野見山暁治展に行ってきました  (普通部OB 舩津於菟彦)

アーチゾン美術館へマリー・ローランサン展を拝見に参りましたが特別展として「野見山暁治展」も開催されていました。


野見山 暁治(のみやま ぎょうじ、1920年〈大正9年〉12月17日 – 2023年〈令和5年〉6月22日)は、日本の洋画家。位階は従三位。勲等は文化勲章。東京芸術大学名誉教授、文化功労者.

福岡県穂波村(現飯塚市)にて、炭鉱経営者の子として生まれる。東京美術学校(現東京芸術大学)入学当時は故郷の炭鉱を制作の原風景とし、その後12年間のパリ生活を経て、抽象画へと変化。帰国後は東京芸術大学で教え、美術学部助教授、教授などを歴任し、同大名誉教授となる。
2023年6月22日、心不全のため死去。102歳没。日本政府より没日付を以て従三位に叙された。ついこの間まで活動されていましたのに102歳で御逝去。
因みに最初の妻、内藤陽子さんはフランスに呼び寄せてわずか1年でがんを発症。闘病の末に早世した。陽子は内藤武宣(京都放送元常務、竹下登の娘婿)の姉であるため、武宣の子である影木栄貴(漫画家)とDAIGO(歌手)姉弟は野見山からみて義理の姪甥に当たる。

小生は慶応高校の新聞を造つて居たときか大学時代でも写真も撮っていたことから思わぬ事で新進気鋭時代の野見山暁治さんにお会いしています。そんなことで懐かしさも在りややわかりにくい抽象画ではありますが、今回堪能して参りました。

未来を占う空でした     (42 河瀬斌 )

先週訪れた山中湖で美しくも近未来の世界を暗示させるような富士の姿がありました:前夜燃えるような夕やけ、朝焼けに飛ぶ笠雲、二重の笠雲、などです。そのあとに霙まじりの大風が吹きました。
あちこちで民主主義が後退し、戦火と殺戮が拡大している世界に日本が巻き込まれないように祈ります。

 

(飯田)
傘雲が掛かる素晴らしい富士の写真に癒されました。
ダイヤモンド富士の写真は良く見ることがありますが、雲が掛かった富士山の写真は撮る人の気持ちが表れる気がします。

エーガ愛好会 (254) 誇り高き男

最近再放送の懐かしいエーガを改めてみた。先日の映画音楽ランキングでも出てきたこの曲のテーマは、僕らの年代の人なら必ず聞いたことがあるはずだ。当時はまだ、米国のヒット曲の日本語版を歌うシンガーも多かったが、雪村いづみはその代表格で、”シェーン” の Call of the far-way hills  は 遥かなる山の呼び声 というタイルで歌い、日本に紹介された時にはインストルメント曲だけだったこの映画のテーマも歌ったが、違和感のある歌詞だった。例によってグーグルは下記の通り簡潔に紹介している。

1956年だったか、と改めて驚くが編集子は高校2年生。フィルムをいつ、だれと観たのか記憶はない。トップシーンは牛追いの長い旅を終えてカンサス州のある街の外にたむろする,角の長い肉牛群のあいだを主人公のキャス(ロバート・ライアン)がゆっくりと馬を乗り入れてくるところから始まる。Long-horned Cow というのはテキサスで飼育されていたはずで(このことをうたったCW曲があったのだが曲名を知らない)この一団がテキサスから来たことが知れる。ジョン・ウエイン老成期の名作 赤い河 はやはりテキサスからカンサス州までのロングドライブの物語で、西部開拓時代、旺盛な開拓民たちの食欲を支えた肉牛の移動はハイリスクハイリターンのビジネスだったことがわかる。余談だが、やはりウエインの チザム はこの投機的ビジネスで成功したジョン・チザムを扱った話で、この時チザムが開拓したルートはのちのちまでチザムトレイルという名で呼ばれる、これも西部劇の定番的存在になる。

が、ともかく、この一団が街に入り、カウボーイたちによる一時的な景気を当て込んで、町ではカネ目当ての騒動が始まる。これを苦々しく見ている保安官のキャスは、その遠因が最近開業した店の派手なやり口であり、そのオーナー(ロバート・ミドルトン)が彼の過去とつながりのある男だと知る。その過去がどんなものだったか、はまだわからない。

