エーガ愛好会 (137) 素晴らしき哉 人生

(保屋野)掲題映画、初めて観ました。評価の難しいエーガですね。超善人夫婦を演じた、ジェームス・スチュアートとドナ・リードはまさに「はまり役」でしたが、ストーリーはやや平凡で、最後に「天使」が助けてハッピーエンド、という展開もどうなのか。ただ、ネットでの評価は概ね高く、クリスマスには必ず上映される「特別なエーガ」だそうです。

これと似たような映画で先月観た「我ら人生最良の年」は3人の復員兵の、それぞれの「愛の物語」でしたが、アカデミー賞作品だけあって、こちらの方が私には面白かった。なお、この映画のテレサ・ライトや上記ドナ・リード・・・戦後の、ヘプバーンとかバーグマン、テーラー、モンロー等と比べて、オーラはないものの、気品があって、チビ太同様私も好きになりました。

(船津)全く同感。
良き時代のアメリカ映画ですね。淀川さんが泣きながら「映画っていいなぁ」と言いそうな作品ですね。今、アメリカもこんな時代を取り戻したいのかも。小津安二郎米国版。日本も然り。

(安田)お二人のご感想に同感です。「アメリカの良心を代表する俳優」と称せらるジェームス・ステュアート主演、戦後すぐの1946年制作映画となれば、絵にかいたようなハッピーエンドも頷けます。女優ドナ・リードこの「素晴らしき哉、人生!」と打って変わって、「地上より永遠」(ここよりとわに・From Here to Eternity1953年の汚れ役が忘れえず脳裏に刻まれています。アカデミー助演女優賞獲得。バート・ランカスターとデボラ・カーの映画史上に輝く波打ち際のラブ・シーン、フランク・シナトラやモンゴメリー・クリフトなど実力派俳優の熱演・・・と見応えある映画でした。

また保屋野さんに同意です。同じ1946年制作ウイリアム・ワイラー監督の映画「我らの生涯の最良の年」(The Best Years of Our Lives)の方が内容が濃くて様々の人間の人生を深く、しかもpositiveに描いていたと思います。出演した一押しのテレサ・ライトですが、この映画の他では、「偽りの花園」1941年ウイリアム・ワイラー監督、「ミニヴァー夫人」1942年アカデミー助演女優賞獲得、「打撃王」1942年(The Pride of the Yankees)、「疑惑の影」1943年(Shadow of a Doubt)ヒッチコック監督サスペンス映画などを観ました。それぞれ、ベティ・デイヴィス、グリア・ガースン、ゲーリー・クーパー、ジョセフ・コットン等の一流俳優と共演。大関・横綱格のオーラはないが、小結・関脇クラスとして“いぶし銀”の素晴らしい存在感を見せてくれていました。