「サンダーボルト」(Thunderbolt & Lightfoot。1974年)を見る。確かこれで二回目の筈。
監督と脚本は「ディア・ハンター」(Deer Hunter。1978年)のマイケル・チミーノで、彼の処女作。主な出演者は、クリント・イーストウッド(以下、東森と省略)、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディーなど。女優は、銀行強盗する際のブリッジスの女装以外は見るべきものなしの女っけなし。
銀行の金庫を20ミリ機関砲で破壊すると言う独特の手口で名を馳せたサンダーボルトこと東森が主人公。ご多分に漏れず仲間割れし、ケネディー以下から、東森が体よく逃げ出したところで、運よくブリッジス(Lightfoot)に助けられる。一方のブリッジスは、根無し草な生活を送るコソ泥。格好よく言えば、つまり、犯罪に熟練した朝鮮戦争世代の中年男と、当時ようやく終結したベトナム戦争世代の若者との奇妙な友情を軸に、米国中西部(主にモンタナ州)を舞台としたロード・ムーヴィーの形式で当時の米国社会を描いている。
なかでも、コソ泥を演じるブリッジスが良い。特に、湖畔で東森から彼の犯罪歴を聴くくだりは誠に秀逸。この時、ブリッジスはまだ24歳(1949年生)。しかし、その後のブリッジスは殆ど見ていない。
最後は、金を手に入れるのだが、その車中で、ケネディーに殴られた後遺症でブリッジスは死んでしまう。この辺が、チミーノの独特のところだろう。ハッピー・エンドの万々歳ではなく、寂寥感を残して終わるところが。東森は犯罪者なのだが、格好良すぎて様にならなかったが、ブリッジスは東森を圧倒した。
(編集子) 正統派西部劇の代表作、”真昼の決闘”は大御所クーパーが汚れ役とは言わないが彼の代名詞だった勇敢な正義の男、というイメージとはかけ離れた役で、リアルな描写が心に残る作品だったが、あとふたりの脇役の印象も深かった。一人はケティ・フラド、もうひとりがロイド・ブリッジス。ジェフ・ブリッジスも昨今評判が高いようだが親父の印象のほうが強いのはひいき目のせいだろうか。だがスガチューの感想には同感。