米国の若者たちはどうしているだろうか  (37 宍倉勝)

菅井さんの ”近頃の若者” を拝読。そのフォローとしてご参考まで。

アメリカの新たに社会人となる大学生の憂鬱は、卒業と同時に学生ローンの返済が始まる事です。日本以上に学歴社会といわれ、アイビーリーグを筆頭に名門大学卒、大学院卒などの学歴により同じ会社、同じ職種に就職しても給与等待遇が大きく変わります。

よく言われていた事ですが、“日本の大学は入りにくく、出やすい”。“アメリカの大学は入りやすいが、出にくい”が一般的な認識でした。しかし“アメリカの大学は入りにくく、そして出にくい”が実情です。アメリカの学生はより良い就職先をめざし在学中の成績アップに努力をしています。ひきんな例ですが、スポーツで活躍していても、一定水準の成績を取らねば強制的退部も余儀なくされます。

古い資料になりますが、2011年のアメリカの私立53大学の平均学費は約4万ドル、有名私立大学では約5~6万ドルを超えています。多くの若者は高い学費の負担は将来への投資と考え、多額な学生がローンを組みます。アメリカの大学生一人当たりローン総額は平均で2万ドルを超えているとの調査報告もあります。

卒業後でも家賃、生活費を負担しながらのローン返済は頭痛の種です。その結果新たにクレジットカードローンを抱え込む新社会人も多くいます。子供は18歳になったら大人とみなし、親から独立するのが当たり前という考え方が伝統的だったアメリカ社会に大きな変化が起こっています。

卒業後ローン返済が負担となり、又新たにカードローンを抱えたりして、親元に戻る若者が急増しています。親と同居する若者がここ数年30%の割合で増え続けています。子供が独立して、ゆったりした老後を考えていた矢先に思わぬ同居となり、親の負担は増え続けています。一方大学卒の若者を採用する企業にとっても優秀な人材確保の為在学中の学生に学士援助をおこなう、いわゆる青田買いも盛んになってきています。

(編集子)コロナの打撃が大きかった米国での若者たち、その現状はどうなんだろうか。日本の学生たちが直面するこれからの問題とどう違ってくるんだろうか。