一方、カウボーイの一人サッド(ジェフリー・ハンター、トップシーンで現れる一人だが、最初から因縁の在りそうな登場をする)が、キャスに、お前に丸腰で殺されたアンダースンの息子だ、と名乗って近づく。キャスはそれは全くの誤解だ、自分は丸腰の人間を撃ったことは一回もない、とこたえる。サッドはこの街に滞在すると決めて職を探すが口がなく、いろいろあったすえにキャスはサッドを保安官助手として採用する。サッドは依然、キャスを仇と考えていて、ふたりで射撃練習をしているときに彼を撃とうとするが失敗して逆に説教されてしまう。この間で、前の街でサッドの父親は銃を隠し持っていてキャスを闇討ちにしようとしたのだが、キャスが見破って射殺し、それが丸腰を撃ったと誤解されて前の街を出たこと、その背後に今度店を開業したバレット(ロバード・ミドルトン)と関係があったこと、がわかってくる。

キャスは保安官として店の暴利を食い止めるための手を打っていくが、それが邪魔になるバレットは殺し屋を雇ってキャスを付け狙う。キャスはその過程で受けた傷が元になって、緊張すると目がかすんでくるという保安官としては最悪の病気になる。バレットとのいさかいの間で、キャスを信用するようになったサッドがいくつかの乱闘の後、悪行を認めようとしないバレットが隠し持っていた銃で自分を撃とうとしたところを撃つ。周りの人間が、サッドが丸腰のバレットを撃ったと誤解する中で、サッドは死んだバレットの手に隠されていた拳銃を抜き出して見せ、納得させる。サッドの父親が実はバレットと同じように卑劣なやり方で自分を撃とうとしたのだ、という事実をサッドが納得したことを見届けて、キャスは恋人(実に懐かしや、ヴァージニア・メイヨなのだ)と町を去っていく。

この映画の題名である The Proud Ones を誇り高き男、と訳したのは納得できるが、かのクーパーの名作(同時にグレイス・ケリーの初西部劇でも有名)真昼の決闘 原題 High Noon の現地での宣伝文句はクーパーの役柄を the man too proud to run, すなわち誇りを守るために逃げなかった男、と書いている。サッドの誤解を解くために、無用な弁解ではなく結果的には自分を危険にさらすことで真実を教えたキャスの、それが彼の 誇り であったからだ(英語の題名が  ones  と複数になっているのは、ライアンとハンター双方を指しているからだろう)。ロバート・ライアンの略歴を見てみると、俳優として成功するまでに大変な苦労をしていることがわかる。ほかの役どころも考えてみると単なるヒーロー役ではなく、渋い役が多いことがわかる。人生の年輪、とでもいうのか、好きな俳優のひとりである。それと、ジェフリー・ハンター。捜索者 でもいい雰囲気の俳優だったが、惜しいことに42歳という働き盛りで脳梗塞のため亡くなった。どこかでも書いたが、ロバート・フランシス(ケイン号の反乱)とともに、惜しい男だった。

 

 

長生きの秘訣-先回の話につづけて  (普通部OB 篠原幸人)

長生きに皆さん共通の安易な秘訣などは無いと思います。一人一人が遺伝的素因も生活環境も体質も趣味も持病も、毎日の生活のリズムや睡眠も全く違うのですから。しかし一つ、参考になるのは、今から200年以上前に書かれた杉田玄白の書だと思います。杉田玄白というと「解体新書」が有名ですね。確かにこれも貴重な著書ですが、内容は人体解剖の絵であって、オランダの本の模写ないしは刑場に行ってスケッチすれば、誰にでも?描けるよという意地悪な見方もできます。一方、彼のもう一つの著書、「養生七不可」はIT時代の現代にもピッタリ当てはまる部分が沢山ある素晴らしい教訓かと思います。学生時代、漢文の授業は寝ていた方々にも理解しやすい様にその7つの「してはいけないこと」を、現代風に解説してみたいと思います。中学時代の漢文の授業を想いだすなぁー。もっとも、最近の中高校には漢文の授業などは無くなっているかもしれません。今度、孫たちに訊いてみます。

  • 昨日非不可恨悔

昨日のことを何度も想いだして、恨んだり悔んだりしないこと。次の第2項と同じで「くよくよすんな」という事ですね。これはストレスの多い現代にも当てはまりますね。

  • 明日是不可慮念

今後のことをあれこれと思い悩まない。「ケセラセラ、成るようになるわ」と口ずさめという心境でしょうか。最近老年期や初老期うつ病の患者さんも多く見かけます。またうつ病だと思ったらパーキンソン病の始まりなんてこともあります。更に厄介なのは、うつ病の薬がパーキンソン病様の症状を出すこともあったりして。だから信用のおけない医者からの薬は安易にのむな、薬をやたらに欲しがるなという事も強調したい。

  • 飲与食不可過度

飲みすぎ、食べ過ぎは良くない。当たり前ですが、昨日ワインを一本あけた貴方!

