帯状疱疹(ヘルペス)を知ってますか? (普通部OB 篠原幸人)

先日、ゴルフに行く前夜のことです。ま夜中2時頃に急に右肋骨の下の方に痛みを感じて目が覚めました。「今晩は寝なくてはいけないのに困ったな、夕食に何を食べたかな? 食あたりかな? かなりキリキリする強い痛みなのでアニサキスかな?」 頭の中を悪い想像ばかりが駆け巡り、眠れません。慌てて通常の腹痛でのむ〝ブスコパン“という薬を2錠服用。しかし痛みは軽減せず、まだ寝付けません。翌朝早く知人にキャンセルの電話を入れました。8時になっても痛みは取れず、ハッと気づいて、通常の痛み止めの〝ロキソニン”を服用したところ、20分ぐらいで痛みはスーツと無くなりました。

私の誤診でした。胃や胆のうの痛みではなく、もっと表面の肋間神経痛だったのです。そう言えば痛みはお腹の中というより、右最下部肋骨の裏側だったようです。そのまま軽快しましたし、発疹などは背中にも全くでなかったのですが、私の下した診断は「ヘルペスによる肋間神経痛」。無論その後、症状は全く消えてしまいました。

誰でも非常に疲れたり、仕事で数日余り寝られなかったりするとこの帯状疱疹に関連した神経痛が数年に一回ぐらい起こります。50-60歳以降の話ですが、今日はこの俗にヘルペスとよばれる帯状疱疹ないし、発疹が無くても(ここが重要です)、出現する神経痛についてお話ししましょう。

小さい時に〝水ぶくれを伴う発疹、水ぼうそう“に罹ったことはありませんか? 記憶になくてもだいたい90%の方は罹っています。これは水痘・帯状疱疹ウイルスが原因ですが、それが身体のどこか(特に脊髄の周囲)に何十年も潜んでいて、50歳を過ぎると、加齢や疲労・ストレスなどが原因でまた悪さをし始めるのです。主な症状は肋間神経痛や腹痛、あるいは上肢の強い痛みです。発疹が全く出ないことも、逆に痛みを伴う発疹で気づくこともあります。免疫機能が落ちているときに出やすいと言われます。発疹が出れば、どこの医者にも分かるのですが、発疹が出る前に、神経痛だけだとよく分からないと言われてしまう可能性もあります。最近、開業医さんでも、このヘルペスに対しワクチンを予防的に投与することが可能です。

ワクチンには生ワクチン(接種は1回、効果は70%ぐらい、5年有効)と、不活化ワクチン(2回接種が必要、効果は100%近い、10年ぐらい有効)の2種類があります。費用は前者が1万円ぐらい、後者は2回で4万円ぐらいですが、お住まいの地域から補助金が出るはずです。お知り合いの医師か、各市町村に相談してください。まあ、お金持ちで、2回接種に行く時間的な余裕もあり、今後10年以上長生きする自信がある方は、不活化ワクチンをど~ぞ。

但し、私はまだ打っていません (医者の不養生?)。