舞台はほぼ全編にわたって部屋の室内。場所はニューヨークのグリニッジ・ビレッジとある。マンハッタン島の南西部、lower Manhattan と呼ばれる地域にある集合アパート。舞台がほぼ室内の設定は、後年1967年、ヴィクター・ヤング監督、オードリー・ヘプバーン主演の映画「暗くなるまで待って」(Wait Until Dark)が酷似している。ヒッチコック作品では「ロープ」がそうであった。「裏窓」撮影は全てステュアートの部屋から撮ったという。登場人物は全員アパートの住人で、彼らの生活が一連の流れになったおり、それを可能にするため、「全編スタジオセット撮影」という方法で行われ、窓の外の隣近所のアパート部屋との距離、見える角度、アパート隣人たちの多種多様さ、車道を通過する自動車の種類、台数、タイミングなど、全てが完璧に計算されていたという。ヒッチコック作品の中でも特に作り込みの細かい作品と評価が高い。
原作は、米国の探偵小説作家、コーネル・ウールリッチの短編「It had to be murder」だが、映画の題名「Rear Window」の方が遥かに事を言い当てている。ウールリッチ(または、ウィリアム・アイリッシュ)には、「黒衣の花嫁」(1940年)、「幻の女」(1942年)など、小生が夢中になって読んだ長編が多々あるが、今は、もう忘れられた存在のようだ。
サラリーマン生活引退後、外資系企業勤務の間に多少は使えるようになった英語をなんとか無駄にしたくないと思い、会話學校へ通ったりいろいろやっているのだが、たまたま、偶然の機会から読んでみたジャック・ヒギンズの The Eagle has landed (鷲は舞い降りた) の印象と読後の一種の充実感とから、ビジネス文
この道に誘い込んだヒギンズ。30冊くらい読んだ中でおすすめは East of desolation (廃墟の東)である
ところで今週読んでいるのは現在売り出し中のジェラルド・バトラーが主演した映画、ハンター・キラーと同じ著者の書いた潜水艦物語で Arabian Storm という本だが、当然とはいえ発音に苦労するアラビア人とか、著者の趣味なんだかどうだか知らないが潜水艦の乗り組みにやたらとヒスパニック系が多い本で、またまた名前に苦労しそうだ。次はあまり名前に苦労しなそうな本がいいのだが、さすがのアマゾンもそこまでのインテリジェンスは持ち合わせていないようだ。
映画「陽のあたる場所」はセオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」(An American Tragedy) を原作としており、陽のあたる場所は成功した上流階級の人々の生活する場所を意味し、その場所を象徴する存在が、その家族の娘エリザベス・テイラー演じる美しいアンジェラ。共演のモンゴメリー・クリフト演じるジョージは、貧しい家庭に育ち教育もまともに受けていない陽のあたる場所とは対極の謂わば日陰の場所を象徴する存在。陽と陰の好対照とその絡みを描いた映画でもある。アメリカン・ドリームを達成するかに見えた展開が「アメリカの悲劇」の結末で終わる。