”エーガ愛好会” メンバーが一昨年選出した “好きな映画” ランキングにつづいて、今回は映画音楽の好みを投票してもらい、好きな映画ベストテンを参考キーにしてまとめてみました。
映画 ベスト15 | 映画音楽 ベスト20 | クラシック | |||||||
点数 | 作品名 | 年度 | 点数 | 作品名 | 年度 | 点数 | 作品名 | 年度 | |
1 | 9 | ローマの休日 | 1953 | 8 | 第三の男 | 1949 | 4 | 愛情物語 | 1955 |
2 | 7 | カサブランカ | 1942 | 7 | 慕情 | 1955 | 4 | アマデウス | 1984 |
3 | 7 | 第三の男 | 1949 | 5 | カサブランカ | 1942 | 3 | 戦場のピアニスト | 2002 |
4 | 4 | アラビアのロレンス | 1962 | 5 | 風と共に去りぬ | 1939 | 2 | 地獄の黙示録 | 1979 |
5 | 4 | 風と共に去りぬ | 1939 | 5 | ドクトルジバゴ | 1965 | 2 | 2001年宇宙の旅 | 1968 |
6 | 4 | 駅馬車 | 1939 | 5 | 大いなる西部 | 1958 | 2 | ファンタジア | 1940 |
7 | 4 | シェーン | 1953 | 4 | エデンの東 | 1955 | |||
8 | 3 | スティング | 1973 | 4 | アラビアのロレンス | 1962 | |||
9 | 3 | ニュー・シネマ・パラダイス | 1988 | 4 | ニュー・シネマ・パラダイス | 1988 | |||
10 | 2 | 慕情 | 1955 | 4 | シェルブールの雨傘 | 1964 | |||
11 | 3 | 情婦 | 1957 | 4 | 避暑地の出来事 | 1959 | |||
12 | 3 | グレンミラー物語 | 1953 | 4 | タイタニック | 1997 | |||
13 | 3 | 我が谷は緑なりき | 1941 | 4 | シェーン | 1953 | |||
14 | 3 | 戦場のピアニスト | 2002 | 3 | 道 | 1954 | |||
15 | 3 | 日の名残 | 1993 | 3 | 死刑台のエレベーター | 1958 | |||
16 | 3 | 道 | 1954 | 3 | 白い恋人たち | 1968 | |||
17 | 3 | ショーシャンクの空へ | 1994 | 3 | 駅馬車 | 1939 | |||
18 | 2 | アンタッチャブル | 1983 | 3 | 旅情 | 1955 | |||
19 | 2 | ゴッドファーザー | 1972 | 3 | グレンミラー物語 | 1953 | |||
20 | 2 | 激突 | 1971 | 3 | 禁じられた遊び、 | 1952 | |||
21 | 2 | 赤い河 | 1948 | 3 | 鉄道員 | 1959 | |||
22 | 2 | 荒野の決闘 | 1946 | 3 | ひまわり | 1970 | |||
23 | 2 | リオブラボー | 1959 | 3 | いそしぎ | 1965 | |||
24 | 2 | ウエストサイド物語 | 1961 | 3 | 荒野の決闘 | 1946 | |||
25 | 3 | 黄色いリボン | 1949 | ||||||
26 | 3 | 南太平洋 | 1949 | (魅惑の宵) | |||||
27 | 3 | ウエストサイド物語 | 1961 | (トウナイト) |
このリストのうち、”クラシック”と分類したのは、その作品のために特定の音楽を作曲せず、クラシックの名曲の一部を効果的に使った例で、以下の例を挙げておきます。
愛情物語 ショパン~ノクターン第2番
アマデウス モーツアルトの曲多数(交響曲25番、レクイエム等)
戦場のピアニスト ショパン~ノクターン第20番
地獄の黙示録 ワグナー~ワルキューレの騎行
2001年宇宙の旅 リヒャルト・シュトラウス~ツアラトウストラはかく語りき、美しく青きドナウ等
ファンタジア バッハ~トッカータとフーガ、チャイコフスキー~くるみ割り人形他
西部劇については映画作品ランキング自体での出現回数がすくないので別枠でまとめてみました。
西部劇主題歌20選 | |
映画名 | 主題歌 |
大いなる西部 | Big Country |
シェーン | 遥かなる山の呼び声 |
駅馬車 | 原曲 Bury me not on the lone prairie |
荒野の決闘 | 愛しのクレメンタイン |
黄色いリボン | She wore a yellow ribbon |
アラモ | 遥かなるアラモ |
リオブラボー | ライフルと愛馬 |
真昼の決闘 | ハイヌーン |
OK牧場の決闘 | Gunfight at the OK corral |
帰らざる河 | River of no return |
縛り首の木 | Hanging Tree |
騎兵隊 | 騎兵隊マーチ |
荒野の用心棒 | さすらいの口笛 |
誇り高き男 | The proud ones |
ガンファイター | 黄色いドレスの可愛い娘 |
カラミティージェーン | シークレットラブ |
ジャイアンツ | |
腰抜け2丁拳銃 | ボタンとリボン |
大砂塵 | ジャニーギター |
拳銃稼業 | テキサスの黄色いバラ |
(番外) | ローハイド(テレビ) |
(編集子)そもそも映画音楽とは何か、という定義ははっきりしないが、あるエーガを見終わった後に心に残った音楽、とでもしておこう。一般的に XXXの主題歌、として広まったものもあれば、エーガとは全く独立してヒットパレードの常連になってしまい、原曲のタイトルすら出てこないものも例挙にいとまがない。 そのため、実は調べてみると映画作成者としては主題歌、のつもりで作ったものは全く別だったりする。だからこのランキングはエーガそのものとは無関係に考えた方がいいのかもしれない。
耽美派や一言派が圧倒的多数なわがエーガ愛好会には、今や絶滅危惧種となってしまったセーブゲキを票田とする小泉派という小派閥(メンバーは領袖小泉幾多郎ほかには編集子のみが参加)がある。その領域はどうもネンコージョレツ的に侵しがたいとみた投稿者が別建てにした部分でいえば、”リオブラボー” の主題歌は実はエンディングに近い部分で披露されるディーン・マーチンの By the River Rio Bravo というものだと思うのだが、作中で彼が歌う My Rifle, my pony and me のほうが知られているし、誇り高き男 のテーマはスリー・サンズの名演奏が際立って、当時のヒットパレード上位陣の常連だった。かたや我がショパンだのシュトラウスだの大先輩に至っては、エーガ音楽の作者、とされると聞いたら、(ゲョエテとは俺のことかとゲ―テ言い)という心境であろう。
しかし、ま、いいではないか。世界一安全で清潔な国にすみ、老境(というのはこの中では小泉派だけの心境かもしれないが)にこんな他愛のない話題を楽しめる、小さなユニバースがあるのだから。歌は世につれ世は歌につれ、であろうか。