オーディオシステムとやらについて

オーディオで飯を食ってたチビ太、普通部時代から白いガウン着て実験室にいりびたってた変人フナツ、それに医学会の大物まで登場してここ数日間のオーディオ談義がさかんである。いずれその道に詳しいホヤノだの関西の粋人飯田なんかも論議に加わるんだろう。
小生の美術音痴についてはすでに告白の通りだが、それなら音楽はどうか、と言ってみても横丁の老人のツブヤキぐらいのところで、ま、それなりに人並みにいろんなものを聞いては来たけれどもオーディオシステムで再生された音がどうで、タンノイがいいか悪いか、なんて議論に加わるような、プロはだしの耳を持っているわけではない。しかし、一応は第一級アマチュア無線技士であり(このあたり、浅野サブローには黙っていてほしいのだが)多少はデンキの初歩を知っているものとして、せいぜいキロヘルツ界隈のデンキを扱う機器ができないわけはないんであって、とにかくなんか作ろうか、という気を起こしたのが退職してから数年してである。手始めに完全キットを購入して、指示通りに作った2A3 シングルアンプは今、小淵沢のセカンドハウスで使っている。ラジオ技術だったか出典は覚えていないがその道の大家の記事を読み、何度か手紙を出して教えを乞うて作った2号機が上掲の1台である。一応最低の測定器はそろえ、もっともらしいデータもとったりしたもので、現在は自宅のメイン機としてもっぱらわがパートナーの愛用にあずかっている。

その後、息子の結婚記念とかなんとか、雑誌の記事をベースに何台か作ったが、現在、自分のデスクにのっているものになると、もうデータをとったりするのも面倒になり、まともに音が出ればいいや、という程度だが、満足して使っている。当初は昔懐かしいレコードプレーヤを音源にするつもりだったが、レコード自体の入手も難しいし、結局、チビ太に頼んで購入した、一流メーカーのプレーヤーを使用。音源よりもこのほうがはるかに高価かつ高性能で、面倒をかけた彼には申し訳ない気もするが、ここしばらくは使うつもりである。

ここまでくるまでに、6BQ5のプッシュ、とかそのほか何台か作ったが、部屋の大きさからしても大型管プッシュプル、なんてのはデンキの無駄遣い、と知って、6V6シングル、というベーシックなものに落ち着いた。スピーカは家に手を入れたとき細工して本棚に埋め込んでもらったデンオンのペアである。

チビ太には申し訳ないが、ここのところ、一応は好きだと思っているチャイコフスキーもドヴォルザークもほとんど聞いていない。今日も暑い。小林旭の ”北へ” にでもするかい。