エーガ愛好会 (314) ヴェラクルス 

(42 保屋野伸)今日、1時10分ごろ、何気なくチャンネルをNHK・BSPに合わせたら「ヴェラクルス」が放映されていて、(この映画はもう3回ほど観てるので今回はスルーする予定でしたが、)ゲーリー・クーパーとバート・ランカスターの競演、そして、ストーリーの面白い展開に最後まで観てしまいました。

この映画は、メキシコ独立戦争を背景に、政府軍の金塊(300万ドル)を巡る諸攻防がテーマなのですが、政府軍と反乱軍とのすさまじい戦闘シーンは圧巻でまた、金塊を独占しようとするランカスターとそれを阻止しようとするクーパーが決闘するラストシーンも見応え十分でした。なお、このエーガは、すべてメキシコでロケされたということですが、メキシコの遺跡等の風景やメキシコ音楽でのダンスシーンも楽しめました。

西部劇には少々ガッカリさせられる映画が多い中、この映画は「大いなる西部」と並ぶ傑作西部劇ではないでしょうか。最後に「地上より永遠に」で、(サラリーマンみたいな役柄の)ランカスターにガッカリしましたが、今回のランカスターの魅力・存在感は、少々地味目のクーパーをはるかに勝っていたと思います.。ちなみに、上映時、ランカスター;41才 クーパー;53才

(34 小泉幾多郎)「ヴェラクルス1954」は、1866年メキシコでの大金をめぐる男同士の友情と裏切りのドラマ。バート・ランカスターが、ハロルド・ヘクトと共に、独立プロダクションを作って発表した第1回作品「アパッチ1954」に次ぐ第2作。今回は自身のほかに、三顧の礼を尽くすことでゲーリー・クーパーと言う大物を連れ出し、ランカスターはアクロバティックなアクションで豪快に暴れ回る怪物的演技で、いいとこ取りも圧巻だが、人生の年輪を感じさせるクーパーの人間味溢れる存在感が、物語に深い奥行きをもたらしている。ふてぶてしいランカスターの手下になるアーネスト・ボーグナイン、チャールス・ブロンソン、ジャック・イーラムの若かりし顔触れもよければ、当時のメキシコ政府側のマクシミリアン皇帝(ジョージ・マックレディ)、デ・ラボルデェ侯爵(シーザー・ロメロ)、革命軍将軍アギュラア(モリス・アンクロム)のほか、女優陣はマリイ・デュヴァル伯爵令嬢(デニス・ダーセル)。革命軍に味方するニナ(サリタ・モンティール)。前者は、フランスのミスカメラ、フランス一の美人、後者は当時スペインとメキシコで最も人気のあった若いスタアで、二人とも魅力たっぷり。キャストの素晴らしさと共に、全編メキシコの現地ロケーションで行われ、3か月かけて、クエルナヴァカ谷(Cuernavaca Valley )の他に、かってのマクシミリアン皇帝の宮殿であり、現在では国家的な社殿となっているチャプルテベック宮殿(Castillo di Chapultepec)の内部での撮影も行われた。メキシコ革命やメキシコ人を中心に持ってきたこと、それまでなかったことで、1960年以降のマカロニウエスタンに受け継がれたと言えるのではないか。

物語は、ベンジャミン・トレイン(クーパー)がジョー・エリン(ランカスター)から馬を買ったが、その馬が軍隊から盗んだものだったため、トレインは後を追って来たエリンもろとも軍隊の追撃を受けたが、二人ともメキシコ革命に応じて、報酬の多い軍隊に入ろうとしてこの土地に来たのだった。最初は皇帝側のデ・ラボルデエル侯爵に雇われる交渉を始めたが、革命軍のアギュラア将軍からも誘われる。この時の革命軍が取り囲む、そのエキストラだろうが人数の多さには驚かされた。初めは皇帝側に着くと1台の馬車に隠された黄金を発見し、トレインとエリンは、その現場を見たマリイ・ヂュヴァル伯爵令嬢も加わって、黄金の山分けを取り決めた。しかし侯爵が立ち聞きし、途中令嬢を捕虜にし、カネを持って逃げた。脱出を知ったエリンは、後を追い侯爵を殺し、金を奪った。一方トレインは、革命軍に加わったニーナの「あの金はメキシコの民衆のものだ」という言葉にも目覚め、ヴェラクルス要塞の突破に先駆けし、金を独り占めにしようとするエリンをなじり決闘となり、トレインの早業がエリンを倒し、エリンの拳銃を思い切り蹴飛ばすのだった。最終的には、友情の絆を断ち切った、悪を制する正義の行為だったが、得難い友に、自ら手を下した自責の念は消えない。

(編集子)この一本で日本に知られるようになったヴェラクルスについて、ウイキペディアの解説をあげておく。メキシコをめぐっての西部劇はほかにもいろいろある。国境をなすリオグランデのあたりは例えばフォードの騎兵隊ものでもおなじみである。多くの場合は西部を追われたワルが逃げ込むという設定が多いが、有名なジャズナンバー South of the Border  の歌詞にもあるように、一種のあこがれの地でもあったようだ(アメリカ人が作曲したアロハオエがハワイを楽園として作り上げてしまったのも同じようなことだろう)。西部劇がいろいろあってもメキシコという国がに持っている古い文化への挽歌、というロマンスはない。保屋野君はランカスターには厳しい評価だが、難しい議論はさておいて、この作品が作り上げた二人のガンマンの対決、という定番としては 駅馬車 のラストとともに傑作だと思うのだが。

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先回小泉さんが触れられた ローンレンジャー物の一つ、どれだったか思い出せないがメキシコの貧民を食い物にする悪漢に挑む男がメキシコに上陸するオープニングもこのような港町だった。

The name Veracruz (originally Vera Cruz), derives from the Latin Vera Crux (True Cross). Having established the settlement of Villa Rica (Rich Village) on Good Friday, 22 April 1519, Cortés dedicated the place to the True Cross as an offering.