第5波の波が収まってきたころ新聞コロナ川柳欄に投稿し、10月9日に掲載された、“第6波今でしょ対策立てるのは” と警告を発していたのですが、前回情報(31)で危惧していた通り、第6波対策は有効打を打っておらず、爆発的に感染者が増えています。
新変異株オミクロン株が出現し、世界的に猛威を振るったデルタ株に入れ替わって拡散しています。感染力は数倍とも10数倍ともいわれ、幸いにして重症化率は低いようですが、政府や東京都が唯一の対策としたコロナ病棟では収拾がつかず、しかも非コロナ救急・重症患者の診療に支障が出始めています➊。
首相を始め厚労省、東京都、果ては基本的対策専門分科会長までもが、支離滅裂な発言を繰り返し、日本の医療は無茶苦茶になっています。
第5波までにあれ程指摘されてきた検査体制の拡充がなされておらず❷、PCR検査、抗原検査をやらずに臨床症状だけで感染者と見做してよい(政府)➌、濃厚接触者は本人が届け出をする(都) ❹感染者本人が濃厚接触者に直接連絡する(都)❺、濃厚接触者の特定や入院調整の司令塔であるべき保健所が、予想を上回る対象者数に人員を4,5倍の最大限に増員しても追いつかずパンク状態となり❻、保健所の検査は高齢者施設か同居家族に絞るとか❼ 濃厚接触者のリストアップを患者所属会社に一任する➑など自らの業務を放り投げようとしています。感染が疑われる素人が自分で検査をしようとしても検査キットが品不足で入手できず(検査難民)しかも先進国では信じられない野放図な料金が請求される➒、抗原検査の精度にも問題があり、専門家でさえ陽性、陰性の判断から次のPCR検査か入院かの判断が難しいといわれるのを素人が判断せよという❿、患者側からは発熱外来の予約は一杯で受け付けてくれず医療機関受診も出来ないとなったらどうしたらいいのでしょうか(受診難民)⓫。本来体調が悪い時に診察、治療を受けるのは患者の権利でもあります。これを検査も受診もせずに素人が判断せよといっている。もはや医療と言えず、文明国の生活とは言えません。
➊~⓫どれ一つとっても医療崩壊と言えます。患者数が減っていた数か月を無駄に過ごしたのが原因と思います。
新聞では『開業医を含めて総動員体制でオンラインや電話で問診し診断せよ』という意見がありました。感染症専門医でさえ、「検査なしで臨床症状だけから
診断するのは危険だ➊」といっているのに、「医者ならそれくらいできるだろう」というのは、あまりにも無謀というか、何十年と眼科医や皮膚科医として診療してきた医師にとっては無理な要求です。
このような社会情勢では、陽性者数、濃厚接触者数ともにあやふやで、オミクロン感染の統計自体への信頼も失墜することになり、欧米から冷たくあしらわれるでしょう。
人数制限はするが人流制限はしないなど、政府は突き放し、東京都は軽症・無症状患者は自宅待機せよと放棄しています。『ほとんどの人は自宅療養で治る病気というイメージに変えようという意図の確信犯的迷走なのではないか』という意見も見られました。例えば他の株と比し、重症化率が4分の1としても感染力が4倍なら重症患者数は同じです。従って未だ科学的に立証されていない段階での軽視可能イメージは危険です。
ともかく大変な事態になってきました。ワクチンの第3次接種は、英、韓、仏、豪、米などの54~25%(これらの国では発生率のピークを越えつつあります)と比較し本邦では僅か2.5%と、大きく遅れています。2次接種率では78.7%と優れた数値でデルタ株脱出にも先行できたのに、予め計画して行うことの不得意な国なのでしょう。2次との間隔を9か月と決定したころの縛りがまだ効いているのでしょう。ワクチンの第3次ブースター接種はオミクロン株に対しても有効です。
皆さんなるべく早く第3次ワクチン接種を受けてください。 今、感染ないし濃厚接触者となると大変です。ステイホームせざるを得ないかもしれません。
(コロナとは関係ありませんが、今年正月のー筆者のー写真です)