サム・ペキンパー監督の「荒野のガンマン1961」に次ぐ2作目。1作目で、西部劇のヒーローたる拳銃での戦いを拒否してきた西部劇不信の男を主人公としたペキンパーは、2作目では、ジョエル・マクリーとランドルフ・スコットという典型的な西部劇ヒーローを演じてきた二人にかっての名保安官であり、名助手を演じさせる。小生若いころから親しみ、今回男優ベストテンにも入れた二人は、残念ながら拳銃或いはライフルによる積極的挑戦姿勢は剥ぎ取られ、役の上でも老いた西部人であり、更に老いた西部劇映画人だった。それでもこの二人が男と男の義理人情、心意気、西部男のプライドといったものを描いてみせてくれた。
マクリーは25万ドルの金を鉱山から運ぶ仕事を銀行から請け負いやって来たのだが、契約書を読むのにトイレに隠れ老眼鏡をかける始末だし、スコットの方は、射的場でのインチキ射的で賭けをして食いつないで暮らしており、馬に乗り降りするにもリュウマチや腰痛でままならぬ風情。
この二人に、スコットの知人の若者ドナルド・スターと鉱山にいるフィアンセと結婚するという娘マリエット・ハートレーの4人で目的地の鉱山へ向かう。鉱山でのフィアンセの兄弟5人の若者の醜悪さ。売春宿でのインチキ結婚式やら、寝室になだれ込む兄弟たちは悪党というよりは非行少年に過ぎない。おまけに一時は、スコットも若者スターも25万ドルの略奪をたくらむ気持ちでいたのだ。
男3人が娘ハートレーを救い、娘の家へ近づくと5人兄弟のうち2人は途中の銃
撃戦で死亡、3人が娘の父親を殺し家の中で待っていた。射ち合いが始まり、マクリーとスターが傷つくが、スコットも駆け付け、マクリーとスコット両者は昔のやり方でカタを付けようと直立不動の姿勢、二人対三人向かい合って歩を進め、弾丸を食らいながらも見事に3人の兄弟を倒す。
瀕死のマクリーの頼みを聞き金塊の護送を引き受けたスコットは若い二人と共に去り、地に伏すマクリーの俯瞰で終る。二人は老醜をさらけ出しても、理想のヒーローたることを実証した。それに反し、若者たちの自己の欲望にのみに走る無目的な若さ、老いたジョン・ウエインなら若者に開拓者の理想を伝授して消えて行く筈だが、この二人の老いたるヒーローはその心意気を誰に伝えるまでもなく振舞っていた。ただ若干の救いは、最後の決闘シーン、老人二人の決闘の呼びかけに対し、若者3人も2対3の決闘に応じた。これがなければ、無謀な動きで撃たれ傷を負い、決闘に参加できなかったスターも含めこれからの若者に、何の期待も持てないことになってしまうだけに、ホッとしたのも事実だった。
関連