エーガ愛好会 (278)  ワイルドワイルドウエスト  (34 小泉幾多郎)

西部劇とSFとの融合ということは事前に分かっていたが、配役が、ウイル・スミスは別として、「ワンダとダイヤと優しい奴ら1988」でアカデミー助演男優賞受賞のケヴィン・クラインやあのシェークスピア役者のケネス・ブラナーとなると大いなる期待感を持ってしまう。開巻の出演者名が流れる背景に西部男姿のウイル・スミスがピストルをくるくる回しながら現れる姿が格好いい。SFに関係なく西部男を演じてもらいたい位だ。しかし始まった途端に風呂の中で女性といちゃつくスミスで、途端にがっくり。敵を狙って酒場へ行くと女装した、これも同じ男を追っている連邦保安官ケヴィン・クラインと遭遇し、結局この二人が大統領命により、敵を追うことになり、伝統的なハリウッドの仲違いしながらのバディものの範疇なのだ。

追う相手は当初の相手よりもっと悪い下半身の無いドクターということが分かる。これに扮するのが、ケネス・ブラナー。スミスは早撃ちの名人、相棒のクラインは、変装名人の発明家だから秘密兵器やら銃や大型戦車等訳の分からぬメカが沢山出てくる。それ以上に、ブラナーの方は、それに輪をかけた強者で、9本足の巨大な蜘蛛ロボットに乗って登場する。まあ時代考証もSF考証も無視。荒唐無稽も、ここまでやれば立派?くだらないと思えばくだらないし、次から次へとスリルを味合わせてくれると言えば、楽しめるとも言える。

それにしても、スミスの方は、同じ監督バリー・ソネンフェルドによる「メン・イン・ブラック3作」に出演する等喜劇はお手のものだが、クラインとブラナーはどうしてこんな映画に出演したのかよくわからない。それも楽しそうにやっているのだから、何か特別良きことがあったのだろうか。小生が知る限り、西部劇とSF的なものが噛み合った映画は、これのほかに、「バック・トウー・ザ・フューチャーRart3 1990」「カウボーイ&エイリアン2011」があるが、どれも面白さは若干感じても、際物的で、矢張り古いかも知れないが、本来の西部劇は西部劇であってそれ以上なものはいらないという心境だ。

 

(編集子)だから ”三人の名付け親”  を見ろって言ってんじゃんけ !