米国空母艦長解任事件と我が国のコロナ対応について

色々と情報が飛び交い、穏やかならぬ事情のもとで今朝、緊急事態宣言が発表された。この実施までの過程とか,検査体制の問題とか、いろいろと批判も多いが、小生は今までの政府の対応は日本人の道義心、公共心などを前提にした、この国ならではのやり方だったのではないか、と評価してきた。ただ物理的な問題で医療崩壊を防ぐ意味で実施された一連の措置は万、やむを得ない事だろうと納得する。そこへ今朝、コロナ問題の米国でのありかたについて生々しい情報を届けてくれている、サンフランシスコベイエリア在住の友人五十嵐恵美から違った視点から新しいメールが届いたので、その一部をご紹介する。

異常時にあって、軍や警察や罰金などと言う強制力を待たずとも、おのずと社会のバランスが取れる、その基本にあるのは、ビジネス万能なんでもグローバル、と唱える人たちからは批判が絶えないが、個人ベースの上に社会の価値を考える,”思いやり” の文化の価値が示されているからだろうと思う。本稿で紹介したかどうか忘れてしまったが、東日本大震災の時の ”トモダチ作戦” で現地に赴いた米軍の司令官は、被災者たちの逆境に会っても列を乱さず公共心を忘れない、日本人の在り方に深い感銘を受けた、と言ったそうであるし、古い話だが、阪神淡路大震災の直後神戸へ赴いたとき、崩壊した道沿いにある高級車の露天展示場が全くあらされることもなく無傷で残っているのを見て日本人の道徳心を改めて見た気がしたのを思い出す。

以下、彼女からのメールの抜粋であるが、後半にあるAFPの記事は翻訳も整っているので、ぜひご一読をお勧めする。古い映画だが ”ケイン号の反乱” を思い出すような事件、と言えるかもしれない。

(五十嵐―中司)国の緊急事態宣言、東京都の緊急事態措置の案の公表、等、ウイルスに関する対応が「やっと」始まったという感じですが、その後、いかがお過ごしでしょうか.カリフォルニアのShelter-in-place order (自宅避難勧告) は4月7日に終了の予定でしたが、州の公表を待たずにBay Areaのサンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ郡を含む6郡 (カウンティー) が、それを一ヶ月延長し、5月3日までStay at home order (自宅待機命令)を4月1日に発令しました

3週間前に友人から「そちらは急激に状況が変化しつつあるようですね.というか、一挙に対策をすすめる、というのはやはり軍隊をもっている国の行動様式かな、と思います」というコメントをもらい、その件、色々考えていました.そして (すでにご存知だと思いますが) 今回の「米海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトにおける新型コロナウイルスの流行で、軍の対応が不十分だと訴えていた艦長が2日、解任された」という事件です.サンフランシスコ  クロニクルに (艦長が上層部にあてた書簡も含めて) 全容が載っていますのでご覧ください(https://www.sfchronicle.com/bayarea/article/Exclusive-Captain-of-aircraft-carrier-with-15167883.php?campaign_id=49&emc=edit_ca_20200406&instance_id=17380&nl=california-today&regi_id=117711487&segment_id=24008&te=1&user_id=6adebc50299062468e5c9126fd05ca53#photo-19240172

AFP=時事 (AFPはフランス系のNews Agency)には日本語で比較的艦長に心情的な(?)記事が載っています(https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E8%A7%A3%E4%BB%BB%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%B1%B3%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E8%89%A6%E9%95%B7%E3%80%81%E4%B9%97%E7%B5%84%E5%93%A1%E3%81%AE%E5%A3%B0%E6%8F%B4%E5%8F%97%E3%81%91%E4%B8%8B%E8%88%B9/ar-BB129D6l

クロージャー艦長の行動に対する賛否両論、多々聞かれますが、原子力を搭載している空母の艦長がChain of command  (指揮系統)を無視して公式の国防省の上層部への書簡を自らミディアにリークするというのは原則的に問題だと私は思います.  恐らく、解任を覚悟での行動だとは思いますが、メディアを利用したアメリカ式「腹切り」とでもいうのでしょうか.