エーガ愛好会 (253)映画音楽 ランキング    (42 保屋野伸)

”エーガ愛好会” メンバーが一昨年選出した  “好きな映画” ランキングにつづいて、今回は映画音楽の好みを投票してもらい、好きな映画ベストテンを参考キーにしてまとめてみました。

 映画 ベスト15映画音楽 ベスト20 クラシック
点数作品名年度点数作品名年度点数作品名年度
19ローマの休日19538第三の男19494愛情物語1955
27カサブランカ19427慕情19554アマデウス1984
37第三の男19495カサブランカ19423戦場のピアニスト2002
44アラビアのロレンス19625風と共に去りぬ19392地獄の黙示録1979
54風と共に去りぬ19395ドクトルジバゴ196522001年宇宙の旅1968
64駅馬車19395大いなる西部19582ファンタジア1940
74シェーン19534エデンの東1955
83スティング19734アラビアのロレンス1962
93ニュー・シネマ・パラダイス19884ニュー・シネマ・パラダイス1988
102慕情19554シェルブールの雨傘1964
113情婦19574避暑地の出来事1959
123グレンミラー物語19534タイタニック1997
133我が谷は緑なりき19414シェーン1953
143戦場のピアニスト200231954
153日の名残19933死刑台のエレベーター1958
16319543白い恋人たち1968
173ショーシャンクの空へ19943駅馬車1939
182アンタッチャブル19833旅情1955
192ゴッドファーザー19723グレンミラー物語1953
202激突19713禁じられた遊び、1952
212赤い河19483鉄道員1959
222荒野の決闘19463ひまわり1970
232リオブラボー19593いそしぎ1965
242ウエストサイド物語19613荒野の決闘1946
253黄色いリボン1949
263南太平洋1949(魅惑の宵)
273ウエストサイド物語1961(トウナイト)

このリストのうち、”クラシック”と分類したのは、その作品のために特定の音楽を作曲せず、クラシックの名曲の一部を効果的に使った例で、以下の例を挙げておきます。

愛情物語     ショパン~ノクターン第2番

アマデウス    モーツアルトの曲多数(交響曲25番、レクイエム等)

戦場のピアニスト ショパン~ノクターン第20番

地獄の黙示録   ワグナー~ワルキューレの騎行

2001年宇宙の旅  リヒャルト・シュトラウス~ツアラトウストラはかく語りき、美しく青きドナウ等

ファンタジア   バッハ~トッカータとフーガ、チャイコフスキー~くるみ割り人形他

西部劇については映画作品ランキング自体での出現回数がすくないので別枠でまとめてみました。

         西部劇主題歌20選
映画名主題歌
大いなる西部Big Country
シェーン遥かなる山の呼び声
駅馬車原曲 Bury me not on the lone prairie
荒野の決闘愛しのクレメンタイン
黄色いリボンShe wore a yellow ribbon
アラモ遥かなるアラモ
リオブラボーライフルと愛馬
真昼の決闘ハイヌーン
OK牧場の決闘Gunfight at the OK corral
帰らざる河River of no return
縛り首の木Hanging Tree
騎兵隊騎兵隊マーチ
荒野の用心棒さすらいの口笛
誇り高き男The proud ones
ガンファイター黄色いドレスの可愛い娘
カラミティージェーンシークレットラブ
ジャイアンツ
腰抜け2丁拳銃ボタンとリボン
大砂塵ジャニーギター
拳銃稼業テキサスの黄色いバラ
(番外)ローハイド(テレビ)

 

(編集子)そもそも映画音楽とは何か、という定義ははっきりしないが、あるエーガを見終わった後に心に残った音楽、とでもしておこう。一般的に XXXの主題歌、として広まったものもあれば、エーガとは全く独立してヒットパレードの常連になってしまい、原曲のタイトルすら出てこないものも例挙にいとまがない。 そのため、実は調べてみると映画作成者としては主題歌、のつもりで作ったものは全く別だったりする。だからこのランキングはエーガそのものとは無関係に考えた方がいいのかもしれない。

耽美派や一言派が圧倒的多数なわがエーガ愛好会には、今や絶滅危惧種となってしまったセーブゲキを票田とする小泉派という小派閥(メンバーは領袖小泉幾多郎ほかには編集子のみが参加)がある。その領域はどうもネンコージョレツ的に侵しがたいとみた投稿者が別建てにした部分でいえば、”リオブラボー” の主題歌は実はエンディングに近い部分で披露されるディーン・マーチンの By the River Rio Bravo  というものだと思うのだが、作中で彼が歌う My Rifle, my pony and me のほうが知られているし、誇り高き男 のテーマはスリー・サンズの名演奏が際立って、当時のヒットパレード上位陣の常連だった。かたや我がショパンだのシュトラウスだの大先輩に至っては、エーガ音楽の作者、とされると聞いたら、(ゲョエテとは俺のことかとゲ―テ言い)という心境であろう。

しかし、ま、いいではないか。世界一安全で清潔な国にすみ、老境(というのはこの中では小泉派だけの心境かもしれないが)にこんな他愛のない話題を楽しめる、小さなユニバースがあるのだから。歌は世につれ世は歌につれ、であろうか。