ポーとドイルについて

少し前に、本稿で ”上を向いて歩こう” と ベートーヴェンのピアノコンチェルト5番 ”皇帝” との関係、ということ話題にしたことがある。これについてはブログ仲間にもその道にうるさいのがいっぱいいるので、感覚論から始まってついには小生にとってはギリシャ語以上にわからない楽譜まで飛び出す論戦があった。今回のことは専門家各位のあいだではとうに解決ずみだろうと思うのだが、昨日、本稿で菅原勲(スガチュー)の エッセイを紹介したがそれに端を発したことだ。この文中、菅原は推理小説の原点とされているエドガー・アラン・ポーの モルグ街の殺人について触れていて、中学時代に読んだ記憶がよみがえってきたのだ。一昨日、テレビのシャーロック・ホームズもの(適役、名優とされるジエレミー・ブレットの出るやつ)を見ようと思ったら、その日は 踊る人形(作者のドイルは気に入っていて、自作のナンバースリーと言っている、ということも万能薬グーグルで知った)をやっていた。初めてテレビ作品としてみたのはこのシリーズの放映が始まった時だから随分前のことになるが、その時感じたことを思い出してこれまたグーグル先輩の力を借りて、疑問にけりをつけた。

疑問というのはこうだ。今度のテレビ番組で取り上げた、暗号らしい踊る人形の漫画の羅列が、実は主人公の生死にかかわる情報だった、という設定なのだが、その暗号の解決過程が、モルグ街と並んで古典の一つであるポーの 黄金虫 と全く同じことで、もしまねたのならこういう場合は盗作とはいわないのか、ということだ。方法は暗号が英語であるという前提に立つと、英語の中で最も使用頻度の高い文字は E である、という事実にもとづいたものだ。ドイルの場合は主人公の名前が エルシーであり ELSIE  とつづることから、L,S,I に当たる文字を仮定していく。ポーのばあいは英語で最もよくでてくる3文字が THE である、ということで T と H に当たる記号を仮定していくということで、まったく同じなのだ。これは偶然か?

すぐわかることだが、ポーの作品の初出は1843年、ドイルのほうは1903年だから、もし剽窃行為であるとすれば罪はドイルにあることは明瞭である。え? と思う人は少なくないだろうし、その筋の専門家の間では解決済みなのだろうが、これまた愛するグーグル君に掲載された、名前は存じ上げないが同好の士のHPのコピーがあった。いわく、

エドガ-・アラン・ポー『黄金虫』とコナン・ドイル『踊る人形』はどちらも暗号を使った小説ですよね。私も昔、読んでとても面白かったのを覚えているのですが。最近、あるHPでこんなことが書いてあるのを見つけました。

「黄金虫」
暗号小説の古典だが、完成度は高い。何しろコナン・ドイルがこの中の暗号の解き方を「踊る人形」でパクった程(「黄金虫」の中でポーが犯したのと全く同じ間違いをドイルが「踊る人形」の中でしている事からドイルがポーの「黄金虫」をそのまま引き写した事が判る)。

というものなのですが。
この方が言う“全く同じ間違い”とは何のことなのでしょうか?気になって今読み返しているのですが…。分かる方がいらっしゃたら是非、教えて下さい。出来れば直接の回答が欲しいのですが、ヒントとなるHP等でも結構です。
皆さん、よろしくお願いします。

この方の疑問に答えた人がおられるのかどうか、まではたどっていない。他人のHPに掲載されたそのまた他人のHPを引用している、自分のほうが剽窃行為なのだろうからこれでやめておく。この道に小生を誘い込んだスガチューの意見を聞きたいものだ。