いよいよ政府が新型コロナ感染症を投げ捨てる日がやってきました。
終息宣言(またはそれに近い言葉)で、感染症法上の特2類を5類に下げ、諸種規制を緩和するので、国民の皆さんは気を付けながらも経済活動を再開せよということになります。此処で今までコメントしてきた点をまとめてみましょう。
3年前、クルーズ船内感染から始まり、当時のコロナ情報では
➊PCR検査の不足 :国の機関しか行わないというとんでもない過ちはいくら 何でも改善されましたが、PCRを制限する傾向は未だに続いています
❷全て保健所・帰国者センターを通す :それまでは保健所を縮小しようとしていたので、保健所機能がパンクしました。 後に拡充されましたがとても追いつかないままでした。
➌医療者側を含めた国の拡大委員会を組織すべき :ウィルス学、感染症学、救 急医学、内科小児科医学、公衆衛生学、疫学、ゲノム医学、推計学、遺伝統計学などの専門家の意見が反映されねばなりません。科学者の意見を無視して小中学校一斉休校、アベノマスクが行われました。
❹政府は専門家の意見を十二分に吸い上げる必要がある :今日に至るまでそ の姿勢に変わりがありません。
❺自宅待機 :仮設病院、ホテルなどを含め収容施設を早急に手配すべきでしたが、後に第6波となった時に入院できずに自宅死亡者続出に繋がりました。
これらはいずれも2020年5月までに指摘した問題点です。
PCR検査数は諸外国と2桁違う施行率で、しかも陰性数の登録がないため陽性率が分からず、政府の対策会議副座長が6月の国会で「感染者数は10~20倍かもしれない」と答弁するに至っては、三~四流国との誹りをまぬかれません。
❻医療崩壊に病床確保 :感染者数が増加し波が来るたびに、政府、自治体、マスコミが声を大にしてきた。しかし感染病床を拡げることは容易なことではありません。清潔・不潔のゾーン分けのスペース、医師、看護師を始めとする人手の対策はお金をかけても急速に実現することは出来ず、機械・器具の問題もあります。政治家は票確保のためのような発言が多く、何の根拠もありません。外国では医療者に拍手や音楽のプレゼントがあったのに、日本ではボーナスの減額迄報じられました。
❼Go-To-Travel政策 :科学者たちが反対しても、落ち込んだ経済を活性化させようとして巨額をつぎ込み、大キャンペーンを行い、感染拡大へと繋がってしまいました。 しかもその後、それを政権交代後も再度行ったことは明らかに誤りと言えます。
➑ワクチン購入 :一国の首相がアメリカまで出かけて交渉しなければならない程、製薬会社に見くびられたのは悲しい恥ずかしい出来事でした。
➒ワクチン接種 :接種優先順位の明示、ワクチン接種者リストの管理、接種実務者確保、接種場所設定、接種予定と予約方法、2社のワクチンの扱いの分離、これにいち早く取り掛からねば大混乱になると指摘したのは、21年1月のことです。 しかし無策のまま医療従事者からボチボチと始まり、4月に一般人の高齢者接種予約が始まったものの、実施は自治体に丸投げ。自治体によってはパソコンでの予約という老人相手では最悪の方式でした。国やマスコミの不熱心さを反映したかのように、接種率が上がらず、オリンピックが迫っても接種率が世界で100位以下でした。因果関係は証明できませんが、オリンピックが始まって爆発的蔓延が起こりました。
❿仮設病院 :その頃から仮設病院ないし病院的収容施設の設置が検討されました。私は医療施設の分かりやすい業務分担を提案しました。重症者用の病院から、予防注射だけには協力する個人開業医迄8段階に業務分担し、国民に明示するものです。
21年9月頃から感染者数が減り始めます。菅内閣は全くラッキーでした。デルタ株の変異亜株が自壊作用を起こしたようで、皆さん収束に向かったと感じていたと思います。その頃東京新聞川柳欄に投稿したのが採択されました。
第六波今でしょ対策立てるのは
年が明けるころから第6波が目立ってきましたが、対策に特段の変化はなく、強い第7波へと移行してゆきます。第5波に倍増する感染者でしたが,医療従事者の感染多発や患者の流れが確立していないことなどから医療逼迫が進行し、屋外での検査で熱中症が出て問題視されました。
⓫感染自己届け制度 :感染者の自己申告制度が始まり、軽症ないし無症状者は感染者とされる不利益から届け出ず、実態の把握が難しくなりました。嘗て科学立国などと言われた国が、三流国へと滑り落ちてゆきます。
やがて第8波に移行し、昨年12月にはコロナ感染者数が世界ワーストワン(世界の15%)となってしまいました。ゼロコロナに失敗した中国は全数全く不明で含まれておりません。ゲノムで見ると欧米とは大きく異なります。
今年に入り、致死率は依然として低いものの、累計死亡者は6万人を超えました。しかし、発表感染者数が減少している(前述したように届け出数は益々不確かなものになっている)ことから、アメリカのBA-5系の変異株が流入する危険があるのに、感染症分類の2類から5塁への格下げが本格化してきました。5類に下げるのではなく、新たな2.5類を設けるべきだと考えますが、既に事態は進んでしまっています。