いつだったか記憶はないが、カリフォルニアに出張中、たまたまホテルでテレビをつけたら、当時の大統領夫人、つまりファーストレディであった バーバラ・ブッシュ が名前は憶えていないが東部の女子大学の卒業式でスピーチをしているのを中継していた。すべてを覚えているわけはないが、その終わりに近い部分で、彼女はアメリカの国の行方はどうやって決まるのか,それは NOT IN THE WHITE HOUSE, BUT IN YOUR HOUSE, と結んだ。アメリカの女子学生も当然、家庭に入ることを前提にしているし、日本と同じ、家庭と外部世界との断絶などに不安を抱く人が数多くいたはずだ。そういう不安に対して、バーバラのこの一句はまさに感動的であった。テレビは出席者全員の熱狂ぶりを細かに伝えたが、なかには涙を流す卒業生も数多くあった。そうか、アメリカの女性も涙を流すのか、と妙な感想も持ったものだった。
チンタさんからは「イーディ、83歳はじめての山登り」。「リアル83歳で、長年夫に仕えたイーデイが一人になって昔からの夢の山に登るという話で、私とは真逆、の人生ですが考えさせられた・・・。」との推奨。言われるように83歳で初めての山登りと学生時代から山に登り続けている我々とは真逆の人生と言えるが、この歳になってみると山登りに初めても最後もなく、登る意欲があるか否かになってきたことが痛感させられたのだった。この映画のこと、言われるまで知らなかったが、横浜・東京で、上映館は銀座のチネチッタのみ。原名「Edie Never too late」。画面では、83歳で夫の介護から解放されたある日、馴染みの食堂で、「追加注文には遅い?」と聞いた時の店員のの応えが 「Never too late」。その言葉を聞いたイーディの何とも言えぬ表情!父が生前スコットランドのスイルベン山に登ろうと言われた夢を実現しようとの決意をした瞬間となったのだ。同年輩となり、昨年は同じ歳の会社の同僚の死、12月には山仲間の同僚、足立、丸橋両君を失い、今年に入っても、同年のいとこが亡くなり、ヤクルトファンから親近感を持っていたひまわりに対して月見草にたとえたぼやき節の野村克也氏も亡くなったが同じ歳。こういう時期を迎えても、Never too lateは本当かしら?と疑問符が付くのだが、まあ本当のことだと信じて、巷はコロナウイルス騒ぎの中に、この映画を観たことが、生きる糧になることを!