エーガ愛好会 (218)あなたを抱きしめる日まで (HPOB 小田篤子)

2013年(英)、BS 5/9放送作品の録画を観ました。ジュディ·ディンチ主演の実話です。今も6万人以上のアイルランド人母親が養子に出された我が子を探し続けていて、バチカンでも異例の上映会が催されたようです。
アイルランド人女性、フィロミナ(ジュディ·ディンチ)は10代未婚で妊娠、女子修道院に入れられます。強引な方法で命懸けの出産の後は働きづめで、子供とは週に1時間会えるだけ。その後息子は養子に出されてしまいます。
既に主婦となったフィロミナは、娘に紹介された元エリート記者マーティン(スティーブ·クーガン)と50年間思い続けている息子探しを始めます。
修道院は何も語らず、息子達は米国人に1,000ポンドで売られていた事を近くの居酒屋で聞きます。アメリカで彼女の息子は、レーガンやブッシュ大統領の法律顧問となり出世しましたが、ゲイであり、エイズにかかり亡くなったことを知ります。
フィロミナは息子のゲイの友人を訪ね、息子は養父の反対をおしきり、《アメリカではなく、アイルランドの出生地に埋めて欲しい》と望んだことを知り
忘れずにいてくれた事を喜び、涙します。フィロミナと記者は、最初に問い合わせたアイルランドの修道院に戻り、息子の墓にやっと出会います。
修道院はずっと事実を隠していたのです。彼女は怒りからではなく、赦しの気持ちから、人々にも知って欲しいと、記者に記事にすることを許可します。
重い内容ですが、フィロミナの、息子のゲイの友人が戻って来た車を見て《マツダの赤い車!》と言ったりする等、そのちょっと無邪気な性格に救われ、英国で色々受賞もしている見ごたえのある作品でした。