ワインはグラス1-2杯を静かに嗜むのが本当の「通」ですよ。主食の米・パン・麺類・パスタは控えめに。おかずは植物性タンパク(豆・豆腐など)や魚を十分に、動物性タンパクの特に牛肉・豚肉などは週に2-3回以上はお勧めではないやね。ステーキ300gなんてのは週1程度でやめておいてください。まあ、パートナーに早く死んでほしけりゃ別だけどね。もちろん塩分の取りすぎも不可。インスタントラーメンやそばの汁は飲むな。1日の塩分がその一杯だけでもうオーバー。「腹八分目」とはよく言ったよね。

  • 非正物不可苟食

新鮮でないものや、不自然なものは食べないこと。当たり前だけど。

  • 無事時不可服薬

ここでは不必要に薬は飲むなといっているけれど、逆に、症状が軽いうちに早く薬で治す事も重要だから難しい。昔は薬らしい薬がなかったからね。近代風に言うならPolypharmacy、すなわち多剤服用は避けるべき。特に不必要なビタミン剤とか余計なサプリメントは飲むなと解釈すべきかな。ビタミンや身体にすでにあるものを更に服用しても、肝臓で壊されて腎臓から尿になって出るだけ。肝腎に余計な負担をかけるのはやめようよ。

  • 頼壯実不可過房

ひらたく言えば元気だからと言って、余り精液を無駄に費やすなってことかな。まだ元気な方もほどほどに。これによく似た言葉に、江戸時代の健康おたく、貝原益軒の「接して漏らさず」というのもありましたね。但し、これが本当に健康や長寿と直接関係あるか否かを明らかにした論文はまだ読んだことがない。女性にもあてはまるかも不明。読者に婦人科の先生がいたら教えてください。

  • 勤動作不可好安

出来る範囲内で良いから、マメに身体を動かしなさい。まあ私のように毎週テニスだ、ゴルフだなどと動き回りすぎるのも考え物ですがね。散歩もタランタランと歩くだけではなく、薄っすら汗をかくように手をシッカリ振って歩こうよ。歩幅も十分にね。暇だと、一日中テレビの前から動こうとしないのはダメという事。自分も余り他人の事を言える立場ではないけどね。

今日は殆ど漢文の授業でしたね。もっとも気候条件なども寿命には影響します。Blue zoneと呼ばれるイタリアやギリシャの島々―シンガポールー沖縄―アメリカ・カリフォルニア州ーコスタリカにかけては平均すると長寿者が多いとも言われるが、今更引っ越しても間に合わないだろうね。

エーガ愛好会 (253)映画音楽 ランキング    (42 保屋野伸)

”エーガ愛好会” メンバーが一昨年選出した  “好きな映画” ランキングにつづいて、今回は映画音楽の好みを投票してもらい、好きな映画ベストテンを参考キーにしてまとめてみました。

 映画 ベスト15映画音楽 ベスト20 クラシック
点数作品名年度点数作品名年度点数作品名年度
19ローマの休日19538第三の男19494愛情物語1955
27カサブランカ19427慕情19554アマデウス1984
37第三の男19495カサブランカ19423戦場のピアニスト2002
44アラビアのロレンス19625風と共に去りぬ19392地獄の黙示録1979
54風と共に去りぬ19395ドクトルジバゴ196522001年宇宙の旅1968
64駅馬車19395大いなる西部19582ファンタジア1940
74シェーン19534エデンの東1955
83スティング19734アラビアのロレンス1962
93ニュー・シネマ・パラダイス19884ニュー・シネマ・パラダイス1988
102慕情19554シェルブールの雨傘1964
113情婦19574避暑地の出来事1959
123グレンミラー物語19534タイタニック1997
133我が谷は緑なりき19414シェーン1953
143戦場のピアニスト200231954
153日の名残19933死刑台のエレベーター1958
16319543白い恋人たち1968
173ショーシャンクの空へ19943駅馬車1939
182アンタッチャブル19833旅情1955
192ゴッドファーザー19723グレンミラー物語1953
202激突19713禁じられた遊び、1952
212赤い河19483鉄道員1959
222荒野の決闘19463ひまわり1970
232リオブラボー19593いそしぎ1965
242ウエストサイド物語19613荒野の決闘1946
253黄色いリボン1949
263南太平洋1949(魅惑の宵)
273ウエストサイド物語1961(トウナイト)

