浩先生がミノックスでとらえたパリの写真が正にそれですね。ミノックスクラブの会長を長く勤められて、最後まで好奇心を失うこと無く、我々に人生も教えて下さいました。2010年3月3日に97歳で逝去されました。やはりミノックスクラブのお仲間の彗星等の研究者・関勉さんが発見した惑星にカナイと言う名前を付けて今も空を回っています。

そして、「歴史探偵団長」の半藤 一利(はんどう かずとし)が1月12日逝去されて、改めてその数々の本を読み返しています。東大の学生との対話では「とにかく戦争は駄目だよ!是非とも百年の平和を守って貰いたい。若い人たちは最近よく物を考えるようになっているので期待していますよ」と昭和を生きぬいた「歴史探偵団長」の死は惜しい。
B面の昭和史は面目躍如!歴史はA面だけでは無く、B面社会の裏側に在りと。

明るいにユースは大阪なおみの全豪オープンテニスで優勝し、屈託の無い発言が世界に影響を与えている。「ハラハラさせながら余裕の優勝」素晴らしい。
新型コロナウィルス蔓延旋風の中明るい話題を提供してくれました

今、近くのすみだ北斎美術館では浮世絵の肉筆画展が開催されていて、新発見の絵とかの肉筆画が展示されている。
筆魂」展-絵師の魂、筆に宿る!絵師の魂を感じる「肉筆画」が集結目玉
岩佐又兵衛の金谷屏風からとか北斎一族総出演の新発見の肉筆画?ー北斎・歌川豊国・勝川春扇・勝川春周・勝川春好「青楼美人繁昌図」そして喜多川歌麿「隈取りする童子と美人図」再発見最後は葛飾北斎と歌川国芳の幕末を飾る両袖の肉筆画。中々素晴らしい絵画展です。

時は過ぎで新型コロナウィルス蔓延旋風もどうやらトンネルの向こうが見えてきたかも知れませんが、多分長い付き合いになるのではと思います。
ウィルスは思わぬ時に出現して、人類に警告を与え時代を変え行く様です。
「コロナ終息後我々の日常はどう変わるか?」と仲間でZOOMで語り合いましたが、大きく生活様式が変わっていくことだけは確かですね。「安心」「人との絆」これは大事。

コブシも咲き、間もなくサクラも咲いてくることと思います。時は巡ります。

エーガ愛好会(52) 捜索者

What makes a man to wander ?

What makes a man to roam ?

What makes a man leave bed and board

And turn his back to home ?

Ride away, ride away, ride away……….

 

この映画のバックに流れたサンズ・オブ・パイオニアーズ の重厚なコーラスほど、心にしみた映画音楽を僕はあまり知らない。

ジョン・フォード監督、ジョン・ウエイン主演、フォード一家メンバーが集うということだけで、イメージが確立してしまっているそれまでのいくつかの作品とは全く違った、心に染みるフィルムだ。

ウエインの遺作、とだれもが納得してみた ラスト・シューティスト はウエインという俳優自身にささげられた挽歌なのだが、捜索者 はもっと広く、というか深く、というか、いい表現が見つからないのだが過去を背負った人間の、残された時間の生き方、そういうものを感じさせる。自分自身が老境にはいってみて、また感じることがあったのではないか。たしか、この作品を見たのはこれで4度目になるのだが。

 

 

もひとつ、”哀愁”   (HPOB 小田篤子)

相変わらず綺麗なヴィヴィアン・リーが若く見えることや白黒であることから、風と共に去りぬより古いと思いましたら、1年後の`40年の作品なのですね。役柄も全く逆。お守りのビリケンさんはアメリカが発祥で、シカゴのビリケン カンパニーが制作している物だと知り、驚きました。大佐役のロバート テイラーがいつも持っている鞭のような物はなんなのでしょうか?  映画のタイトルは”ウォータールー橋”で何度もこの橋が出てきますが、哀愁の方が内容を良く表しているかと思いました。亡くなり方も車に飛び込むより、川の方が合うような気がするのですが…。上司でもある伯父様役の人が素敵だと思いましたら、C.オーブリー    スミスという、元クリケット選手で193cm、`49年の若草物語で隣りの家のお金持ちのおじい様役の方だったようですね。

(編集子)そーかーあ、この人ってそんなにキレ―だったんかなあ。ドロシー・マローン、なんて誰もいわねえもんなあ。

どうだ、すげえだろ!  (34 小泉幾多郎)

今日は、天皇誕生日ですが、語呂合わせで、2月23日=富士山の日とも言われているそうです。偶々、朝は富士山霞んでいましたが、夕焼け時には、見えました。わがマンションからは、富士山(2月19日)はじめ、第2第3の高峰北岳、
間ノ岳(2月5日)が見えるです。どうでえ。

”哀愁” について    (大学クラスメート 飯田武昭)

ヴィヴィアン・リーについては「哀愁」も良いが、何といっても未だに映画史上最高傑作と思っている「風と共に去りぬ」と「アンナ・カレーニナ」「欲望という名の電車」でしょうが、「欲望・・」は相方のマーロン・ブランドの出世作だけあって、ブランドの粗野な演技が特に話題となったと思います。

「哀愁」(1940年制作)が劇場公開当時ヒットしたので、その後には原題と関係なく数本の映画に「愁」という文字を入れた漢字2文字の映画が公開されました。「旅愁」(1950年)「悲愁」(1959年)「離愁」(1973年)です。

「旅愁」は主演ジョセフ・コットンとジョーン・フォンティーン。
「悲愁」は監督ヘンリー・キング、主演はグレゴリー・ペッグとデボラ・カー。「離愁」の主演ジャン=ルイ・トランティニアンはあの名曲と名作「男と女」で人妻役の美女アヌーク・エーメと恋仲になる相手の男性、ロミー・シュナイダーは言わずと知れたドイツの代表的女優で後に「プリンセス・シーシー」3部作があります。「悲愁」と「離愁」は私のリストでは名作に入りますし、「旅愁」は「第三の男」の ジョセフ・コットンと小生が贔屓のジョーン・フォンティーン主演で好きな映画です。

ジャイのCircle be unbrokenを本日拝見したら、「哀愁」についての諸氏の感想や意見が出ていて面白かったです。

(41久米)さんの文章に、ロバート・テイラーとタイロン・パワーがちょっと似ているとありまして、成程そうかと納得した次第です。
両者ともにアカデミー賞からはやや遠い俳優だったかと思いますがタイロン・パワーの方が「愛情物語」「長い灰色の線」そして「陽はまた昇る」と名作、大作に多く出ていたと思います。

 

(編集子)飯田は大学時代、部室には必ず顔を出したが、教室にはあまり行かない生活をしていた小生、数多くなかったクラスメートの一人。サックスを吹きピアノをこなすという才能に恵まれた男である。ブログを見て連絡してくれるまで、映画マニアであったことは知らなかった。