”とりこにい” 抄 (8) 白馬回帰

高校1年の時、初めて山登りを経験したのが白馬。栂池から大池経由の旅だったが、その翌年、後立山縦走を目指したときが白馬2度目の登頂。KWVに入ってからはほかの山をあさっていたので、3回目に回帰したのは3年の6月、大嵐の日だった。残念なことにすでに鬼籍に入ってしまった村井純一郎や金沢央などとのことがあらためて思い出される。

OBになってからこの時にも一緒だった菅谷国雄などとともに4度目の山頂を踏んだ。その時にもまずい詩のようなものを書いたのだが、残念だが原文がみつからない。メンバーの何人にかはメールした記憶があるのだが(もしどなたかのファイルに残っていればお送りいただけるとありがたい)。いずれにせよ、白馬ー ”ハクバ” なぞでなく、”シロウマ” ー は山歩きの原点としてぼくの心の中にひっそりと座り続けている。

 

白馬にて

 

白馬岳。

厚くよせるガスの波

払いのけ、払いのけ、じっと俺を見つめている

白馬岳。

お前はもう一度、俺にささやく。

はるかな夢、遠い幻 。

 過ぎしかた 越えきしかた

そして今 帰りきたったこの頂。

頂に立てば むら雲、くろ雲、雨、そして風。

歓喜のあらしのなかの その一時のしじまのうちに

お前は唄うというのか 

訪ね歩み 求めつづけた 俺のこの唄を ?

促されてトレイルを下ればお前は早くもガスのむこうにかくれ

俺はただ

前だけを見て歩き続ける。