両目の白内障を手術(5月23日)後、極めてすらすらと字が読めるようになり読書が捗っている。とは言え、その速度は絶頂期には遥かに及ばない。しかし、蛇足だが、その後、意外と面倒なのが一日四回の目薬。術後、読んだ本は、
「天離(あまさか)り果つる国(上)」、宮本昌孝、2020年 (時代小説)
「ビーフ巡査部長のための事件」、レオ・ブルース、1947年 (探偵小説)
「うさぎ狩り人(上)」、ラーシュ・ケプレル、2016年・(下)」(今風の北欧ミステリー)
「ボタニカ」、朝井まかて、2021年 (牧野富太郎の伝記)
「武士(おとこ)の紋章」、池波正太郎、1994年 (短編集(牧野富太郎の一編を含む)。ひろいものは「三根山」。
「グッドバイ」、朝井まかて、2019年 (大浦慶の伝記)
なんーだ、みんな絵空事じゃないか。これを見ると、「世のため人のため」になるようなご大層な本を読んでいるわけではない。しかし、全てに共通しているのは、面白いの一言だ。小生にとっては、夢中になって読む本が最高。しかし、唯一の例外は、今風の北欧ミステリー「うさぎ狩り人」。これだけは、最後まで馴染めなかった。
今、図書館から借りて読書待ちが、 「エイヴォン記」、庄野潤三 (チェーホフ、トゥルゲーネフなどの短編小説の紹介と身辺雑記)
図書館に予約済みが(ただし、借りても積読の可能性あり)、「高瀬庄左衛門御留書」、砂原浩太郎 (時代小説)
「黛家の兄弟」、砂原浩太郎 (時代小説)
「輝山」、沢田瞳子 (時代小説)
「ベルリンに堕ちる闇」、サイモン・スカロウ (ナチスものミステリー)
「白光」、朝井まかて (イコン(聖像画)画家、山下りんの伝記)
「日本共産党 「革命」を夢みた100年」、中北浩爾
ただし、最後の「日本共産党・・・」は、イデオロギーに凝り固まっていたら、即、退散。中公新書なので、そうではないと期待しているのだが。
(編集子)小生の ”乱読” の定義を考え直す必要がありそうだ…….ただし、万事、”居眠り” が終わってからのことになるけど。
(菅原 追記)大失敗を仕出かした。駄作と言うより、読むに値いしない本を選んでしまった。
庄野潤三の「エイヴォン記」だ。エイヴォンとは、隣家から貰い、机上の花瓶に活けた薔薇の一種だそうだ。その内容は、彼が読んで気に入った短編小説の紹介と(例えば、最初の奴は、マーロン・ブランド、フランク・シナトラ、ジーン・シモンズなどが出たミュージカル映画「野郎どもと女たち」の原作者、デイモン・ラニヤンの「プッチの子守歌」)、その身辺雑記なのだが。その短編のどこが面白くて、何に彼が感心したのかがまるで伝わってこない。加えて、身辺雑記とは言っても、実は典型的な私小説。孫を中心にした庄野一族の他愛もない話しが、延々と続く。そこで、第三章を読了後、早々と退散した。
何せ、小生の読書の出発点は、高垣眸の「怪傑黒頭巾」とか吉川英治の「神州天馬侠」だから、庄野と全く相容れないのは当然の話しであり、この乱読は最初から完全に間違っていた。「日経」の読書欄。「半周遅れの読書術」に女流作家、江國香織が推薦していたのに、うまうまと乗せられ、軽はずみな行動であったと反省しきり。先が長くないから、出来るだけ無駄なことはしたくないのだが、実際にはそうは問屋が卸さない。
(編集子)マーマー、そんなに難しく考える必要もないんじゃないか、御同輩。