12月3日BSP放映の「追われる男1955」に次ぐジェームス・キャグニー主演の西部劇。12月24日放映の「シマロン1960」での、オクラホマ州での土地獲得競争が、冒頭から号砲一発で一斉スタートするのだが、まず驚いたことは、こんな昔の映画なのに、インディアン居留地として保証していた土地を二束三文で、入植者に開放するということに、当時のクリーブランド大統領が議会演説で「今回の土地の買い入れはインディアンからの搾取であり、議会に押し切られて致し方なく調印する」という趣旨の演説から始まる。
主役のキャグニー扮するジム・キンケイド通称オクラホマ・キッドも土地はインディアンから安く叩いて取り上げたものと反体制的な言葉を使い、土地獲得には無関心を装い、酒場で酒を飲んでいる。監督はロイド・ベーコン、どちらかというと低予算の職人監督として活躍したが、ミュージカルの傑作「四十二番街1933」や野球映画「春の珍事1949」等印象深い。
キャグニーを取り巻き、父ジョン・キンケイド(ヒュー・サザーン)兄ネッド・キンケイド(ハーヴェイ・スティーブンス)や恋人ジェーン・ハードウイック(ローズマリー・レイン)とその父ハードウイック判事(ドナルド・クリップス)の面々に、敵役は当時悪役でならしたハンフリー・ボガートが黒ずくめの服装で、悪役ホイップ・マコードに扮し、ダンディズム、ニヒリズムの魅力を醸し出していた。
簡単に筋を辿れば、チェロキー族への補償金を強奪したマコード一派から、その補償金を横取りしたのがキッドで、インチキで土地を獲得し酒場と賭博場を仕切るマコードと敵対することになる。キッドの父は町の有力者で人望厚く、町長に立候補するも、マコードに嵌められ、吊るされてしまう。マコードの悪行と仕掛けたマコードの部下たちへの復讐の念に燃えたキッドは次々と部下たちと対決、3人を殺し、1人はマコードの悪行の証言させる。ジョン・フォードの西部劇の常連ワード・ボンドが子分の一人に扮するが、あまり活躍の場がないまま直ぐに殺されてしまう。同じフォードの「わが谷は緑なりき1941」のドナルド・クリップスは判事に扮し貫録の演技を示す。最後キッドとマコードとの対立は格闘となったが、保安官となった兄ネッドが逮捕に現われ射ち合いとなり、射たれるも、瀕死のままマコードを射殺したが、キッドに抱かれながら息絶える。結局キッドの父と兄は法の力で解決しようとするが、キッドの法以外の力でしか解決できなかった西部劇の典型が描かれている。
肉親を失ったキッドだが、恋人ジェーンの父判事のお墨付きもいただきジェーンと新生活に入る。他愛ないと言えばそれまでだが、キャグニーとボガートという名優以下善悪入り乱れての戦いが西部劇の典型で先ずは面白かった。
(編集子)”西部劇の典型” をぜひ見たかったのだが所用があり見損なった。妙な意地だが、どうも録画、というのが嫌いなので。
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