たかがテレビの音楽番組にこんなに心が揺れたのははじめてだ。これが年を重ねるという事なのか、斎藤なにがしの忠告を振り切ったうえ、少しばかり定量を過ごしたジンの所為なのか、定番番組を見終えて変えたチャンネルに釘付けになった。
八代亜紀の 居酒屋昭和なる一曲。歌詞を拾い読みする。
男の背中にゃ色気があり
女の背中にゃ艶がある
そんな時代がここにある
令和にはぐれた路地裏に
昭和の灯が灯ります
情け見つけに来ませんか
居酒屋昭和の
居酒屋昭和の癒し酒
めったに見ないテレビ番組でまったく偶然に出会っただけなのに、なにか心にドーンと来た感じ。10年以上前になるが、中央高速を走っていて時間調整のために横道へ入り、出くわした武田一族最後の地、という薄暗い林。苔むした遺跡で全く予想もしなかった涙が出た。その時以来の心の共鳴、だった。不思議なもんだ。やはり年齢、であろうか。
俺達月一度の天狗飯店の酒も結局は居酒屋昭和のこころなのかも知れない。