BS12では民放としては珍しく「西部劇特盛祭り」と称し、6月9・10・11日に「小さな巨人」「100万ドルの決斗」「ウエスタン」「馬と呼ばれた男」「勇気ある追跡」が放映された。そのうち「小さな巨人」と「馬と呼ばれた男」の2作品は、1970年製作。何れも先住民の中での生活を強いられた白人が、その先住民との精神的交流を描くヒューマンドラマ。特に「小さな巨人」は、時期的には、1964年にアメリカが参戦したベトナムでのアジア人虐殺に異を唱える反省期にも当たり、西部開拓が騎兵隊のインディアンに対する大量虐殺という巨大な罪の上に成り立ったものであることを明らかにし、逆にむしろ白人と交流するインディアンの高潔さを賛美するする先例となった西部劇の転換点とも言える作品だけに感想を述べておきたい。
開巻すると、「名前はジャック・クラブ、リトル・ビッグホーンの戦い(カスター将軍の第7騎兵隊がインディアンとの戦いで全滅)で、生き残った唯一の白人だ」とインタビューに応え、回想形式で歴史が語られる。そのジャック・クラブにダスティ・ホフマンが扮するが、その老人たる特殊メイクが凄い。
物語は、その111年前のジャック10歳の時に始まり、インディアンに襲われシャイアン族に育てられることになる。老酋長(チーフ・ダン・ジョージ)から小柄だが勇敢な点を認められ、小さな巨人という名誉ある名をあたえられ息子とまで呼ばれる。酋長は「私の心は馬のように空を飛ぶこと」が口癖で、二人の絆は最初から最後まで一貫している。
絆は一貫していても、その後の経緯はインディアンと白人の間を往き来し、その相違を記す余裕がない程めまぐるしい。白人としてのエピソードは、牧師の家へ引き取られ、ペテン師(マーティン・バルサム)と旅したり、ガンマンになって、ワイルド・ビル・ヒコック(ジェフ・コーリー)と知り合うも、スウエーデンの人妻を娶り雑貨商へ。それも失敗し、カスター将軍(リチャード・マリガン)の偵察員になるが、再びシャイアンの村へ戻る。神秘的、原始的生き方の中に、シャイアンの妻を得て、小康を得るが、白人によるワンタ川の虐殺により、妻と産まれたばかりの子供すべてを失う。投身自殺を考え、崖の上に立ったジャックの眼に、カスター将軍率いる第7騎兵隊が映る。
再び偵察員に雇われたジャックはカスター将軍以下がリトル・ビッグホーンで全滅するのを目のあたりにする中、傷ついたジャックはシャイアンに助けられる。その後死期が近ずいた老酋長とジャックは山の頂に登るが、雨にうたれて二人共々山を下りる。
以上が概要だが、本当にジャックは、122歳以上迄生きていたのか。戦闘の中心、ワンタ川の虐殺とリトル・ビッグホーンの戦いは、まぎれもなき史実だが、白人社会、先住民社会の往き来に於けるホラ話的武勇伝が、本当の話か如何かは疑問な点もある。しかし必死に生きて行くサマが、真面目一点張りでなく、行き当りばったりで、コメディ仕立てでの話になっている点、逆に本当らしく見えるから不思議だ。
(ウイキペディア解説)
小さな巨人(ちいさなきょじん、原題: Little Big Man)は、1970年製作のアメリカ映画。同時代の『ソルジャー・ブルー』とともに、西部劇の転換点に位置する作品として映画史に残る作品である[要出典]。 トーマス・バーガー(英語版)原作。121歳の老人のホラ話のような人生の中に、ネイティブアメリカンや当時のベトナム戦争の問題[要出典]をエンターテイメントに包んで表現している。
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