エーガ愛好会 (249)夕陽のガンマン  (34 小泉幾多郎)


監督セルジオ・レオーネ、主演クリント・イーストウッド、音楽エンニオ・モリ
コーネのトリオが放った「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続夕陽のガンマン」が所謂ドル箱3部作と言われ、マカロニウエスタン500作の先駆的作品となったが、その2作目。1作目が黒沢明の「用心棒」のリメイで黒沢色が強く、3作目が南北戦争まで描き、やや冗長な感じがすることから、この2作目が3作中最高の出来ではないかと感じている。この3部作がマカロニウエスタン誕生60周年を記念し、3月22日(金)から全国的に公開されるとのこと。

主演は二人の賞金稼ぎ、リー・ヴァン・クリーフ扮するダグラス・モーティマーが1000ドルの賞金を稼ぐ。同じ頃、クリント・イーストウッド扮するモンコが2000ドルを稼ぐ。モンコは例によって、ポンチョ姿、茶色のハットで崩れた感じだが、魅力が一段と増し、気性が激しく速やかに事を終わらせるといったタイプ。モーティマーは、「真昼の決闘」の悪役では、セリフもなく、簡単に殺されてしまったが、ダンディーな黒スーツに、黒のハットで眼光鋭いキャラクターを演じ洗練された身のこなしで、冷静に仕事をこなす。二人は脱走した凶悪犯エル・インディオ(ジャン・マリオ・ヴォロンテ)に、10,000ドルの懸賞金がかかっているのを知り、追うことになる。この悪人インディオがカリスマ性あるようなないようなトーンで残忍なバイオレンス描写で描かれる。

性格の対称的な主演の二人は案の定対立し、帽子を撃ちあう等、一触即発を思わせるが、後で判るのだが、モーティマーの妹がインディオに殺されたという深い因縁があったからか、結局、二人は協力し合って、賞金山分けを条件に手を組むことに。インディオ一味のエルパソの銀行襲撃に絡み、二人がリンチを受けたりしながらも、インディオによる自分の手下を使って漁夫の利を得ようとする魂胆から、一味同士の相討ちもあり、最後は、モーティマーとインディオの決闘にな
る。モーティマーが復讐も果たしことから、賞金はモンコに譲り、立ち去る。モンコは荷馬車にモーティマー以下の賞金を乗せて去る。最初から、口笛とギターの音色によるモリコーネの音楽が物語をより一層有機的に一体化させてきたが、最後決闘の場面での深い因縁のあった懐中時計から流れ出るメロディーが写真と共に深い因縁を印象づける。音楽と共に、二人の恰好良さが、印象的だった。

最後、賞金はお前にやると言いながら太陽に向って走り去るモーティマー、2万ドル以上の賞金を馬車で運ぶモンコ、何回か、振り向きざまの早撃ちで、相手3人をやつける格好いい場面等もあったが、最後に差がついてしまったようだ。