エーガ愛好会 (84)  フィールド・オブ・ドリームズ (44 安田耕太郎)

観終わった後に爽やかな気持ちにさせられた、野球を通じてアメリカの善良市民の夢と希望、家族の絆を描いたファンタジー映画。傑作だと思う。

主人公(ケヴィン・コスナー)の父親はサウス・ダコタ州出身、兵役から帰還後シカゴに住む。野球好きで地元の大リーグ球団ホワイトソックス(Whitesox)に入団するも出場機会は殆どないまま退団。その後一家はニューヨークに移り住み主人公はNYヤンキースファンとなる。これが物語の伏線となっている。

主人公はトウモロコシの州(Corn State)と呼ばれる中西部アイオワ州の片田舎でトウモロコシ畑を営む貧しい農家だ。ある日、彼はトウモロコシ畑で農作業の途中、謎の声を聞く。「もしそれを作れば、彼は来る。(If you build it, he will come)」、と。妻や娘に話すが信じてもらえない。就寝中にも同じ謎の声を聞き、近所の人達にも打ち明けるが、誰も信じない。彼とは誰?何を作るのだ?

そんなある時、彼は農作業中、トウモロコシ畑に謎の幻影を見た。それが伝説の大リーガー、“シューレス”・ジョー・ジャクソンではないかと思い、謎の声はこの畑を潰して野球場を造ればジョー・ジャクソンが現れることを指しているのではないかと考えた。1919年のワールドシリーズでシカゴ・ホワイトソックスの8選手が八百長に連座したとして球界から永久追放される。その中の中心選手だったのが“シューレス”・ジョー・ジャクソンだった。“he will come” の he とはジョー・ジャクソンのことではないのか?作るべき「何」は野球場のことではないのか?何ひとつ冒険することのなかった父のようになりたくないコスナーは野球場を作る決意を固め、妻も夫の情熱に打たれ、共に野球場作りを開始する。

ファンタジー映画なので、一歩間違えると妄想に憑りつかれた空想物語になるところを、ケヴィン・コスナーの地に足の着いた演技が救っているし、夫の奇行を優しく見守る妻の姿には映画のテーマである夢と希望と家族の絆が見事に描かれている。実際と空想が色々と入り混じっていて面白い。

野球場を作ってから一年後、コスナーが隣人から笑い者にされていた頃、野球場に人影が現れコスナーが近づくと、グランドに居たのはジョー・ジャクソンだった。彼と共に八百長事件で永久追放された合計8人の選手たちがいたのだ。

しかし、選手たちの姿は主人公一家以外の人達には見えない。一方、コスナーは野球場で「Ease his pain (彼の苦痛を癒せ)」という謎の声を聞く。ある日、出席した町のPTA集会では、1960年代に活躍した作家テレンス・マンの著書を排除しようとする動きが広まっていた。その動きに反対し、60年代への熱き想いを語る妻の姿に、「彼の苦痛を癒せ」とは、この作家のことを指し示しているのではと気づく。映画の原作ではこの作家は実在の The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)で有名なJ.D .Salingerサリンジャーである。。

マンの小説には野球選手だったコスナーの父も登場しており、コスナーは「苦痛を癒せ」とは野球に夢を託していた作家マンと共に球場で野球を観戦することではないかと考え、マンの住むボストンを訪れ、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークで二人は野球を一緒に観戦するのだった。その時、コスナーの耳元で「Go the distance (やり遂げろ)」という謎の声が響き、電光掲示板には「アーチボルト・”ムーンライト”・グラハム」という名前が表示された。二人はグラハムの住むミネソタ州に会いに向かった。だが、グラハムは既に他界していることを知る。

物語は、現在(映画公開の1989)、八百長事件のあった1910年代、作家テレンス・マンの活躍する1960年代を行ったり来たりする。9人でやる野球では8人だと一人足りない。グラハムが町で彼が亡くなった1972年にタイムスリップしていることに気づき、生前のグラハム(バート・ランカスター)と出会うことが出来た。大リーガーではあったが、打席に立つことなくメジャーリーグを去ったグラハムの夢 ― メジャーの打席に一度でも立ちたい ― をアイオワのコスナーの野球場に行けば夢が叶うとグラハムを誘うがグラハムは断る。グラハムは引退後医者となって登場する。アイオワには若き野球ユニフォーム姿のグラハムが同行することになった。九人目の選手となるのだ。

