エーガ愛好会 (281) 病室で見たエーガ (普通部OB 菅原勲)

(小生、何か悪いことをしたのか、正体不明の何物かに感染して(ただし、「武漢ウイルス」は陰性)、8月13日から9月9日まで入院していました。その間、暇を持て余してテレビを見ました。添付は、そこで見たエーガの感想です。ですが、病室で最も熱心に見たテレビの番組は、実はエーガではなく、本塁打を期待して大谷翔平の出るドジャースの野球中継でした。繋ぎの投手、例えば、ハニウェル、バンダ、ハドソン等の名前まで憶えてしまいましたが、話しの焦点がボヤケてしまうので、ここではエーガの話しだけに限ることにします)

病室で見たエーガは、次の3本だ。「勇気ある追跡」(原題:True Grit。1969年)、「小さな巨人」(原題:Little Big Man 。1970年)、「J.エドガー」(原題:J.Edgar 。2011年)。

そうそう、忘れていたのが、「ベートーベン」(原題:Beethoven。1992年)。と言うほど、犬を主人公としたこのエーガの印象は極めて薄い。小泉先輩が言われているように、見る必要の全くないエーガであり、後に、ネットを見たら、コメディと銘打っているのだが、一度も、コソットモ笑えなかった。暇つぶしにしても途轍もなく退屈なエーガだった、と言わざるを得ない。

「勇気ある追跡」は、J.ウェインがアカデミー賞の主演男優賞を、唯一、獲得した西部劇だが、別にここでのウェインが、他の出演作品に較べて際立って良かったわけではない。話しは、父を殺された娘が、独眼竜政宗ならぬ左目にパッチを当てた連邦保安官ウェインを雇って仇討ちをする。しかし、これが、ドイツのロンメル将軍を描いた「砂漠の鬼将軍」(1951年。原題:The Desert Fox:The Story of Rommel)を監督した同じH.ハサウエイのものとは到底思えない、実に締まりのないエーガだった。

「小さな巨人」。これは一体何を描きたかったのだろう、と言う疑問を抱かざるを得ない。つまり、土着人(いわゆる、インデイアン)に媚びているのか、あっちについたり(インディアン)、こっちについたり(白人)、とまるでコウモリ、のようだと言ったら言い過ぎか。ダスティン・ホフマンのやっていることが、まるで滑稽にしか思えない。ネットを見ると、西部劇として画期的な作品とも称えられているようだが、お世辞にしてもほどがある。小生、インディアンを正当に評価するに吝かではない。しかし、今現在の観点から、つまり、罪の意識から、遡って崇め奉るのは歴史の改竄ではないか。そこまでやりたいのであれば、インディアンから略奪した土地をインディアンに返却したらどうだろう。さすれば、米国は消滅することになるのだが。このエーガの一番の見どころは、有名なカスター将軍とその騎兵隊全滅のインディアンとのリトル・ビッグホーンでの戦いだが、カスター将軍と言えば想い出すのが、「壮烈第七騎兵隊」(1941年。日本公開:1953年。原題:They Died with Their Boots On)でそのカスター将軍を演じたエロール・フリンだ。しかし、そのエーガの中味については全く覚えていない。そして、ここで、D.ホフマン、F.ダナウェイなどを抑えて、際立っていたのは、カスター将軍をやったリチャード・マリガンだ。

「J.エドガー」は、米国の司法長官を長年務めたJ.エドガー・フーヴァーの話しだが、フーヴァーについて、小生が殆ど知らなかったこと、監督であるC.イーストウッドの演出の切れが良く、冴えわたっていたことなどがあって、この中では一番面白かった。フーヴァーを演じたL.ディカプリオも、彼自身が二枚目ではないだけに適役だった。それにしても、テレビ「ローハイド」のお兄ちゃんが大変な出世をしたもんだ。

と言うわけで、病室で病人がエーガを見る。こりゃー、どう見たってその体調が普通でないから真面なものになる筈がない。であるならば、「病室で見たエーガ」を「病人が病室で見たエーガ」と訂正すべきだろう。

(編集子)普通部時代、なんせでかくて凄みがあって中学生とは思えない低音で話すスガチューはいわば不死身の巨人みたいだった。感染症とはね。俺のほうは正真正銘の武漢ウイルスで自宅で済んだが、それでも全快、と思えるまでに1週間はかかった。その間はもっぱらディスクにため込んだ、昭和末期のドラマを何となく見る、というおよそ生産性のない時間だった。

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エドガー・フーバー

連邦捜査局(FBI)の初代長官である。1924年5月10日にアメリカ合衆国司法省内の捜査局(Bureau of Investigation:BOI)の第6代長官に任命され、組織がFBIに改称された後の1972年に死去するまで長官職にとどまった。就任当時の第30代カルビン・クーリッジから第37代リチャード・ニクソンまで、8代の大統領に仕え、これは現在に至るまで合衆国で、最も長く政府機関の長を務めた人物の記録となっている。なお、彼以降はFBI長官任期は、権力の集中や犯罪組織との癒着を防ぐため10年に制限されている。

フーヴァーはFBIを巨大な犯罪捜査機関として強化したことや、指紋ファイルや法医学研究所などの捜査技術の近代化と科学的な捜査手法を導入したことで称賛された。晩年と死後、フーヴァーは権力の乱用が明らかになり、議論の余地のある人物となった。彼はFBIの管轄権を超え[4]、政治的な反対者や活動家に対してFBIを使って秘密ファイルを作成し[5]、不正な方法を使って情報を収集したことが判明した