春の終わりに

  

    桜餅 ”ほな” ”ほな” 言うた あれっきり

読売新聞朝刊で紹介された一句である。全国的番組になった、かのプレバトブームに関わらず、俳句の奥義などとはおよそ縁遠い小生であるが、なんとなくほのぼのとした中に込められた哀切さがずんと心に届いた。

春は冬の終わり、新しい芽が吹きだすとき、という自然の流れの中、人の世も何かと表は華やいでいる翳で、別れの季節でもある。

我が家の近く, 地元で古顔、なじみの和菓子屋はすでに柏餅の季節だった。すでに春が終わっていることを改めて感じたことだった。