エーガ愛好会 (110)  プロフェッショナル  (34 小泉幾多郎)

文芸作品を得意としてきたリチャード・ブルックス監督作品。西部劇はこれ以外に「最後の銃撃 1956」「弾丸を噛め1975」の2作品しかなく、何れも異色作。この映画も監督・脚色賞にアカデミーノミネートのほか、撮影賞にコンラッド・ホールがノミネートされ、音楽も「ドクトルジバゴ」「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。俳優もメキシコ革命を背景とした中、豪華メンバーを取り揃えている。革命家の指導者ジャック・パランスに誘拐された妻クラウディア・カルディナーレを取り戻したいテキサス油田の富豪ラルフ・ベラミーが雇った戦いのエキスパート達が、ダイナマイトの名人にバート・ランカスター、射撃の名手のリー・マーヴィン、馬の専門家ロバート・ライアン、追跡と弓矢を得意とするウディ・ストロードの4人。

メキシコ風味の音楽に載せ、リー・マービンからエキスパート4人のメンバーを紹介していくところから始まるが、残念ながら、ジバゴやロレンスのような聴きなれたメロディは現われてはこない。この後、戦いのエキスパート4人の活躍が描かれていくのだが、途中では、革命軍やら山賊やらわからない連中との戦いもあり、リー・マーヴィンが4人のリーダーとして活躍し主役を牛耳るかと思いきやその後4人の役割分担がはっきり分かれ革命軍拠点でのダイナマイト爆破あたりからランカスターの活躍が目立つ。その間機関車を襲う革命軍と政府軍との戦い、砂嵐の吹く砂漠や銃声のこだまする岩山のシーン等のロケーションもなかなか良い。撮影賞にノミネートもむべなるかな。拠点での戦いの結果、クラウディアとバランスは、もともと恋人同士で夫婦関係にあることも判り、妻クラウディアを連れ出した一行5人の脱出に革命軍の追っかけとなる。4人の強者の前に革命軍は二人だけになってしまう。富豪ベラミーの汚さに気付いたことで、 クラウディアとパランスの二人をメキシコに帰すことにすることで一件落着。

まあ物語としては、若干スッキリ感がなく、これだけ苦労をしても4人は一人1万ドルの賞金も棒に振ったことになるのだが、もともとマーヴィン、ランカスターは革命に手を貸していた過去があると言うし、ランカスターの最後のセリフ「俺は純愛に弱い」ことから、結果は当然の帰結なのだろうし、さわやかな仕上がりと言ってよいのだろう。

(編集子)パランスといえばシェーンでの劇的なデビューの衝撃が大きいのだが、本作では違った一面がよくわかった。ほかにも グッドガイ を演じたものがあってへえ、と思ったものだが、タイトルが思い出せない。バッドガイ・グッドガイの連想で言えば、本作とは無関係だが、いつでもフォード西部劇では善玉と相場が決まってるベン・ジョンソンが ゲッタウェイ で演じた悪役はなかなかよかった。この系統の話で言えば、御面相からして悪役、ときまっているネヴィル・ブランドが トラトラトラ で重要な下士官役を演じたのとか、ジョン・アイアランドが さらば愛しき女よ で演じた警部とか、悪役ナンバーワン、ブライアン・ドンレヴィにもあったような気がするが思い出せない。