チャットGPTを巡って  (普通部OB 田村耕一郎)

友人から送られてきたCGPTを巡っての政府の対応についての記事、要約してご紹介する。

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4月10日、岸田文雄首相が首相官邸で対していたのは、米新興企業オープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)だった。一般には名前も知られていなかったベンチャー経営者と、首相が面会するのは異例といえる。   同社は、人間のように自然な回答を返す対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発したことで、一躍脚光を浴びる。

しかし個人情報データの取り扱いに関する懸念から、イタリアがチャットGPTの一時利用禁止を決めるなど、欧米では慎重論も広がる。首相がその話題を振ると、アルトマン氏は「野放図にさせておくのはいけない」と返した。   質問を予想していたのか、協力的な姿勢を示しつつ、こうくぎを刺すことも忘れなかった。「イタリアのように一発で禁止にしたら進歩はない。徐々にルールをつくりながら進化させなければ」

複数の関係者によると、今回の来日は自民党の議員からオープンAI側に要請したものだった。首相との面会も、党側から官邸側に働きかけた結果だったという。    その直前の3月30日、党ではAIに関するプロジェクトチーム(PT、平将明座長)が政府への提言案をまとめたばかりだった。 チャットGPTを念頭に、最先端AIの研究・開発の環境整備や、行政での積極的な利用を求めたものだ。スタートアップや新規事業の創出を奨励することや、国会答弁の下書き作成での利用などを提言している。 もともと欧州では、厳格な個人データの保護法制があり、米国でもバイデン政権下で規制に向けた動きが出始めるなど、風向きが変わってきている。   それでもPTの親会議である自民党「デジタル社会推進本部」は、AIについて「規制だけでは何も解決しない。常にポジティブに」(平井卓也本部長)と強調する。今週末には群馬で主要7カ国(G7)デジタル・技術相会合があり、5月にはG7広島サミットが控えるが、国内で規制に関する具体的な議論は進んでいない。

むしろ、AIの訓練に使われるデータの著作権は、18年の法改正により、権利者の許諾なしにAIに著作物を読み込ませることができるようになった。産業競争力を強化する目的からだ。個人情報保護法も欧州などに比べて保護される範囲が狭く、罰金も少ない。 しかし、先端のAIには膨大な個人データの収集によるプライバシーへの懸念や、高度な技術を誇る巨大IT企業へのデータと権限の集中などが指摘される。

松野博一官房長官は20日の記者会見で、「急速なデジタル化の進展により、AIのような既存の法制度の適用があいまいな領域が発生し、ルールのアップデートに関する課題が生じている」と述べた。そのうえで、開発の振興、利活用の推進、適切な規制という三つの要素が重要だとの認識を示した。

G7の場では、「責任あるAI」の実現に向け、技術や制度を評価するための共通基準づくりが議題となる見通しだ。国際機関などを通じ、AIの技術やガバナンス(統治)について基準づくりを促す案が検討されている。   積極活用を重視する日本だが、議長国として「推進と規制」のバランスをとった議論を主導していくことが求められている。