『阿弥陀堂だより』(あみだどうだより)は、南木佳士の小説、及びそれを原作とした日本映画。2002年10月5日に公開された小泉堯史監督・脚本。東宝とアスミック・エースにより配給された。本作品に出演している北林谷栄が第26回日本アカデミー賞助演女優賞、小西真奈美が新人俳優賞を、それぞれ受賞している。
キャッチコピーは「忘れていた,人生の宝物に出逢いました」。
人生や心情を丁寧に表現しようとし、山里の四季の美しさを絡める。淡々と静かになるべく自然に演出する。良いも悪いも日本映画の特徴。そして何かほっこりする、そんな映画。
ストーリーは春、売れない小説家の孝夫は、パニック障害なる原因不明の心の病にかかった妻で女医の美智子の療養の為、ふたりで東京から彼の故郷である信州に移り住む。無医村であったその村で、週3回の診療を始める美智子。やがて彼女は、自然に囲まれたシンプルな暮らしの中、阿弥陀堂という村の死者が祀られたお堂に暮らす96歳のおうめ婆さんや、村の広報誌に彼女が日々思ったことをまとめたコラム「阿弥陀堂だより」を連載している、喉の病で喋ることの出来ない娘・小百合、孝夫の恩師で癌に体を蝕まれながらも死期を潔く迎えようとしている幸田とその妻・ヨネらとの触れ合いを通し、次第に心癒されていくのであった。夏、小百合の病状が悪化していることが判明した。彼女の手術担当医として再びメスを握ることを決意した美智子は、町の総合病院の若き医師・中村と協力して、見事、手術に成功する。秋、幸田が静かに息を引き取った。冬が過ぎ、再び春がやって来る。今やすっかり病を克服した美智子のお腹の中では、孝夫との間に出来た新しい命が息づいていた
何と言っても90歳の北林谷栄さんの演技が素晴らしい。おうめ婆さんを演じる北林谷栄さんにつきます。自然体で後光が出るような包容力。
出てくるだけでぐっと来ました。と当時評されていました。
2010年に享年100歳で逝去されました。
斯様な映画が創られ上映されたとは知らず2019年5月27日にニッコールクラブ撮影会で野沢温泉郷から飯山市瑞穂地区の三部の棚田を撮影に参りました。
「阿弥陀堂だより」をロケした阿弥陀堂が今もそのまま棚田の上に保存されていました。この阿弥陀堂は昔から在ったわけでは無く、この映画のために此処に創られそのまま保存されているのだそうです。
素晴らしい風景と遠くの山々が思い出しています。
帰りましたら2020年2月26日NHKTVBSプレミアムでこの「阿弥陀堂だより」が放映されていて録画もして何度も観ました。この三部の棚田は「忘れていた,人生の宝物に出逢いました」の通り何とも心静かな日本の風景ですね。
映画も小津安二郎の流を汲む「ほっこり」した静かな映画です。
西部劇とか洋画の良さも在りますが、日本映画の良さも忘れないように。
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(小田)私も阿弥陀堂に行き、映画も観ました。
20年程前、習い事で知り合った高校の後輩が、”南木佳士さんは同じ高校卒で本、面白いですよ。”と教えてくれ、エッセイを読みました。南木さんは長野の佐久でお医者さんをしながら山登りもよくされています。
2011年5月、被災後の福島を旅行した帰り、飯田(長野)の”菜の花公園に寄りました。一面の菜の花+桜+千曲川+残雪の山々の素晴らしい景色でした。
次いでに、町のパンフレットにあった”阿弥陀堂”(映画のセットとして作られた)に行った、という訳です。
その後、TVで映画を観て原作は南木さんと知りました。寺尾聰と樋口可南子が夫婦役で、凄いシーンが有るわけでは無く、題もちょっと面白く無さそうですが、船津様の書かれているように、見終わったあと、穏やかな気持ちの残る映画でした。音楽は”パリは燃えているか”の加古隆さんだったのですね。
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