このリストのうち、”クラシック”と分類したのは、その作品のために特定の音楽を作曲せず、クラシックの名曲の一部を効果的に使った例で、以下の例を挙げておきます。

愛情物語     ショパン~ノクターン第2番

アマデウス    モーツアルトの曲多数(交響曲25番、レクイエム等)

戦場のピアニスト ショパン~ノクターン第20番

地獄の黙示録   ワグナー~ワルキューレの騎行

2001年宇宙の旅  リヒャルト・シュトラウス~ツアラトウストラはかく語りき、美しく青きドナウ等

ファンタジア   バッハ~トッカータとフーガ、チャイコフスキー~くるみ割り人形他

西部劇については映画作品ランキング自体での出現回数がすくないので別枠でまとめてみました。

         西部劇主題歌20選
映画名主題歌
大いなる西部Big Country
シェーン遥かなる山の呼び声
駅馬車原曲 Bury me not on the lone prairie
荒野の決闘愛しのクレメンタイン
黄色いリボンShe wore a yellow ribbon
アラモ遥かなるアラモ
リオブラボーライフルと愛馬
真昼の決闘ハイヌーン
OK牧場の決闘Gunfight at the OK corral
帰らざる河River of no return
縛り首の木Hanging Tree
騎兵隊騎兵隊マーチ
荒野の用心棒さすらいの口笛
誇り高き男The proud ones
ガンファイター黄色いドレスの可愛い娘
カラミティージェーンシークレットラブ
ジャイアンツ
腰抜け2丁拳銃ボタンとリボン
大砂塵ジャニーギター
拳銃稼業テキサスの黄色いバラ
(番外)ローハイド(テレビ)

 

(編集子)そもそも映画音楽とは何か、という定義ははっきりしないが、あるエーガを見終わった後に心に残った音楽、とでもしておこう。一般的に XXXの主題歌、として広まったものもあれば、エーガとは全く独立してヒットパレードの常連になってしまい、原曲のタイトルすら出てこないものも例挙にいとまがない。 そのため、実は調べてみると映画作成者としては主題歌、のつもりで作ったものは全く別だったりする。だからこのランキングはエーガそのものとは無関係に考えた方がいいのかもしれない。

耽美派や一言派が圧倒的多数なわがエーガ愛好会には、今や絶滅危惧種となってしまったセーブゲキを票田とする小泉派という小派閥(メンバーは領袖小泉幾多郎ほかには編集子のみが参加)がある。その領域はどうもネンコージョレツ的に侵しがたいとみた投稿者が別建てにした部分でいえば、”リオブラボー” の主題歌は実はエンディングに近い部分で披露されるディーン・マーチンの By the River Rio Bravo  というものだと思うのだが、作中で彼が歌う My Rifle, my pony and me のほうが知られているし、誇り高き男 のテーマはスリー・サンズの名演奏が際立って、当時のヒットパレード上位陣の常連だった。かたや我がショパンだのシュトラウスだの大先輩に至っては、エーガ音楽の作者、とされると聞いたら、(ゲョエテとは俺のことかとゲ―テ言い)という心境であろう。

しかし、ま、いいではないか。世界一安全で清潔な国にすみ、老境(というのはこの中では小泉派だけの心境かもしれないが)にこんな他愛のない話題を楽しめる、小さなユニバースがあるのだから。歌は世につれ世は歌につれ、であろうか。

エーガ愛好会 (252) 俺は待ってるぜ (HPOB 金藤泰子)

