”月いち高尾” に参加してくれた川名君との立ち話のことがきっかけで始めてみた ”エーガ愛好会“ なるメールグループのやり取りをブログにアップしてみた第一号が2020年5月15日の ”赤い河をめぐって“ である。その後参加者の応援を得て今回の記事が第百回目にあたる(この会の名称は金藤君が小泉さんにあてたメールで使ったのだ、と小泉さんは書いておられる)。本格的(?)な解説記事を投稿してくれた第一号は安田耕太郎君の ”めまいを見ました”、12月10日には保屋野君が ”エーガ愛好会が半年たちました“ と喜んでくれた。
”映画“ ではなく ”エーガ“ だとこだわった甲斐があったのか、そもそも参加者がすべて世にいう ”オールドファン“ なのか、”新作“ についての投稿はあまりない。このあたりはこれから変わっていくかもしれないが、その ”オールドムービー“ の極めつけともいえるかの ”哀愁“ と ”白い恐怖“ という2代名作を見るタイミングが99回目、金藤さんのご尽力で、いわばグループ公認メディアになったNHK BS劇場に登場したというのも面白い偶然だろうか。
企画した ”編集子“ にとってなお嬉しいのは、このグループの(言ってみれば世にいう ”バーチャル“ だが)交友というかチャットというか、その領域が映画を離れて、美術とか音楽とか旅行とか、より広い話題に拡大してきたことだ。コロナ鬱の社会情勢のもとで絶えがちな友人との連帯感を強めてくれた、いわばSNS社会にあって初めて経験する、一種の至福感、といえば言い過ぎだろうか。ただ、感覚的に言うと、小生がもらっているメンバー間のメールはこのいわば “非映画” 話題のほうが今や70%くらいなような気がする。”仲間うちの情報誌” たらんとしておっかなびっくり始めて見たものとして、本当にうれしく、また感謝に耐えない。紙上を借りて御礼申し上げるし、今後ともこの交流が発展していくことを期待してやまない。
ただ、まことに申し訳ないというか情けないが、小生, 造形芸術について全く興味がなく、かけらほどの知識も持ち合わせていないので、折角の交流ぶりをまとめる能力がゼロである。このような(つまりエーガ、にとどまらない)交流であれば、もっと広い範囲で語り合える友人がまわりにいるのではないか。 現在、”エーガ愛好会”のMLは12人にとどまっているが、だれかデスクを買って出て(ブログにアップするのは小生が担当)折角の知見をまとめ、また何らかの方法でより広い友人関係を育ててくれる人が現れるのを待っている。
さて、100回目を記念して、安田・保屋野両兄のご提案で、いわば年末記念事業?として、メンバーにいくつかの設問を試みた。その結果は下記の通りである。”オールドファン“ の好みがより鮮明になるような気がする。
オクガタまたはダンナと初めて一緒に観た映画は覚えていますか?
- 黄昏
- ウエストサイドストーリー
- ミリー
- スティング
- ペーパームーン
- 大脱走
- めまい
(本稿回答が少ないのは、ほかでは記憶力抜群のメンバーの中に ”忘れた” とか ”教えてなんかやらない!” という回答があったからである。理由は想像するしかないが)
無人島へ流されるが1本だけ映画を持っていいと言われたらなににしますか?
- 風と共に去りぬ
- 最高の人生の見つけ方
- 第三の男
- ザッツエンタテインメント
- アカプルコの海
- ローマの休日
- 大いなる西部
- アマデウス
- 二十四の瞳
- 五つの銅貨
映画に出演できるとしたら、今まで見た中でどんな役をやりたいですか?
・黒い稲妻トップシーンのザイラー ・”情婦”のマレーネ・ディートリッヒ ・(コネリー演じる)007 ・大いなる西部のジーン・シモンズ ・80日世界一周のデヴィッド・ニーヴン ・ジャイアンツで石油を掘り当てたときのジェイムズ・ディーン ・陽の当たる場所 のモンゴメリ・クリフト ・ロシアより愛をこめての急行列車で舌平目を食べてる007 ・カサブランカのハンフリー・ボガート ・第三の男のトレヴァ・ハワード
この100回を終わってみると、われわれ世代にとっては、エルヴィス・プレスリーと並んで世代文化を築いたはずの、ジェイムズ・ディーンへの言及が少ないこと、映画名で言えば 理由なき反抗 エデンの東 などもあまり話題に上らなかった。また カサブランカ ばかりが取り上げられる一方、違うボガートの演技が冴えた ケイン号の反乱、あるいは同じクリフトでも 地上より永遠に ジョン・ウエインものでも作品そのものにやがて去り行くウエインへの生前の決別という雰囲気だった ラストシューテスト などにほとんど言及がなかったことに気がつく。
上記回答群もそうだが、100回の記録を違った視野から眺めてみると、全般的にこのグループにはロマンチックな傾向がめだつような気もする。メンバーの半数が基本的にはセンチメンタリストというかロマン追求派でなければやっていけない、ワンダラー、という人種だからかもしれないのだが。さて、次なる百回がどうなっていくのか、また楽しみが増えた。さてこの ブログ なるものに挑戦してみたのは小生80歳の時。月は去り星は巡って、昨日、誕生日を迎えた。関係ないか。