登場人物と時系列の実在と空想、過去と現在がタイムスリップするので、筋書きを追いかけるのは結構苦労する。老いたグラハムもコスナーの娘がベンチから落ちて怪我をした際に、医者として登場して娘に治療を施す。

 

作家テレンス・マンがシューレスが来ると保証する。映画「レッドオクトーバーを追え」、そして「スターウオーズ」ダース・ベイダーの声でお馴染みジェームス・アール.ジョーンズが演じる。シューレス・ジョー・ジャクソンはコスナーに告げる。「If you build it, he will come. (それを作れば彼は来る)」と。「ハンニバル」で好演したレイ・リオッタがこの役を好演している。

かくて、アイオアのトウモロコシ畑の野球場に昔と現在の人物が皆勢ぞろいする。往年の名選手たちが実際にプレイする姿を見て60年代の作家テレンス・マンは驚く。選手たちは外野席フェンスのトウモロコシ畑から球場に入ってくる

するとグランドには、若き日の、コスナーの父親の姿があった。父子の仲が良くなく父と衝突して家を飛び出したコスナーはそれ以来一度も言葉を交わすこともなかった。He will come のhe は父親だと悟るのであった。謎の声の目的が自分を父親に引き合わせるためのものだったと気づいたのだ。

息子のコスナーは父親にキャッチボールをしようと頼む。二人が夕暮れの野球場でキャッチボールをする心温まるハイライトシーンだ。

コスナーの娘と作家のマンはアイオア中の人々が心の安らぎを求めてこの球場に足を運ぶと予言するが、二人がキャッチボールをしている時、どこからともなく野球場を目指してやってきた人々の車のとめどない長い車列のヘッドライトの明かりが延々と続いているのだった。予言が当たった映画のラストシーンがこの映像です。印象的な忘れがたいラストシーンの一つだ。

(船津)「それを作れば彼が来る」という”声”を聞いたアイオアの農夫レイ・キンセラ(ケビン・コスナー)が、それをもとに彼の夢を貫く物語。レイ・リオッタ、ジェームズ・アール・ジョーンズ、エイミー・マディガン共演の「フィールド・オブ・ドリームス」は、多くの人たちの心を動かした傑作だ。夢を貫こうとする人に捧げる感動作。矢っ張りエーガって「夢」ですね。良いなぁ!!!!この間の実戦が感動的だっただけに。

(菅原)貴兄と全く同じ思いだが、バート・ランカスターを忘れたくないなー。

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テレンス・マンTerrence Mann1951年7月1日 – )は、アメリカ合衆国俳優歌手ダンサー。ケンタッキー州出身。映画、テレビドラマにも出演作多数。

ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(Jerome David Salinger、1919年1月1日 – 2010年1月27日[1])は、アメリカ合衆国小説家。『ライ麦畑でつかまえて』などで知られる。

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(久米)9月のBSシネマ、相変わらず再放映の作品が多いですね。8月30日のフィールド オブ ドリームスは大リーグの企画を察知していたのでしょうか。タイムリーな放映でした。あの試合ではMBLは大変な視聴率を上げて既にに来年の試合の予定も決定したようです。

(安田)2021年8月12日、実際にこの球場で大リーグ公式戦シカゴ・ホワイトソックス vs NYヤンキースの試合が行われた。選手たちは映画と同じように外野のトウモロコシ畑から球場にはいって来たのであった。来年も大リーグ公式戦を行う予定だと伝えられている。1919年の八百長試合と判定されたシンシナティ・レッズvsシカゴ・ホワイトソックスの因縁の試合であるという。

 大リーグ機構は1919年の八百長事件で永久追放した8選手の復権を未だ行なっていない。未決着のまま八百長事件の発端となった両軍レッズvsホワイトソックスの公式試合を、今年に引き続き、このトウモロコシ畑の球場で来年開催する予定だと発表したことに違和感を持つ人たちも少なからずいると伝えられている。復権問題を棚上げにして公式戦を開催するなど映画の評判を利用し過ぎているとの批判である。