「ああ、“エーガ”の日々よ、帰れ」拝見。荒野の決闘のポスターから始まり、ヘンリーフォンダが、ポーチの上の椅子でバランスをとるポスター(プログラムの表紙?)まで、”エーガ“特に西部劇への郷愁!書かれていることの全てと言っていいくらい、小生の思いと同じです。あの頃は確かに映画以外に楽しみを見つけるのが難しい時代でした。佐藤忠男著「映画館が学校だった」という本がありましたが、そんな時代でした。
多感なる中学時代、栃木県足利という所におり、ワンプラー劇場という洋画専門の映画館があり、東京より半年遅れながら、週替わりで、新しい映画が見られました。何故西部劇に傾倒したか。どうも田舎の子供たちに比べるとか弱い子供で強い男に憧れを持ったか?フランス映画でなければ映画でないとか、ませた友人がいたことからか、対抗上単純なる西部劇を見るようになったものと勝手に理屈付けしてます。西部劇だけはプログラムを買うようにしてました。中学3年から、横浜に移りましたが、当時は伊勢佐木町には、オクタゴンシアターの名前で、進駐軍に接収された映画館がありましたが、その後オデオン座として復活、マッカーサー劇場なんて名前の映画館等によく出掛けたものでした。
貴投稿には、出て来なかったですが、ランドルフ・スコットの堅パンのような面魂に惚れて、よく見ました。沈着で鋼鉄のような意志を持ち、徹底的に殴りつけ正義感をあおった「西部の裁き」「死闘の銀山」「平原の落雷」「コルト45」等々数えきれない出演の中、時折一流と言える作品、ジョンウエインとの「スポイラース」ロバートヤングとの「西部魂」ジョエルマックリーとの両者最後の作品「昼下がりの決闘」、そのいずれもが最後に死を迎えてしまいました。
西部劇の本も結構買いました。西部劇の世界(岡俊雄)、大いなる西部劇(逢坂剛×川本三郎)、西部劇X紳士録(児玉數夫)、西部劇の作家たち(世界の映画作家16)、さらば西部劇(季刊映画宝庫)、西部劇映画100選(増渕健)。
本箱の片隅にあった本を開けたところ、偶々1980年の朝日新聞の切り抜きが、出てきました。1月11日付で、昨日X‘mas EveのフジTV放映の犬神家の一族の作者、横溝正史の「てれずれ草」という欄に、TVについて「昔はよかった幌馬車隊・ローハイド・ララミー牧場・西部の兄弟・拳銃無宿があり、いつでも見られたのに、それがいまでは・・・」「NHKが駅馬車・真昼の決闘・荒野の決闘と西部劇の代表作を放映してくれたのは有難かった」と。最後に、「こういう人間は前世紀の遺物みたいな存在なのだろう」と締めくくっていました。翌年12月没。同年6月30日付では「西部劇が帰ってきた。20年ぶりブーム。」この年1980年は、ジョンウエイン没の翌年で、70年代の石油危機、ベトナム戦争、ドルの低落と大衆には忍耐我慢の連続で、英雄が欲しいことからのブームと書かれ、「トムホーン」「天国の門」「ザ・ロングライダーズ」「ワイオミング」「レジェンドオブザローンレンジャー」等挙げられていたが、残念ながらブームとはならなかった。その後、1990年に入り、ケビンコスナー等により「ダンス・ウイズ・ウルブズ」「ワイアット・アープ」をはじめ、「許されざる者」「ラストオブモヒカン」「ジェロニモ」「マーヴェリック」「トウームストーン」「バッドガールス」等の西部劇が復活したが、これまでか?
本屋や新聞広告等で、西部劇パーフェクトコレクションとか西部劇傑作コレクションとかで、10本入りDVDが、1500円で販売されているのを見ているとまだまだ西部劇愛好家は多くいることが確認できます。新しい作品はあまり期待できないとしても、まだまだ「お楽しみはこれからだ(和田誠)」よろしく楽しみたいものです。
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