Giさんお薦め(お気に入り?)の映画です。石原裕次郎の歌ったヒットソングにヒントを得た兄、石原慎太郎の書き下ろし。
モノクロの画面、レストランREEFの店の前を、汽笛を鳴らし貨物列車が走り過ぎて行きます。口笛を吹きながら、譲次が国際郵便をポストに投函しに行った夜の帰り道、霧の波島止場に雨に濡れて佇む女性(:北原三枝) を見かけます。島木譲二(: 石原裕次郎)は女性に声をかけます。 「夜の風は冷たいよ、寒いでしょう。 帰る所がないなら、僕の所にいらっしゃい 夜の風は冷たいよ」「心配しないで、身体をあたためるんだ」と、自分の経営するレストランに連れてきます。
「どうぞ、何してる そんなとこに突っ立っていないでこっちにいらっしゃい。
まずこれで身体を暖めるんだ」と、グラスにコニャックを注ぎます。 この先も二人の会話が続きますが、久しく耳にしていない、優しい言葉遣いに品の良さもう感じられます。
女性に、あなたは一体誰なんだ?と聞いても 歌を忘れたカナリアと言うばかり。外で物音がすると何かを怖がっている様子です。 (北原三枝は綺麗だったのですね!)譲次は、「1年前にブラジルに渡った兄から、迎えの手紙がきたら、もうじき僕もブラジルに行くことになっていて日本には何の未練もない、あなたの心の負担にならない人間だから何でも言ってご覧なさい」と言う。
 「俺は待ってるぜ」 1番 2番の歌詞からも、譲次が待っていたのは兄からの手紙だったのですね。女性・早枝子はクラブ地中海の歌手、人を殺してしまったから帰れないと、譲次のレストランで働くことにします。 店を休みにして二人で都電、三輪車が走っている街へ出でて、ボクシングの試合会場へも観に行きますが、 早枝子が殺してしまったかもしれないと思っていたチンピラ男 柴田の弟に映画館?の化粧室で出会ってしまいます。譲次が追い返すのですが、これで
譲次の兄はブラジルへは行っていないことが分かり、譲次は兄にも裏切られたかと一時怒って荒れますが、僕に残された たったひとつの夢だからと必死に消息が絶えた兄の身を案じて手がかりを探し廻ります。
さて、柴田の弟が契約の期限が残っているからと、クラブ地中海の仲間を連れて、早枝子を連れ戻しに来ます。 (悪役、柴田兄弟の兄役が二谷英明だったのには驚きました。 眼孔鋭く、凄みがあり登場してもしばらく二谷英明とは気がつきませんでした。 私がTVで二谷英明を見かけるようになった頃は、穏やかな役柄が多かったように思います。) 物語はアクション劇風に、さらに復讐劇へと進んでいきます。
譲次は元ボクサー 実力では文句のつけようがないチャンピオンでしたが、腕の力が強過ぎて相手を殺してしまい、罪には問われませんでしたがライセンスを取り上げられてしまったようです。  強いので、負ける事はないとは思いましたが、凄まじい乱闘劇でした(・・;)
兄のブラジル行きのお金も取り戻し「俺は待ってるぜ」の歌が流れる夜道を帰る
譲二と小枝子の後ろ姿。誓う二人のその幸せを”俺は待ってるぜ”。

(編集子)この広い日本のどこかに、”俺は待ってるぜ” を見た、という人がいるはずだと俺は待っていた。それが (ま、もと上司への強制的義理だてだとしても、だ)親愛なるヤッコだったとは二重のよろこびなんである。
エーガを純粋に一つのワークとして評価する、という見方があるとすれば、それの対極にあるのは映画が自分の中に引き起こしたプロジェクションというか、そういうもので評価する、ということだろう。この作品と小生との間にあるものがそれだ。ユージローという俳優のことも、この歌のことも、高校3年の時、親友の小川拡が教えてくれたことだった。その時はへー、そうかい、という事で済んだのだが、大学進学直前の冬に起きたあるアクシデントが尾を引いて、もう一つ新しい環境になじめず、その上、ちょっとした手術を受けるために慶応病院に2週間ほど入院していた、自分史のなかではひとつのダークスポットとして残っている一種の失意の時期があった。当時はまだ木造のちゃちな病舎の窓から、同室のおじさんたちの応援で(当然外出禁止の時間だったのだ)抜け出し、渋谷まで歩いて行って、偶然見たのがこの映画だった。島木という主人公がかかえる鬱屈が、やっこが書きだしてくれた出だしのフィルムワークの雰囲気と重なって、大げさに言えば琴線に触れたというか、そういうものなのか、難しい技術論やら芸術性などというものを通り越して、今でも、またまた気障に言えば、”俺とともにある”というのか、そういうエーガなのだ。人生黄昏にたってみると、こういうものの見方もできる、という事なのかもしれないが。

作品について言えば、全体を覆っている薄暗い雰囲気と、やっこが指摘したように二枚目二谷、という常識を覆えす英明の凄味のある悪役ぶりそして最後の乱闘シーンの凄絶さはほかの日本映画ではみたこともなかったものだった。

