新型コロナウイルス感染症     (34  船曳孝彦)

5月に入った。未曽有のパンデミックが社会問題となってから少なくとも3か月が経つ。日本は感染・蔓延を収束の方向に向かっているだろうか。

昨日までのデータで、世界で感染者325万人、死者23万人(死亡率7.1%)アメリカ、スペイン、イタリー、イギリス、フランスに多い。一方日本では、感染者1万4千人、死亡者415人(死亡率2.9%)。最も多い東京では、感染者4,152人、死亡者120人(死亡率2.9%)となっている。

とにかく日本では少ない。死亡率も低い。新感染者数は頭打ちになりつつあるといってよいと思う。しかし今日の専門家会議でも、安倍首相も緊急事態宣言は今月いっぱい継続という結論を出したようだ。感染拡大が抑制されているか、医療体制が十分対応できているかの2点を判断基準としているようで、感染者数がイマイチと見たようだが、医療体制についての見通しまたは方針についての言及は乏しかった。緊急に財政支援するというお題目はあっても、具体性はなく、おそらく一律10万円と、休業補償に消えて、医療充実にはお涙金となるのではないかと心配している。

日本は感染者数も少なく、死亡率も低いことを喜んでよいのだろうか。海外諸国に比べてPCR検査施行率が低く、これでは比較にならない。海外からは疑問、批判の声が上がっているのは何とも口惜しく残念で仕方がない。

新型コロナ感染症に対して、政府の立てた方針は①法に基づいて対応②疫学的根拠で判断、の二本柱だったようだ。当初水際作戦として、感染者を中心にその人からっ感染がどのように広がってゆくか(再生産数)を追跡し、感染者一人から何人に移しているか、それが2人に移せば倍々ゲームに、1人を割れば収束する。即ち大勢に移す(クラスター)ことを避けて感染爆発を防ごう、という方針であった。無症状病原体保有者(ウィルスは菌ではないので誤用ではあるがここでは以後無症状保菌者と呼ぶ)が世にあふれている。「他人を見れば保菌者と思え』という状態である。それだからこそクラスター感染を避けるための3密回避は意味がある。

しかしPCR検査数という分母がこんなに小さくて緊急事態宣言解除の目安を立てて良いのか。最近の新陽性者が減っていることだけで、もう一歩といっていいのだろうか。私の予想ではある程度下がっても、だらだらと長引くと思う。

最近の東京都のデータでは、PCR陽性者の60%が症状のあるいわゆる患者で、8%が無症状保菌者で、自宅待機かホテル待機とされている。ホテル待機無症状者が2週間たったのでPCR検査なしに自宅へ返された例があったという。独り者の自宅待機者は食事のため食堂へ行くかスーパー又はコンビニに出歩いている。なおこの統計では陽性であった者のそれ以外32%については、症状の有無を調査中(数日たっても)という、情けないデータである。

そもそもすべての診断を帰国者センター、保健所という関門で管理しようとしたことに無理があった。少数例、あるいは当初はこれでよかったかもしれないが、このように多数の保菌者があふれてくれば、変えてゆかねばならない(もっと早期に)。昨日今日の段階でやっと民間の検査を充実させようというような談話が出されていることに憤りを感ずる。したがって公式のデータには民間のデータ(しかもこの多くが医療施設の実費持ち出しで行われている)は反映されていない 民間といっても大学病院なり、地区医師会のもので精度に問題があるとは思えないのだが、一度決めた方針を死守するお役所仕事とはこのようなものだ。

慶応病院で、非コロナ関係入院患者にPCR検査をしたところ6%が陽性だった。別の報告では、一般人に抗体検査をしたところやはり6%が陽性だった。この二つの報告は、非常に重大な警告と受け止めている。勿論学術的にはもっと多数例で対象を絞ったデータが必要だが、保菌者が多数街を闊歩していることは間違いない。東京1000万の人口から見ると60万もしくはもっと多数の保菌者ということだって考えられる。

指定感染症として『指定検査所で検査』と法的に定められたとはいえ、柔軟に応用せねばこのパンデミックに対処できない。

PCR検査も、唾液での検査や、経口法、迅速キットなどの新しい試みが出てきている。抗体もより精度の高いmonoclonalな新検査法も開発されてきているようだ。こういう新しい対処法を直ちに取り入れる(試みでよい)べきであり、治療薬についても、抗ウィルス薬、抗寄生虫薬などが奏功した報告が出ているので、任意に使うということは出来ないが、特例の治験として始めねばなるまい。

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ドテさんと言えども、皆さん同様自粛生活にウンザリしています。晴読雨読を続けており、

今年14冊読みました。トレーニングは庭でゴルフクラブを振ったり、階段昇降500~600段を

続けております。4月だけで28日、合計14,550段上ったので、ゆうに3,000mは登った計算になります。昨日は人通りのまだ多い目白通りを横切っておとめ山公園まで歩いてきました。

すれ違った人を除き2m以内に近づいた人はいません。でも、これで疲れてしまうのでやはり体力は落ちているのでしょう。残念。実はもう大分前になりますが、後ろめたさを感じつつ中津川CCに行ってきました。堀川兄同様レストランではソーシャルディスタンスを十分とった席で、風呂も閉鎖、行き帰りは自車、全く安全です。

  (編集子注)先生、このやり方なら三国山荘あたりまで行ってもOKでしょ  うか?