七人の侍」のリメイク「荒野の七人」は今や西部劇の古典となり,その続編も4本制作された。この「マグニフィセント・セブン」は、どういう訳か観たことがなかった。これは続編でなく「荒野の七人」のリメイク版だった。主演は黒人のデンゼル・ワシントンということからも、最近の映画らしいのだが、他の6人は殆んどの俳優を知らない。正編の方は何回も観てきているから、ユル・ブリンナー以下その個性的な役柄が夫々発揮され、お馴染みとなったが、初見の時は、殆んどが知らない俳優だった筈だから、致し方あるまい。
冒頭、大資本家というバーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)が、暴力を背景に町民に立ち退きを迫り、動揺する町民たちの中、反論したエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)の夫が撃ち殺されてしまい、また町のシンボルである教会までも、見せしめのため焼いてしまう暴挙には最初から驚く。 エマは煮え切らない町の男たち差し置いて、町の用心棒を探しているとき、偶々その町で、サム・チザム(デンゼル・ワシントン)というカンザス州ウイチタの委任執行官で7つの州の治安官が銃でもって解決する姿に惚れこみ、住居地ローズバーグの用心棒になることを懇願する。ストーリーの骨格は、正編へのリスペクトが感じられるリメイクで、同様に6人の用心棒たちを順に誘っていく。訳ありのアウトローたちは次の通り。先ずは流れ者のギャンブラー、ジョシュ・ファラディ(クリス・ブラッド)、スナイパーのグッドナイト・ロビショー(イーサン・フォーク)、怪力の山男ジャック・ホーン(ヴィンセント・ドノフォリ)、ナイフの名手東洋系のビリー・ロックス(イ・ビョンホン)、メキシコ人で二挺拳銃の使い手バスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、ネイティヴアメリカンの弓矢とトマホークの名手レッド・ハーベスト(マーティン・センズメアー)。人種的には、主役に黒人、、白人二人だけであとは諸々。唯一の女性エマ役が用心棒集めや戦闘への参加等活躍するが、胸の露出が目立つ衣裳だが、恋愛関係なしの儘。最後悪役リーダーバンソロミューに、とどめを刺すだけでなく、七人と一緒の活躍を見せても良かったかも。
山場は二つ。ローズクリークでの、バーソロミューの部下達を殲滅させる戦いと最後の激戦。ただピストルの音がパンパンと空砲のような音が気に入らない。何か規制でもあるのだろうか?最後は敵対する相手が軍隊規模の数百名?多彩な武器での派手な動き、今の核兵器ガトリング銃の恐怖、それをダイナマイトで爆破する等、正編を大幅にスケールアップしている。最後の最後に「荒野の七人」のメインテーマが流れ、死んだ4人の墓標と共に、崇高な男たちを讃えるエマのモノローグが入り、生き残った3人(黒人、メキシコ人、ネイティブ)が再び荒野へ去る。
(編集子)リメイクというのは賛否それぞれあるだろうが、シエーン のリメイクである ペイルライダー は別として小生が気に入ったものはあまりない。デンゼル・ワシントンは人種差別と闘う戦士としてよく登場するが、そういう意味ではハリウッドの優等生なのだろうか。ジーン・ハックマンと共演した クリムゾン・タイド でやはりそういう重圧に耐える役の抑えた演技の印象が残る。 この作品の現場がローズバーグという架空の街になっているが、これはかの 駅馬車 でも使われた地名だ。HB作品ではロス・マクドナルドとスー・グラフトンがカリフォルニアのある街、として、たぶん偶然なのだろうが サンタテレサ という街を創造した。マクドナルドのほうはわからないが、グラフトンの創造したサンタテレサは、たぶんサンタバーバラらしい、という事が熱心なファンの間の定説らしいのだが。こういうトリビアが結構面白い。
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