日活がどういう位置づけをしているのかわからないが、この作品のDVDには実に I’ll be waiting  なるエーゴのタイトルがプリントされている。グーグルに載っている範囲でいうと ”錆びたナイフ” (この主題歌も好きだ)には Rusty Knife と書かれている。それではエーゴの吹き替えか、と言えばそうではない。どうもこのあたり、このエーガが登場したころの、(エーゴで書くとなんだかかっこいい)的な、小生が嫌悪する出羽守的文化の影響だろうか。ほかにもユージローの懐かしいDVD数点、新装なってアマゾンに並んでいる。そんなに高価でもないし、いくつか試されたら如何。”黒部の太陽” だとか ”陽の当たる坂道” とかの佳作名作もいいが、日活男性路線の原点になった、上記した ”錆びたナイフ” とか、北原三枝との初共演だったやはり慎太郎原作の ”狂った果実” の2曲は主題歌も心に残る作品である。
更に追記。この作品のDVD,ご希望ならばお貸しするのご一報ありたし。

同窓会はしごの一日 (継前稿)

(バー アンノウン オーナー 川島恭子)

昨日は以前 聖蹟桜ヶ丘にお住まいだったお客様が、社会人同期の方々や後輩と来店くださいました。
マティーニ2杯から始まり ウイスキーダブル ジンフィズ ジントニックなど 品良くたくさん召し上がり、遠くまでお帰りのお足元もしっかり楽しそうでした♪
ダンディーな皆様から「ありがとう🍸 」のお言葉をいただき これからも諦めずに聖蹟桜ヶ丘のBAR明かりを灯す為に頑張ろうと思った素敵な一夜でした。

今週末もBARの空間を素敵な時間にしたいです

2月8日、編集子はKWV同期会を銀座で終えて、その足で多摩市まで戻り、多摩市在住のころからの付き合い、バー ”アンノウン”へ、今度はhp時代、”汎用” コンピュータで苦労した仲間たちとの飲み会に参加。いわばこの日は同窓会のはしご、だった。
たまたま、この事業でマーケティングの責任者だった坂東正康が故郷徳島から上京する、という事を聞きつけて、セールスの中心者の一人、楠路夫がよびかけ、とりあえず連絡がつく仲間での急造の会合だった。もうひとり、カスタマサービスで苦労した小野寺務も京都から来る手はずになっていたが、急用ができて残念ながら不参加。結果として集まったのはほかに(日本語のしゃべれないコンピュータならアメちゃんに売ればいいじゃん)と ”外資系会社殺し” と異名をとった麻生洋、本稿でもご存じ、PCを先取りしていた(と自称する)坂東配下の菅井康二、SEの大元締めで頼りにされた沖本重之、それと坂東のセクレタリで彼の獅子奮迅の日々をささえた染谷(木村)幸恵、の7人。4時間前の会合で山歩きの想い出や失敗談が中心だったが、ここでは当時絶好調だったhpでただひとつ、”お荷物”と揶揄されたビジネスでの苦労話が懐かしく話題になった。

しかし沖本が喝破したように、この時にhpが提唱した、当時の用語でいえばDDP(Distributed Data Processing) と ユーザフレンドリネス、という流れは今まさに時代の主流である。(ま、俺達がすすみすぎてたわけよ)ということで納得し、恭子ママ自慢のマティニーの杯を重ねた2時間だった。彼女が言ってくれたように “品よく” だったかどうかはわからないが、”たくさん” は事実だった。上京多忙の坂東が(現役時代の彼の飲みっぷりからすれば)早めにリタイアしたため、二次会はなく、”品よく” 解散。

PS: hpの先進性、ということで、(これも引かれ者の小唄、かも知れないが)一言付け加えれば、同じ時期、現在の ウインドウズ に匹敵する NEW WAVEという製品も完成に近づいていた。もし、もし、HPにもう一段のチャンスがあったら、今頃の世界はNW vsApple,  になっていたかもしれないのだ。ま、歴史にIF がない事は承知してのくりごとだが。

KWV36年卒(ナンカナイ会)新年会開催

月遅れであったが合計21名参加、銀座木村屋で愉快な2時間をすごした。名幹事翠川の急逝とコロナ騒動に取り紛れて、ミドリが敷いた 新年会―夏の集まり という長年続いた会のルーチンが壊れてしまったが、これをきっかけに最終ラウンドへむけてのきっかけにできればいいのだが。ちょうちん持ちをするつもりはないが今回の会場は交通の便が良く、場所もこれくらいの集会にはジャストサイズ、と全員から好評だった。

写真後列左から堀野、深谷、阪田、浅海、鮫島、中司、妹尾、吉牟田、大塚、遠藤、高島、田中、前田。前列鮫島、岡、中司、飯田、鶴岡、栗田、高橋、安東夫人、安東。