(44 安田)ネットを徘徊して以下に遭遇しました。
アガサはまず、主人公は、「シャーロック・ホームズのようであってはいけない」(自伝・下・P446)と考え、ホームズとは正反対の印象を与える小男を設定しました。まず、登場した時に滑稽な、あるいはうさんくさい印象を人々(イギリス人)に与え、その軽視された小男が事件を見事に解決して見せる、そのギャップが劇的な効果を生むことに目をつけたのです。
それだけなら、ヨーロッパの小国であればどこでもよかったでしょう。事実、アガサが自らを戯画化して描いた女性ミステリー作家(アリアドニ・オリヴァ夫人)は彼女の主人公をフィンランド人に設定しています。
彼女がベルギー人を選んだのは、当時(第一次世界大戦中)身近にベルギー難民を多く見て、親近感と同情を抱いたからです。 アガサ曰く、「そこでわたしはベルギーからの亡命者を思い出した。ベルギー人の相当な亡命者集団が教区に住んでいた。……わたしの探偵をベルギー人にしてはなぜいけない?わたしは考えた。いろんなタイプの亡命者がいる。亡命警察官はどうだろう?引退した警察官だ。あまり若くない。この点わたしはとんでもないミスをやってしまった。結果的にわたしの作りだした探偵は今やとっくに百歳を越したことになってしまった」(自伝・下・P448~9)、と。 そうして生まれたのがポアロ第一作『スタイルズ荘の怪事件』(1916)のようです。
(菅原)わざわざ、有り難うございます。生半可な知識で偉そうなことを口走ると、たちまち報復される良い例です。いささか反省。
良く分かりました。クリスティーの狙い、ピタリと嵌りましたね。そのポワロ役のデイヴィド・スーシェ。Wikipediaで調べたら、もとはデイヴィド・サシェットだったそうで、ポワロ役を機にフランス読みのスーシェに変更したそうです。そして、名前の前にSirがついておりました。
(中司)本題とあまり関係ないけど、”オリエント急行殺人事件” の映画化、先日も書いたけど、オールスタアキャストの1974年版のポアロはアルバート・フィニーがユーモアもあって素晴らしかった。2010年版ではこのスーシェがポワロだったけど、テレビシリーズのイメージがありすぎて、さえなかったね。
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