エーガ愛好会 (222) シェルブールの雨傘  (42 河瀬斌)

放映されたころ家内は大学でフランス語専攻でしたから、みてよく覚えているようです。しかし私は曲は知っていましたが映画を見たのは初めてです。本日は家内と一緒にこの映画を観せていただきました。以下は初めての視聴者としてのDr.河瀬の感想です。
 あらすじ:若きシェルブールの傘屋の娘、16歳のジル(カトリーヌ.ドヌーブ)が自動車修理工の相手ギイと熱烈な恋に落ちてしまう。母親は若い娘の結婚に反対するが、翌年徴兵でギイが2年不在となる直前にその子を身ごもってしまう。母親は店の借金のため、宝石を売りにゆくが、その宝石商の一人、カサールは紳士で母親の信頼を得て母娘に好意を寄せ、娘の妊娠を知らずジルとの結婚を申し込む。妊娠中のジルは苦悩するが、それを受け入れたカサールと結婚式をあげて移住してしまう。
 ギイが徴兵期間を終えた2年後、シェルブールに戻ると傘屋がすでに売り出され、転居した母子の所在は不明となっていることが判明する。ギイは荒れた生活を送り、勤めていた勤務先もやめる。厄介になり慕っていた老齢の叔母さんも逝去し、その娘マドレーヌもアパートを去ろうとしていると、ギイが引き留め二人は付き合って結婚する。そして叔母さんが残した遺産でガソリンスタンドを経営し、幸せな家庭と子をもうける。それから4年後、雪のシェルブールに立ち寄り、そのガソリンスタンドで給油したジルは昔のギイと偶然会うことになる。しかしギイの子を産み育てたジルは、すでに結婚して幸せな家庭と子を持つギイをみてそのまま別れる。
 感想:まず全編にわたってミュージカルを思わせるセリフと上品で柔らかなタッチの映画の流れと(ジャックドウミ監督)俳優たちに感激です。恋のシーンでは例の曲を二人が歌っていましたね。さすがカンヌ映画祭グランプリのフランス映画ですね。雪が降りしきる最後のシーンは感動的でもあり、若い時代に徴兵に翻弄された運命を消し去ろうとしているようにも見える。唯一気になったのは、種違いで育った子がその後大丈夫だったか、ということです。この時代のフランスはフランス人にとっても、移住した日本人にとっても最高でしたでしょう。最近は世界一平和な国でとんでもない事件が起こってかわいそうです。